タケシの武勇伝…(20)
- カテゴリ:自作小説
- 2009/10/24 04:59:29
「き、北野さん…あなたはもう一度マウンドに立ちたいと思いませんか!わ、我々はぜひ貴方にもう一度ボールを投げてもらいたいのです。だ、だからどうか話を聞いてください…」
塙さんは、必死にタケシを押さえながら耳元でこう叫んだ。
「いいから放せ!大体さっきから何言ってんすか、この手が治る?そんなことできる訳ないでしょうが!」
「それができるんだよ!」
タケシを殴った男が半ば怒鳴るように言い放った。偶発のひざ蹴りがよっぽど頭にきたらしい。胸の名札には内越( うちこし )と書いてあった。
「…?」
タケシは怪訝な顔をして背中の塙さんを見た。
「できるんです。本当に!とにかくもう一度話を聞いてください」
こう言って大きく頷いた塙さんは、タケシの体からゆっくり離れた。タケシの体から力が抜けるのが分かったからだ。
片ひざをついたタケシは、手で腹を押さえながらその場にドスンと腰を落した。
「どういうことなんすか?」
タケシは、眉間にしわを寄せながら投げやりな口調でこう尋ねた。
「こんな通路の真ん中では落ち着かないでしょう。とにかく真也さんの部屋に戻りましょう。複雑な話ですから時間もかかるでしょうから…」
塙さんはこう言って手を差し出した。だが、タケシはその手を無視してゆっくり立ち上がると先導する塙さんのあとについていった。もうここまで来たら、いやでも腹を括るしかなかった・・・
…この手が治る?そんなバカなことがあるか?だけど、いくら俺が暴れたからって殴ってまで止めたんだから少なくとも何かある。
こう考えながらも、タケシは話の半分も信じていなかった。
神経の切れた中指を見ながら外れた扉の前に立つと、ベッドのふちに腰掛けているシンさんの姿が見えた・・・
※※つづく※※
とか思うでしょう・・・・。
まぁ話しにのってみるのもまた悪くないでしょう。
だからタケシが半分も信じない気持ちが分かります。
でも、タケシも話を聞いた方がいいと思う。
タケシー話をちゃんと聞けー