カパラソンの船旅
- カテゴリ:日記
- 2023/06/18 06:42:19
カパラソンの船旅
1
心臓の鼓動のような水の滴る音で目が覚めた。
・・・ここは何処だ?
音の間隔が短いのは水の落ちる高さが低いのだと目覚めてわかった。
窓がある。デザインは見たことが無いが異国のような雰囲気の部屋だ。
外を見る。
ただ静かに広がる海があった。
カチャ・・・ドアが開く音がした。
カエルが人間の真似をしたような女性がいた。
「あら、目が覚めたようね」
「ここは何処だ?」
「ここは海上要塞、カパラソン。あなたはこの海で浮かんでいたの。ほっといたら死んでしまうから助けたのよ」
・・・そういえば僕はヨットで旅をしていて・・・嵐に遭い・・・転覆して・・・溺れて・・・
「ここは地球なのか?」
「地球?それは、この海の名前?この星の名前?」
「この星の名前だよ」
「惑星ヴァッサ。今は楊斑島に向けて航行しているの」
「君の名前は?」
「ラレスよ。あなたは?」
「田島啓太。・・・啓太でいいよ」
ラレス「とりあえず、外を案内しようか?」
啓太「ありがとう、助かるよ」
ドアを開けると子供達がたくさんいた。
「わー本物のキファニだ」
「伝説ではキファニは繁栄と栄光をもたらすって本当?」
「キファニ。キファニ」
啓太「ラレス、キファニって何?」
ラレス「異世界人の総称よ。時々あるのよ。この星では」
啓太の乗っていた部屋は一番大きな船体に属しておりそれから三方に伸びる桟橋が小さな船体を固定している。
2
なったとしても変わりたくないな…
私が変わるのは競馬みてるときくらい
オヤジ化するから。
足りないものを計算して補いあいながら
平和へ導いたんだよね?
カエルはなんであんなに変わっちゃったのかなーとか(富をえてそうなるのなら、こわいなーとか)
色々なことを考え込んだよ
啓太くんは無事に戻れてよかったね。
それは思ったよ
うん。。。
一気読みするには難しいから休みながらよむよ。
でも私も何か生き物と会話できる特殊な装置があるならつけてみたいと思ったよ
田島啓太は時の人になった。
遭難したのはバミューダ島沖であるのに発見は1年後に東アフリカ沖で船はいろいろな意味でオーバーテクノロジーであったのだ。
解析は進むが啓太の言う惑星ヴァッサという場所での暮らしを信じるものは少なかった。しかし、それでも物語としては受け入れられファンタジー扱いで書店に並んでいる。
割れやすいクルクルの破片を今は大事に保管し昔を思い出す日々は続く。
惑星ヴァッサと交易をすることになればその代表は啓太になることを思い浮かべながら。
了
28
啓太が皆を集めてさよならを言うとき季稀が一つのクルクルを持ち出し割って破片を渡した。
季稀「これでまた啓太がここに来たとき契約が出来る。割り符は惑星ヴァッサの伝統だからな」
ラレス「地球の物語はキファニの文化として語り継がれるわ。ありがとう。
(・・・結果的にあの人も元に戻ったし)小声
ムカスイ「プランクトン放出始めるよ。」
星空の中乳白色に光り輝くプランクトンの海を啓太の乗る船は漂う。
*
いつの間にかどこか別の何処かに来たようだ。
高くそびえる島が見えないということは惑星ヴァッサではないようだ。
この小舟にはGPSの装備などない。
どの方向に行けば良いのかすらわからないので救難艇モードにして海牛のスープの缶詰と海藻の瓶詰めでを紛らわす。
遠くにタンカーが見えた。
構造上後ろ向きに配置された操縦桿はホログラムのディスプレイにより運転できるがなんとなく慣れない。
タンカーはこちらに気づいたがよっぽど見たこともない形式の船だからか野次馬が見える。
タンカーの船員はこちらのSOSを受け取り近くの港に誘導してくれた。
29
27
惑星ヴァッサはサヴラ族もバイユモン族も関係なく議会制共和国の道を歩み出した。
お金を薬草ではなく情報管理されたお金に変わり経済は周り物資は様々なものが流通を始めた。島の薬草はいたるところで大量生産が始まり、資源採掘から常温超伝導が流通し始め船での生活ではなく海上都市の生活に変わり始めた。
計算が完了した。
海溝の位置と発光プランクトンの量が割り出されたのだ。
海牛を殺してその海溝の底にひたすら沈ませる。
今度は海上都市でプランクトンを培養してタンクに貯蔵し続ける。
ルルイエ「私も故郷に帰りたい。私の故郷ではすべてが機械に囲まれた星だが良い星だ」
啓太「僕も早く帰りたいよ。でも、帰れるとなったら少し名残惜しいな。
・・・そういえばバンクルどうしているかな?」
ムカスイ「バンクルは自分を見つめ直すと言って一人で小舟に乗って出ていったよ。
僕たちはラレスと復縁したけど。ラレスは今はバイユモン族を率いている実力者だけど、温和で今では立派な代表だよ。元首候補だしね。みんなそれぞれの専門知識生かして独立してるよ。僕も造船業の代表だしね」
ルルイエ「帰れる船は用意してあるのか?」
ムカスイ「小舟だけど準備終えてるよ。カパラソンの小舟と同じ形式」
啓太「みんなにさよならの挨拶をしないとな」
28
26
円形の船はルーラン号。船体が円形だからまっすぐ進むことすらままならない。
エネルギーは無尽蔵で積載量は多いので装備は魚雷やミサイルを大量に装備した。
海溝の端にいるルーラン号はとても目立ち。敵の船団が近づいてきた。
すでに忍ばせていた深海探査機のルートルは海の底から敵の位置を割り出しルーラン号は魚雷を射出する。敵の位置さえわかれば遠い距離でも狙えるのが魚雷だ。
海溝を間にルス号が猛スピードで走らせる。
逃げ足だけという悪評だったのがルス号だ。ルスは船団の最短距離まで近づくとすべてのミサイルを釣瓶打ちした。そのまま逃げ去る。
ゆっくり近づくソンブル号は敵のミサイルをそのまま受けるが装甲は厚くなんともない。
レーザーはエネルギー消費が激しいため温存するつもりらしい。
ルス号はルーラン号の近くに来るとエネルギーやミサイルを補給すると再度近づいた。
1発命中したがスピードは落ちない。最接近でミサイルを撃ち尽くす。
ソンブル号はさらに近づく。その頃にはもう敵艦はカパラソンになっていた。しかし少しずつ敵は海溝中央に逃げ続け敵艦の残骸だけでなくクルクルにも覆われカパラソンは身動きが出来ない。ソンブルは鏡を広げカパラソン対策をとるがそもそもカパラソンは攻撃する様子がない。
カパラソンに突入すると武装は外され舞踏会が広げられそうな社交場とシャンデリアがある。
こんな戦闘状態でもホログラムを駆使したお茶会を催していたらしく小綺麗な衣服に身を包むバンクルと元アヴレーク一族がまるまる太ってどこかみっともない。
カパラソンの本来の実力を使えば負けることはなかったかもしれない。
しかし、堕落してバンクルは武将の才能を失ったのだ。
救難艇の小舟を使うこともなかったがそもそも整備を怠り使えなかったようだ。
27
25
ルルイエ「俺は素材工学が専門だ。多くはまだ作れないが常温超伝導ができる。それを使えばエネルギー問題は解決する。ところでこちらの戦力はソンブル号、ルス号、ルーラン号だけか?相手はカパラソンと船団52隻。作戦はあるのか?」
季稀「島のアンテナによりすべての船の位置をこちらは把握できる」
ムカスイ「あと、ソンブル一族は装甲に優れ、ルス一族はスピードに優れるが小回りが効かない、ルーラン一族はエネルギーの・・・実は常温超伝導を装備した船だが機材が大きくて実験船で最強の船を作ろうとしたつもりだったが欠陥がある」
啓太「カパラソンは機動力と攻撃力を併せ持つが船団を率いる限り船団より速いスピードは出ないだろう。最後の一隻にでもならない限り。
・・・カパラソンの高出力レーザーだが鏡のような素材で防げないか?」
ムカスイ「鏡はレーザーにはある程度まで対抗できるがミサイルのような物理攻撃には弱い」
啓太「 アヴレーク一族は何故鏡を装備していなかったんだ?」
タリシ「アヴレーク一族はたえず仲間割れしている集団だから武装は対ミサイルなのさ」啓太「つまり、ソンブル号はミサイルには強いがレーザーには弱いということか」
ムカスイ「前に使った深海探査機のルートルと同じものを大量に作れない?」
季稀「構わんよ。何するんだ?」
ムカスイ「索敵だよ。それをルーラン号にさせる。大量の魚雷装備させてね」
26
24
亡命宣言によりサヴラ族は啓太を護衛しバンクルはカパラソンに追い出された。
砂に覆われ乾燥気質なトカゲは夕食に誘うが外に向かうかまどには乾燥させたクルクルが燃料にされている。カパラソンでは電気コンロであったことを思えば遅れている感じがする。植物とはクルクルしかない惑星ヴァッサでは他に燃えるものがないのかもしれない。光る布のおかげでだいぶ明るいがここはまるっきり洞穴だ.
ついでに島のあちこちに繋がる部屋は迷路のようにはりぐらまされまるでカッパドキアの洞窟のようだ。
季稀「食事だ」
割れたクルクルを器に盛られたそれは海藻と海牛のスープ。
食べ物は共通らしい。
季稀「もうすぐもう一人のキファニのルルイエが来る。それまで待ってくれ」
*
多くのサヴラ族とソンブル一族、ルス一族、ルーラン一族が集まりだした。
ムスカイやタリシやブリがいた。
洞穴の中は狭いので島の頂上で話す。
もう一人のキファニは灰色の肌で体毛がなく巨大な目をしていた。
「私がルルイエだ。世界の実権をカパラソンから奪うため協力したい」
25
23
啓太「バンクル。海溝で得たプランクトンの解析どうなった?僕はそろそろ帰りたいのだが」
バンクル「おお、そうか。それがあったな。季稀の元に行こう。カパラソンを石理島へ進ませてくれ」
*
カパラソン『一団』は石理島という島まで急ぐ。
*
石理島は特に渦巻きの模様が強い島だった。直径500メートルの塔のような島だ。
その島を覆う渦巻きにそって階段があった。
所々扉がある。この島自体がサヴラ族の島だからだ。
しかし、表門は島の頂上にある。
頂上には下に降りていく階段がありサヴラ族の集団が居た。
大きい顔をさらに大きくしたバンクルが、
「季稀はどこに居るんだ?」と言う。
ドスドスと重い身体で歩くバンクル。
「こちらです」という案内のトカゲについて行くと巨大な空間があり見たこともない機械類でびっしりの部屋があった。
バンクル「さっそくだが研究の報告をしてくれ」
年寄りなトカゲが「キファニ殿、初めまして。季稀です。いつの日か我々のキファニとも会わせたいですな」
啓太「それはどうも」
季稀「まあ、採取したプランクトンだが死骸になり酸素と反応すると発光するようだ。
この時の励起エネルギーは異空間を結ぶらしい」
バンクル「死骸がか?」
季稀「深海の酸素が少ない場所で加圧により生息するプランクトンが円錐の深海に溜まる。
それがガリーブ星の潮汐力により円錐のプランクトンが海面に打ち上げられる。
それが急速に酸化して発光して見えるがそれが遠い空間を結ぶようだ。
何処の場所かは惑星に対する深海の位置とプランクトンの量だろう」
啓太「それで、僕は地球に帰れるのか?」
季稀「かなりの計算が必要ですね」
啓太「難しいのか?」
季稀「いえ、キファニとしての啓太殿の電波望遠鏡を使えば可能になりました。
ただ、人工的にガリーブ星の潮汐力と同じ規模を行うにはエネルギーが足りません。
そこで啓太殿には我々のもとで別のキファニとともに研究を行って欲しいのです」
バンクル「それは、ならん!」
啓太「何故だ?」
バンクル「話し合いは終わりにする。船に戻るぞ」
啓太「わかった。ならば僕はカパラソンを出るよ。サヴラ族に亡命する」
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22
カパラソンはバイユモン一族の代表となる権限を得た。
血筋の力をアヴレーク一族より奪い取ったのだ。
天体観測の意味合いは大きかった。
バンクルは香辛料の代わりになる薬草が手に入るようになり食欲が増したのかもともとカエルのように小太りした身体がさらに肥えた。
この頃のバンクルは昔のような偉そうなカエルではなく、富裕層でほくほくなカエルに見える。
分け隔てなく平等にしていた昔の面影が薄れ意地汚くなった。
この頃、バンクルとラレスの仲が悪く度々喧嘩ばかりする。
確かに香辛料のような薬草のスパイスは美味しい。
なるほど惑星ヴァッサの豊かさは島の薬草のようだ。
中世の胡椒のように高価なスパイスは代わりに今までなかった不平不満をもたらした。
バンクルはカパラソンの装備に資産をかけなくなった。
お金でもある薬草を海藻や海牛と煮込んでは食べる生活が続く。
アヴレーク一族からそのまま権威を奪い取ったおかげで周りには絶えず大小の船が続く。
リュットはまるで料理長のようにバンクルと仲がよいのだが・・・
ムスカイはソンブル一族の仲間になり、タリシはルス一族の仲間になり、ブリはルーラン一族の仲間になった。
一人前として認められての門出ではなくバンクルが嫌になって出ていったのだ。
最近のバンクルは強欲なだけだ。
ソンブル一族は装甲の強化に資産をかけて、ルス一族はスピード強化に資産をかけるが小回りが効かない船らしい。ルーラン一族はエネルギーの装備強化に資産をかけるが船の知識はあまりないらしい。
23
21
アルミで出来たアンテナは竹を縦に3つに割って円状に並べたようでそれは規格化されている。すべての島の中央に設置され、広い土地の島では反感を買ったがサヴラ族の族長の命により設置を強行された。
均一な区間で島が存在するわけではないので誤差を計算しアンテナで得られた電磁波の結果をホログラムのディスプレイに表示する。
アンテナの位置の距離で測れる仕組みの電波望遠鏡である。
惑星ヴァッサから見える星空がバイユモン一族サヴラ族関係なく初めて確認できることになった。
辺りに歓声が響く。
そこで初めて惑星ヴァッサは恒星の第4惑星で内側に3つの惑星、外側に4つの惑星がありガリーブ星は他の恒星からの遊星をこの恒星が捕獲して出来た惑星と判明した。
アンテナは他にも通信を可能にし相手の船の位置を特定する手段としても有効なのが示された。(地球の電波望遠鏡と同じ仕組み。携帯の電波のやり取りと同じ理屈)
功績によりカパラソン一族は惑星ヴァッサの大部分の島との交渉権を確保した。
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20
巨大な空洞にあったのは異文化のコンピューターのように見えた。
丸みを帯びたパソコン本体らしきものが並んでいる。
まるで鉄のシャボン玉だ。
キョロキョロ辺りを見渡し啓太は小柄なサヴラ族に「これはなんだ?」と言った。
「量子コンピューターだよ」
啓太「電子のスピンを使うあれか?」
「そんな旧式ではないよ。完全な球体の中心から電子を飛ばしどの端子に接触するか?の確率で計算する量子コンピューターさ。基板チップ自体は小型なんだが薬剤入れて熱した液体の鉄鋼を膨らませて作る過程でいろいろ大きくなりやすくてな。まあ熱は溜め込みにくい利点もあるけどな」
バンクル「久しぶりだ。華師。今日はキファニを連れてきた。何やらアイデアがあるらしいから協力してくれ」
啓太「見たところ訪れるキファニによりかなり歪な文明度があるみたいだね。
でも応用が出来てないよ。オリジナルの技術が無いから使い方がわからないんだろう」
華師「なかなか自信たっぷりのようではないか、気に入った。その知識を教えてくれよ」
辺りには鉄のシャボン玉が散らばり円盤は光のキーボードとホログラムのディスプレイを映し出している。
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19
啓太「気師碁島とこの島の高さは変わらないね。何故この島に天文施設を作らなかったの?」
バンクル「細い島ほど高くなりやすいと言っても折れやすくてな。しかし、敷地面積は限られているからそういう使い方になる。で・・・お前の知識を知りたいからわざわざついて来てるんだ。・・・そ」
途中で遮るように、
啓太「華師、というかサヴラ族の技術士と話したいんだけど?」
バンクル「そこまで、自信ある内容か?」
バンクルは啓太の目を見つめる。
啓太「惑星ヴァッサの歴史を変えるレベルだよ」
あちこちに蟻の巣穴のような入り口が姿を見せる。
カパラソンを島に固定し切り立った崖の入り口のようなサヴラ族の巣穴に入って行った。
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18
気師碁島は細い塔のような島だった。
直径5メートルもないだろう。
細い島は高くそびえやすいが、細ければ折れやすい。
海溝の間にはこういう細長い島が数多くある。
そんな中でも気師碁島はとても高い標高のある島のようだ。
800メートルはありそうな細長い島だ。
そんな島の先に鉄塔が建ちさらに高さを誇っている。
啓太「あの鉄塔の先には何があるんだ?」
バンクル「カメラがあって天体の動きを観察している。全体が楕円の螺旋を描く星空だがら惑星の動きを追うには苦労するよ」
啓太「なんだ、天文施設って星の動きを追うだけ?」
バンクル「それが難しいんだ。地球という場所のように簡単ではない」
啓太「地球では反射望遠鏡だとか電波望遠鏡とかあるけど、惑星ヴァッサでは星の動きを追うだけ?意外に遅れているね」
バンクル「こうにも複雑な自転する惑星では難しいだろ?だいたいヴァッサでは巨大施設が作りづらい。広さがある土地は限定されてるからな」
啓太「地球の技術としてのキファニを発揮できそうだよ」
バンクル「ほう?聞かせてもらおうか」
啓太「それで華師はどこにいるの?」
バンクル「気師碁島の近くの少し平たい島だ」
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17
啓太「バイユモン一族って他にどんなのが居るの?」
バンクル「ん?ああ、カパラソン一族、ソンブル一族、ルス一族、ルーラン一族、アヴレーク一族が5本指の勢力だ。カパラソンは整備に財力つぎ込んだ我々の勢力だがソンブル一族、ルス一族、ルーラン一族は整備の視点が違うな。、アヴレーク一族は古い意味では我々の先祖の家系の直系を名乗ってる権威ある勢力だ。先ほど戦ったのもアヴレーク一族だな」
啓太「ふーん。だから大集団だったのか。・・・それで今は何処に行っているの?」
バンクル「気師碁島だ」
啓太「何しに行くの?」
バンクル「キファニはガリーブ星が訪れた時現れるとされる。啓太が現れたのもガリーブ星が現れた後だった。気師碁島には天文に詳しい華師がいる」
啓太「ガリーブ星って何?」
バンクル「惑星さ。軌道が安定しない。星」
啓太「衛星ではないの?」
バンクル「惑星ヴァッサの周りを回っているわけではなく恒星の周りを回っていることは確かなんだ」
啓太「質量関係で弾き飛ばされたりしないの?」
バンクル「絶対的質量持つのは恒星だしガリーブ星の軌道が楕円形描いているとはいえ惑星ヴァッサに潮汐力及ぼしたときは楕円の位置がずれる変化があるらしい」
啓太「キファニが現れる条件にはいろいろ必要なんですね」
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16
カパラソンは水素貯蔵タンクを満タンにしたい。海溝と島の間の浅瀬でエネルギーの補給をしている。海流に乗せて太陽電池の布を浮かべ発電している。
啓太「よくあれだの魚雷を避けれたな」
ムカスイ「小舟は自分で魚雷を避けれるからね。
桟橋は折れ曲がって船を支える。かなり高速移動だしもはや曲芸だよ」
桟橋を見るとなるほど各所折れ曲がりやすい間接のようだ。
啓太「ところで地球の海溝は大陸に沈み込む隙間だよ。惑星ヴァッサはだいぶ違うようだね」
ムカスイ「海溝はマグマが渦を巻いて沈み込むそれそのものだよ」
バンクルが甲板に来て太陽電池シートを見ている。
水素の補充を考えているのだろう。
啓太「船長。この特殊な海溝と島はどうやってできたんですか?」
バンクル「ん?そうだな。海溝は沈み込むマグマで巨大なほど結局深い場合が多い。
島はプレートから飛び出るマグマだが、
実は、沈み込む海溝の総面積と飛び出る島の総面積は同じだそうだ。
海溝が島を作っているのかもな」
啓太(パスカルの定理か)
カパラソンは太陽光発電の布を回収すると出航した。
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15
バンクル「何かに掴まっていろ。怪我するぞ」
船体が浮き上がった。
小舟3体で浮いている状態だ。
カパラソンは一番近い敵の船に向けてレーザー砲を射出。
そのまま海溝の外側に沿って高速移動しながら敵に1発づつレーザー砲を射出。
海溝中央にはクルクルの藻があるため通過できない。
「敵艦。ミサイル射出。同時に魚雷」
バンクル「ミサイルも魚雷も迎撃できるだけのエネルギーはない。高速移動で避けながら敵本体に迎撃」
直径3キロの海溝をカパラソンは一周する。
その間敵を殲滅。
啓太「どのくらいスピード出てるんだ?この船は」
バンクル「地球時間で時速300キロくらいかな?」
啓太「これからどうするんだ?」
バンクル「敵の数が多い以上持久戦には不利だ。このまま、ずらかるぞ」
啓太「こちらの圧勝ではないのか?」
バンクル「こちらは水素貯蔵タンクが空だろう。敵は損傷あってもまだエネルギーは確保している。目的のプランクトンは回収した。もうここにいる意味はない」
カパラソンは被弾した敵艦をよそにこの海溝の外に出た。
桟橋が定位置につき母船が着水した。
海流は日の当たる側から日の当たらない側に流れる。
カパラソンは海流の流れに任せた。
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海流は底を伝って海溝の外に流されている。
カパラソンはルートル海上までくると回収した。
啓太「ところで・・・海賊と言う割に他の奴らに会わないな」
ムカスイ「最強のカパラソンに立ち向かえる勢力は存在しないよ」
バンクル「そうでも無いようだぞ。レーダーを見てみろ。海溝の外側に多数の船体が居る。
囲まれているんだ」
啓太「奴らの狙いはなんです?」
バンクル「キファニの秘密だろうな。自由にキファニを呼び出すことができるようなら絶対の基盤になる」
啓太「どうするんです?」
バンクル「戦うさ」
ムカスイ「1対52の戦力ですよ?」
バンクル「長期戦は無理だな。しかし、勝てるよ
カパラソン、戦闘モード。高速起動。レーザー砲準備急げ」
15
13
クルクルの藻を中心に海流は渦をまいているらしい。
カパラソンは海流そのままにクルクルの周りを一周した。
海牛も漂ってきたようだ。
リュットは啓太に銛を渡した。
この星に木材というものはないため銛も重い金属製だった。
物は試しということで啓太は海牛めがけ銛を突くがあっけなく捕まえた。
1メートルくらいの海牛は調理場に運ばれ解体されて1時間くらいすると海牛とクルクルの海藻のスープがリビングで提供された。
海溝の周りは島が乱立してその島の周りも海溝だ。結果的に海溝同士が隣り合っている。しかし、海溝の境目は浅いらしくそこに碇を下ろして停泊した。
ルートルを海に下ろすと中心に向けて進ませる。
渦をまきながら海溝中心に向かいそこから海底に沈み込む海流をしている。
死んで浮力を失った海牛が海溝の底に沈み込んでゆく。
しかし、海溝とは言っても浅かった。
深さは100mくらいだろうか?
ただ構造は独特で円錐の形をしている。
底には海牛の死骸で繁殖するプランクトンで覆われている。
ルートルは海牛の死骸を掴みプランクトンを採取した。
14
12
啓太「一面に藻が繁っているな」
「クルクルだよ」
啓太「えっと。君は?」
「リュットだよ。食料担当の」
啓太「ああ。わかった」
リュット「クルクル食べてみるか?」
リュットは海面に浮かぶクルクルの実を収穫するとこぶしをぶつけただけで割れて透明な液体が漏れ出した。
差し出されたクルクルは卵の白身のようで味は粘っこい体液のようで・・・まずい。
リュット「栄養価は高いんだけどな。・・・味はまずい。クルクルは遭難時、実が浮き袋にもなるし栄養価で助けられるまで生かすこともできる。だけどクルクルの藻は船体に絡まり遭難の原因にもなる。交渉の時に使う破片にもなるが割れやすさは信頼の証しだという」
啓太「ここは何故こんなにクルクルが多いんだ?」
リュット「クルクルは海流に浮遊する藻だよ。各地から流れ着いた藻は海流の動かないここに集まるのさ」
啓太「ここには何があるんだ?」
リュット「海溝だよ」
啓太「質問の仕方が悪かった。何故海溝では海流が動かない?」
リュット「・・・知らないよ」
バンクルがムカスイにルートルという海溝探査ロボットを持って甲板に来た。
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11
バイユモンの船内を探検する。
啓太の居る客室。物置兼リビング。トイレは砂を敷いてある小箱の部屋。
風呂は小さなプールのような水風呂だった。
・・・操舵室が無い。バンクルは円盤のような機械で設定して後は自動運転らしい。
倉庫は砂のような希少金属と薬草の入った袋。機械類。
水素貯蔵タンク。
啓太「飲み水の貯蔵も食料保管庫も見当たらないね」
(案内役はブリという子供だった。地球ではブリは食べ物だよと言うと怒った)
ブリ「飲み水は無くなることは無いよ。海水は少し塩っぱいだけで飲めるし、食料もいくらでも海牛やクルクルが確保できるから要らないよ」
部屋で飲んだ水はそのまま海水だったのか・・・
啓太「海牛は何を食べて大きくなるんだ?」
ブリ「プランクトンだよ。種類は多いらしいね。夜中発光するやつまでいる」
海溝という場所に着いた。
12
10
機械はエイのような形でヒレと尾びれが付いている。
魚介類は海牛か水藻のクルクルしかない。
進化の原則として成立してない気がする。
啓太「実はバイユモン一族もサヴラ族も元はキファニなんじゃないのか?
繁殖できる能力があったから生存しているだけで・・・」
バンクル「そうかもしれないな。しかし、神話も何も残されてないんだ。
それはそうとこのルートルだが海底資源の収穫に使用する。海底は海溝があるらしい。
そこにキファニの秘密が隠されているらしい」
啓太「地球に帰れるのか?」
バンクル「かもしれんが詳しくはわからん」
地球に帰れる希望が出来た。
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9
その島は平べったい丸い島だった。梓呂島と言う名前の島らしい。
上陸してみるとせんべいのように渦巻きの模様がある。マグマの流れの跡だろう。
ペンギンの洞穴のように辺りには巣穴のようなものでびっしりだ。
サヴラ族の住居らしい。6本手足のトカゲがいた。
バンクルは木の破片のような物を渡す。
木の破片は相手の破片を重ねてぴったり重なることを確認すると奥の洞穴に案内する。
啓太「あの破片は何です?」
バンクル「クルクルという水藻の実の殻だ。その実のおかげで水難事故が減るし食料にもなる。割れやすい堅さで交渉の時はこれを出せば必ず相手とわかる印みたいな物だ。
ついで言うならクルクルは我らバイユモン一族の守り神だ」
ラレスが楊斑島で仕入れた薬草を持ってきた。
他に多くの土を運んで来た。
啓太「この土は?」
バンクル「希少土類らしい。産地ごとに使い分けるが詳しくは知らん」
「珍しいな。キファニか?」
トカゲが喋った。
バンクル「梓呂島の長の世利だよ」
世利「サヴラ族のもとにも新しくキファニが現れたらしいな。お互い大きな発展があるかもな」カパラソン総出で資材を運び終えると世利はどれだけでも伸ばせる糸の付いた重そうな機械を渡した。
世利「頼まれていた物を作った。これなら海底も探査できるだろう」
サヴラ族の住居は蟻塚のように複雑で発達した文明を持っているのだろうか?
10
8
起きてもまだ暗いままだ。
この星では1日の概念が違う。
水のコックを捻ると勢いよく水が出てきた。
顔を洗う。
コックを閉めてもポタポタの水滴は止まらない。心臓の鼓動のように音は止まらない。
唇に付いた水の味は少しだけ塩っぱかった。
ドアを開けるとバンクルが星空を見ていた。
服を着たカエルは少し小太りに見える。
そういえば、この星の船乗りはどうやって自身の位置。目的地の位置を確認しているのだろうか?
自転軸も全方位が回転する球体である。
磁軸はよくわからない。
啓太「昨日のアラビアンナイトの話で思ったんだけどさ。惑星ヴァッサではどうやって自分の居場所を確認するんだ?目的地とかどう登録してあるの?」
バンクル「すべての島に天然の識別が出来てる。地球とか言うところの住所録というやつか」
啓太「天然の識別?」
バンクル「渦を巻いて島が出来るのだが形成過程で磁気を帯びるのだよ。
地球では北極南極とS極N極あるらしいが、ヴァッサでは島ごとにS極N極ある感じかな?磁気の強弱が天然の識別になっている」
啓太「そういえば大陸が無いのだからプレート運動とか無いわけだ。
どうなってるの?ヴァッサの地底」
バンクル「学者の話では竜巻のように瞬間的な火山が島だけを作るらしい。
地球と言うところの話を聞く範囲では地球は自転軸が安定しているからでないかな?
月はその運動エネルギーの固定までするからな。ヴァッサは運動がねじれているのさ。
だから大きな運動エネルギーが得られずに大きな磁石が無いのだよ」
啓太「ヴァッサの火山がその竜巻な理由はなんと?」
バンクル「地殻が厚いらしい。その分熱が冷えにくいらしいけど」
9
7
大陸を知らないと言うことで啓太はリビングに人を集め地球の童話を話始めた。
テーマはアラビアンナイトのつもりなんだが幼いころの記憶の為思い通り話せない。
海の話でさえ地球は潮の満ち引き。大陸があることによる海流の変化。多様性。
・・・と話がいとまが無い。
度々質問がありその都度、話が止まる。
ラレスは話を聞きながらキーボードを打っていた。
啓太の話から伝記を作っているのだろう。
キファニの話は珍しいらしく情報として売れるのかもしれない。
砂漠の話をする頃には疲れ果てていた。
8
6
ようやく夜のような暗さになったが海流は自転に引きずられる海流と太陽熱を受け温かい海から冷たい海に流れる海流が混ざった状態のようでこの頃は螺旋を描いて降る太陽が見えた。
塔のように細長い島が乱立している。
高さも大きさも様々だ。
啓太「この星に大陸はいくつあるの?」
カエルの少年はタリシと言った。
タリシ「大陸って何?」
啓太「大きな大きな大きな大きな島だよ。海を覆うくらい大きいんだ」
タリシ「無いよ。そんなの。大きな島と言えば例えば直径3キロくらいの低く丸い島があるだけ」
啓太「その島は珊瑚礁なのかな?」
タリシ「また知らない言葉が出た。島の形成はみんな同じだよ。直径の大きな島はマグマの消費が大きいから低くなりやすいんだ。島は全部サヴラ族の物だよ」
啓太「サヴラ族って?」
タリシ「楊斑島の時、足は二本だが手は四本のウロコだらけのトカゲ居たよね?あれ」
啓太「この星の勢力図ってどうなってるの?」
タリシ「サヴラ族は泳げないし船を持たないんだ。だから喧嘩もしない。島が新しくできたら誰かが送り届けるけど契約はその個人と言うだけで争いもバイユモン一族同士の誰かと行う。争いは全部バイユモン一族同士なのさ。元は同じ先祖だろうにね」
啓太「じゃあ一人前なったら争いに参加すると言うことなんだね」
タリシ「バイユモン一族の中でも5本の指に入る名声のカパラソンからの門出なんて難し過ぎるよ」
啓太「僕の他にキファニは何処に居るの?」
タリシ「この星ではよく異星の生命体が来るけど単体だから繁殖は出来ずに死んでしまうんだ。文明を教えてくれる貴重な存在だけどね」
啓太「・・・帰りたいんだけどね。僕は」
7
5
「バンクルが許可与えたよ。行こうか」
啓太「君たちはどういう繋がりの乗組員なんだ?」
「バイユモン一族という血の繋がりだよ。バンクルとラレスが両親。
一人前になると船を出て恋人探すけどしっかり者でないともらい手ないから大変さ」
啓太「君の名前は?」
「ムカスイ。啓太の情報次第で僕も一人前になれるかもね」
桟橋は細い通路だが下は太いパイプで繋がるだけだ。
下を覗くと整備用なのか網状になっていてパイプはまるで太い首の関節かのようだ。
小舟は潜水出来る作りなのかドアは密閉出来るようドアはゴムのような素材で海水が入らない仕組みになっている。
小舟は小さいコクピットのように機械でびっしりだ。
キョロキョロして辺りを見るがディスプレイは画面が宙に浮き触れても触れない。
ディスプレイに触れようとした啓太にムカスイは気を散らしながらディスプレイに触れようとした啓太に一応の関心をしたムカスイは気を散らしながら「気づいたことはある?」と聞くので
啓太「内部に押し込められたように柔らかい素材が詰まってるね。緊急時には救命ボートになるのかな?」
ムカスイ「そだね。膨らんで緊急居住区になるよ。推進装置は後ろに配置されていて機器も後ろにあるから救命ボートの仕組みは前にあるよ。後ろに位置しているけどカメラで写した映像をディスプレイに表示するから問題ないよ」
・・・ということはこの柔らかい壁の向こうはすべて緊急居住区かと考えていたら・・・
ムスカイ「向こうには海牛の缶詰、海藻の瓶詰めで占められてるよ。出来れば使うことの訪れないことを祈るよ」
啓太「エンジンとかモーターとかないんだね」
ムカスイ「古い技術だね。それは。これはリミアモーター・・・つまり、磁場だよ」
啓太「動力源は?」
ムカスイ「太陽光を水素元素に変えてタンクに貯めてあってそれを使うんだ。難を言えば動力規模に比べエネルギー源が少ないんだけど。それはみんな同じ悩み抱えてると言うか」
とても手に負える技術ではない。
地球は技術で負けてるわ。・・・いうかあちこちの技術を吸収し発展してるなら強いだろ。
6
4
船の構造は巨大な母船があり桟橋が三方に伸びて小さい船が付いている。
客室から起きた啓太は近くのカエルと話を始める。
啓太「桟橋の先の小舟には何があるの?」
「動力炉と高機能レーザー射出装置だよ」
啓太「敵がいるの?」
「船はすべて海賊さ。もちろんこの船もね」
啓太「警察的なやつはいないの?」
「警察?そんなのは知らないよ。自動翻訳装置にもないワードということはまったく存在しないということだ」
啓太「そういえば言葉通じるね。どういう仕組み?」
「勝手に啓太に言語翻訳のイヤリングを付けさせてもらってるよ。思念がそのまま言葉になるから口に出した言葉が理解できなくてもいいのさ。こちらの言葉も翻訳されてそのイヤリングからわかるよ」
啓太は耳の近くを触れてみると耳たぶの下に小さな玉状なものが付いている。
耳の下だから正確にはイヤリングではないが別に表現は何でもいい。
啓太「僕は機械工学が得意なんだ。僕にキファニとしての能力があるとしたらこの船の整備にだよ。小舟案内してくれない?」
カエルの少年は独り言を言い始めた。
イヤリングとやらで船長バンクルと通信を行っているのだろう。
5
ゆっくり太陽が遠ざかる方向に海流に任せながらカパラソンは航海する。
まだ日は明るいが半日以上は経っているはずだ。
ガンガンガンガン。
鍋にこん棒打ち付けるような音がする。
ラレス「みんなーご飯よー」
こんなにこの船に乗っていたのか。
船長バンクルやラレスの他に500人はいる。
リビングだろうか?物にあふれた部屋にはテーブルや椅子はなく、ただ絨毯のような敷物が敷かれ至るところに料理の入った鍋や器があり・・・人々はカエルなのにあぐらを組み座っている。
料理は海藻と肉質は馬か牛のような何かの入ったスープだった。
「啓太はいつ文明と言う物を教えてくれるの?」
啓太「文明?」
「だって、一等客室に泊まっているじゃん。僕たちはとても狭いハンモックなのに」
・・・そういえば、キファニとか言っていたな。期待されているのか。
啓太「どんなのがいいんだ?」
「何でもいいよ」
とりあえず三平方の定理を教えた。
長さの条件が揃えば必ず直角になる仕組みだ。
「それ、もう知ってるよ。別のキファニが教えてるよ」
難しいな。
啓太「この肉は元はどんな生き物なんだ?」
「海牛という昨日捕まえた海の生き物だよ。どんなのか見てみる?」
年長組らしき子供のカエルはそう言うと厚みのある円盤を取り出し円盤から出ている光のキーボードを操作しホログラムの海牛らしきものが表示される。
・・・文明レベルは高そうだ。
海牛は形はクラゲだが哺乳類のように硬そうな皮膚をしているようだ。
「海牛に知能はなく海を漂うだけの生き物なんだ。捕まえる時は銛を一突きさ。
ああ、僕はリュット。食料確保の責任者だよこれでも」
あぐらを組んでの食事は慣れてない。
そういえば・・・潮の満ち引きが無さそうだ。大きな質量の衛星がないのだろう。
4
2
ぐるぐる回るだけの太陽。いつまで経っても日は沈まない。
楊斑島は突如飛び出た山だけが占めるような島にあった。
見る限り灯台はない。しかし、この異様な山のおかげで島の位置はわかりそうだ。
港は絶壁の崖に船を縛り付けるようで寄港しづらそうだ。
啓太「こんな島に何の用があるんだ?」
ラレス「ここの高山植物は薬になるの。貴重なのよ。こういう形状の島は数多いけど自生する植物はそれぞれ独自の進化を遂げていて効用も様々だからこの星のみんなこの薬のお世話になっているの」
島はよく見ると崖には横縞が走っている。
啓太「・・・どうやってこの島は形成されたんだろう」
「気になるか?」
啓太「あっ、はい。えっとあなたは?」
偉そうなカエルだが性別はわからない。
「俺はバンクル。カパラソンの船長だよ。
島はな、地下のマグマが渦を巻きながら地表に現れそのまま伸びていくことで形成されるとされる。沈むマグマも上昇するマグマも渦を描いて滞留しているんだ」
啓太「この惑星では太陽はぐるぐる回るばかりで暗くなりませんが、それは?」
バンクル「この星は公転軸に対し縦回転で10時間で一回転して、横に720時間で一回転しているんだ」
・・・天王星のようなものか・・・
啓太「このカパラソンの住人を見て思うのですが・・・男性女性区別がつきません。見分ける特徴などあるんですか?」
バンクル「惑星ヴァッサの生物は皆が雌雄同体だよ。雄雌とか時々言ってくるキファニの方が珍しいんだ」
楊斑島の商売人はトカゲのようにウロコばかりでしかも足は二本だが手は四本で登山がしやすそうだ。
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