猫田俊充と蝉
- カテゴリ:日記
- 2023/06/13 07:10:14
猫田俊充と蝉
1
宿川花鈴はいつものようにカウンターで珈琲を入れる。
今日は暑いので冷房を効かせている。
湿度を保つ為に加湿器も効かせた。
猫田は悩み混んでいた。
いわゆる推敲だ。
「やどかり、ここの文章なんだけどな。
この場合は猫探偵は・・・」猫田
推理小説で主人公の猫の探偵が事件を解決する話だ。
「そうねぇ、子供にもわかりやすいトリックが大事と思うわね。
対象年齢が低いんだから。あと殺人とかみたいな惨殺なものは当たり前だけど一切無しよ」宿川花梨
「感想がいろいろ欲しいな」猫田
「オルタンシアに置いてみましょうか?
感想ノートも置いてね。」宿川花梨
「ありがたいねぇ。それでこそ、やどかりだ。」猫田
2
書けるときにかけばいい
これはこの小説から読めるメッセージだなとわかりました。
付き合いだして4ヶ月後に
またつきあってくれるかって、猫田さんいうんですか?!
これは、この話の流れは
ヤドカリさんが、猫田さんの話につきあいだして4ヶ月後なのか
かめの子さんが、猫田さんの話をきくようになって4ヶ月後なのか
さやはバカだからわからなかったです。
4
付き合いだして4ヶ月後、猫の探偵日記が新人賞に入賞した。
猫の探偵日記の連載は続いたが5回目の連載からは苦しくなった。
オルタンシアでいつものデートの時、
「・・・小説家というのはな、蝉に似ていると思うんだ」猫田はぽつりとつぶやく。
宿川花梨は、「確かになにかとやかましいわね」と言う。
「やどかり、うるさい」猫田
個人の恋愛を邪魔するのは確かに問題だが今までの猫田の行為としてなにかとやかましかった。
「カメ、小説家は成功するまで蝉の幼虫のように日の目を見ない暮らしが続く。でも、自分の書き方を見つけて成虫になっても自由に飛び回れるのは短いんだ。ネタが尽きるからな。小説家とは多くは蝉だよ」猫田
「・・・どうしたいの?」神谷恵実
「アイデアが尽きてしまった。書き続けるということが難しいとは思わなかった。・・・そんな俺でも付き合ってくれるか?」猫田
「私はあなたの書くひょうきんな猫が好き。でも今は書けないだけでまた書けるようになるわ。連載でなくても良いじゃない。好きな時書ければ書けない間は小説以外の仕事をしましょ、小説は収入の為というより読者と心が共感するための行為と思うわ。
もちろん、私は最初に読める読者。小説が書けない間は助けるわ。
あなたもそのときは働いて貰うけど。
いいわ。付き合いましょ」神谷恵実
3
猫田はいつものようにオルタンシアに来ると宿川花梨に、
「いつもの珈琲を」と言った。
感想ノートが見たくて棚を探すが見当たらない。
客席を見渡すとOLのような若い女性がノートを持っていた。
テーブル席のその女性に猫田は声をかける。
「もしかしてだけど、カメの子さんですか?猫田です。その小説を書いた。」猫田
その女性はふくよかで顔にはそばかすがあり美人とはいえなかったがそういうことはいい。ただ感想が知りたかった。
「猫田さん?初めて作家という人に出会ったわ。初めまして」カメの子
カメの子さんは本名を神谷(かみや)恵実(めぐみ)と言った。
『か』みや、『め』ぐみだからカメの子らしい。
猫田も自己紹介した。猫田俊充(としみつ)
4
2
数日後感想が書いてあった。
《猫の探偵日記読みました。奇抜な発想が素敵です》カメの子
「おお、感想がある。返信書くよ。」猫田
《ひょうきんな猫を書いてみたくて小説を書きました。カメの子さんは本を読む方ですか?》猫田
《そこそこ読みます。ジャンルは問いませんが。ひょうきんな猫ですか?それは猫田さん自身を描いていますか?》カメの子
「感想来たのね。よかったわ。でも他に感想書いてくれてる人は居ないのね。次の感想待ちましょう」宿川花梨
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