Nicotto Town


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月と赤い糸 第七章

第七章

1年の終わり。
そんな日曜に、彼から久しぶりに「どうしたの」とメッセージが来ていた。
私は咄嗟に、色々と伝えようとしていた。
彼の心が私にない事、責めるつもりはない事を、伝えようと思い立った私は
彼へとメッセージを送っていた。
既読はなかなか付かなかったから、私は伝えたかったメッセージを消し、
新しく打ち直していた。
彼が私へと送っていた言葉を私も送っていた。
「なんでもないよ、あなたが私の心や気持ちを知る必要はない」と。
なかなか既読はつかなかった。
これでもう彼とのメッセージのやり取りも終わりになるのだろう。
私はこれ以上彼との関りを持つ事に苦しみを抱える様になっていた。
きっと彼ももう私とは話したくはないだろう。
私の情熱は既になくなり、生きる事すら希望を持つ事が出来なくなりつつあった。
そんな中でも、ネットの世界では沢山の出逢いがあった。
私を心配してくれる人や、相談事を持ち掛けてくる人、性の捌け口にしたかった人、諸々。
誰に対しても何の感情も持てなかった。
それなりに一生懸命対処はしたのだが。
彼へとメッセージしてしまったが故に今夜は眠りに付くのが遅くなるだろうと
私は考えていた。
冷え切っていた夜空が見上げたくなり、外へと出たのだが月は無く、
美しい星だけが見えていた。
時刻は深夜の1時を回ろうとしていた。
冷え切った中での星空も良いものだな、と思い眺め続けた。
そういえば、今日の昼頃にインスピレーションでしかないのだが、
また香水を買っていた事を思い出した。
いつ頃届くかな、なんて色んな思いを馳せながら楽しみになっている香水集めである。
星空を見上げながら煙草も良いのかもと思い、一旦部屋へと戻り、
煙草とジッポを手に取り、ベランダへと向かった。
部屋へと戻っていた時に金木犀の香りも勿論纏っていた。
煙草を咥え、吸い始めると同時にベランダの柵へ両腕を引っ掛けながら、
星空を見続けた。
咥え煙草は私には日常茶飯事だ。
お手の物といった所だろうか。
星空は私に癒しをくれているかの様だった。
「さよなら」ぽつりと呟いて、私は煙草を1本吸い終えていた。

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2023/07/29 16:50
返事しなくていいって思っててもしちゃいますよね。
そして無駄に待つ
わかります。
感情は無くしたはずなのに。



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