月と赤い糸 第十章、最終章
- カテゴリ:自作小説
- 2023/06/19 00:52:12
第十章
どの位の時間、彼に手を握られていたかは覚えていない。
数分だったかもしれないし、数時間だったかもしれない。
思う存分泣いた彼は「ありがとう」と私の手を離した。
その時に私はまた、「私は利用されているのかもしれない」とふと思い
彼に「私はあなたを愛していたよ」とだけ伝え、その日彼には帰って貰う事にしたのだ。
人を傷付ける事が出来なかった。只、それだけの事。
私は次の日、新しい部屋を探しに出ていた。
彼から離れなければ私の心はボロボロになってしまう、そう昨夜思ったのである。
事実、リスカをまたしてしまっていた。
彼に家を知られてしまった以上、私は咄嗟に「逃げなければ」そう思ったから。
彼から連絡が来る前に、早くここを立ち去らなければ。そう、感じたのだ。
私は早急に家を決め、引っ越す事にしたのである。
彼からの連絡は来ていたが、私は恐怖心で何も返せずにいた。
連絡には決まって「また、会いに行っても良いかな?」そういった内容が含まれていた。
返事が出来ないまま、2週間が過ぎようとしていた。
私はその間に引っ越しをし、荷解きをしていた。
彼には、「もう、会えないよ、ごめん」と返し、音信不通となった。
それから、私はもう2度と会う事のない彼に思いを馳せる事はなくなった。
私はやっと彼に「さよなら」を言う事が出来たのだ。
私にとっては一生涯のたった3ヶ月程の「愛」に。
「さようなら」
最終章
あれから3年経った今でも私は月を眺めて煙草を吸い続けている。
繋がっていたはずの赤い糸は切れた。
いつか、私に見つける事が出来るだろうか、「運命の人」を。
天使の名前を持った彼に感じたような「赤い糸」で繋がっているだろう人に…。
猫に答えて貰うかの様に猫を見つめ続ける。
答えが返って来る筈もなく、猫も私を見つめ続けてくれていた。
今夜はとても心地の良い風が吹いている。
私を後押しするかのような追い風。
月を眺め、煙草を吸い終わった頃に、薬を飲み私はまた独り夢へと堕ちていく。
昨晩も月はきれいでしたでしょうか?
私も月や星が好きでよく眺めます。
田舎では天の川も見ることができて
自分が宇宙の中ではちっぽけであることが とても心強く感じます。
こちらのお話 身体を横たえて
何度も何度も色々考えてしまいます。
ほんと 良いお話ですね。
心に沁みます。
涙はデトックスと言いますし
泣けるのはいいことなのかもしれませんね。
身体も心もコチコチに固まってると涙さえ出ないことも経験しました。
暑い日が続くのでご自愛ください。
彼の中で 良い私でいられて良かった と思うのか
あの時どうして と思ってしまうのか
色々考えてしまいます。
これ以上傷つきたくないから自衛にでるのわかります。
そこで違う方向へ動いたらまた変わってくるのでしょうが
沼に沈み し ぬことさえできなくなるのはもっと辛いことでしょう。
よく寝て 今日も生きていられますように。
心から願っています。
お気に入りさせていただきました(*・ω・)*_ _)ペコリ