Nicotto Town



 本庄鈴江と割れた茶碗

 本庄鈴江と割れた茶碗



 ブルマスという加工の仕方で作った珈琲豆で煎れた珈琲とミルフィーユケーキを持って行ったとき宿川花梨はお客さんの美しい小物に目を奪われた。
お客さんも綺麗には綺麗なのだがそれより身につけたものが美しい。
「あら、綺麗な財布ね。新色かしら?見たことないけどブランド物みたいね」宿川花梨
「これ偽物よ」新しく来はじめたお客さんはいろんなブランドの衣服を着こなしているように見える。
「それにしては出来は良さそうに見えるわね。よくできているわね。
最近の偽物ってこんなのなの?」
良い珈琲を煎れる。だからお客さんは集まる。
でもお客さんとはまるで友達のように接するのがオルタンシアのやり方であった。それで去る客もいるがそれならそれでかまわない。
「これ、彼氏が作ったのよ。財布もポーチも服も全部」
「・・・それは凄いわね」宿川花梨
「見かけは不細工なのに手は器用なのよね。足も障害者手帳持つくらいなのに」
「あなたの彼氏はウルカヌスかしら?」宿川花梨
「何それ?」
「いえ、なんでもないわ」宿川花梨
「今不景気でしょ?でもブランド物って好きなの。だから私を好きって言ってきた男にじゃあこれが欲しいつて言ったらこの財布作ってきたの。私は本物のブランド物が欲しかったけどまあ偽物にしたら出来はいいから彼氏ということにしているのよ。」
「それで注文するたびにその偽ブランドを作ってきたの?」宿川花梨
「そうよ。でももうそろそろコンプリートできたから彼氏も変えようか考えてるのよ」
「・・・ようよう、罰当たりの姉ちゃん。やどかりは恋愛マスターなんだ。そのうち困ることになると思うからそんときはやどかりに頼みなよ」猫田
「こらっ、猫田。余計なことは言わないの!」宿川花梨
ブランド好きの女性は珈琲に満足すると店を出て行った。

アバター
2023/06/12 18:46
おおう。。。
アバター
2023/06/12 18:42
ちょっと説得力ありすぎ。
1度手放したものは戻らないから
よく考えましょう
すごく伝わる

人は大切にしましょう。ですね
アバター
2023/06/12 14:02



 彼女は足が不自由なのをいいことに強制的に椅子に座らせると自己紹介を始めた。
「本庄鈴江よ。デパートで売り子をしてるわ」本庄鈴江
「山田歳三だ。ニートと思ってくれ」山田歳三
「・・・えーーー。本庄鈴江さんは復縁したいそうよ。それでどうかしら?」宿川花梨
「俺は売られたんだ。一度売られた以上復縁はあり得ないな。」山田歳三
「あたしは誤解してたの」 本庄鈴江
「お金としか見てないということだろ?あなたは綺麗だ。だから好きになった。俺も見た目でしかみてなかったな。」山田歳三は宙を見上げて言う。
「だったら・・・いいんじゃない?」宿川花梨
「俺は・・・作った物は確かだったと思うよ。見た目だけではなかっただろ?俺の作品は」山田歳三
「復縁はもう絶対に無理なの?」 本庄鈴江
「1億円する茶碗があったとしてもだ、割れたらただのガラクタだ。おまえとの仲はもう割れた茶碗だよ」山田歳三
山田歳三はニートと自称するくせにカードを使いタクシーで次のどこかへ去って行った。
アバター
2023/06/12 14:02



 「・・・恋愛マスターさん。相談したいわ」
この前のブランド好きのお姉さんだ。必死そうだ。
「どうしたの?」宿川花梨
「偽ブランド全部売った後、別れたいって言ったら、そうかと言って荷造りの準備始めたの」
「良いじゃない。それが望みだったんでしょ?」宿川花梨
「後で売ったあとの業者が製品のこと詳しく聞き始めたのよ。
最初は鬱陶しかったんだけど後まで聞くとあの彼氏がとんでもない人物らしいのよ。あの偽物がブランド物つまり本物より10倍の値が付いたのよ。とにかくあの彼氏を引き留めて」
「自業自得でしょ。少しは本物のブランド物手に入れただろうしいいじゃない」宿川花梨
「まあまあ、やどかり。その男さえよければ思想恋愛なんだ。
恋愛マスターとしての出番だ。」猫田
「勝手なこと言わないでよ。だいたいあなたは・・・」宿川花梨
「お願いよ、すぐ彼氏連れてくるから」




Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.