Nicotto Town



21世紀のお中元事情


非社会的生き様を貫く私にも憂き世の義理というものはある。
メンドクセーなーと思いつつも盆暮れの義務は果たさねばならぬ。
……とは言いつつも、選ぶのは少し楽しい。

お中元とお歳暮の選び方、大別すると二つの流派がある。
散々悩んで老舗の定番商品を決めたら、毎年同じものを送る派閥は多い。
先方が「ああ、またユースケの処から〇〇が来るよな」と計算できるのが長所。

お歳暮で顕著ですよね。□□からハムと焼き豚が来る、△△からはワイン……
こういう年中行事的貢物には安定感があり、奥様方からは歓迎される。
さてもう一派、毎回手を変え品を変え、オモシロそうなものを送り付ける派。

親しい連中にはやりやすい。値が張るけど気になる手作り腸詰詰め合わせとか、
お中元で注文し送った後で評価を訊ねる。旨かったといえば我が家も注文。
まあ、知人を毒見役に使ってるようなものです、ハハハ。

これ、たまに大当たりを引き当ててしまうと困ったことになる。
季節・数量限定の詰め合わせにしか入ってない瓶詰がやたら旨かったとしよう。
先方もこちらもリピートしたいので奪い合いになる。本店まで電話しちゃう。

選ぶ際には個数も重要。先様の家族構成を年に二度は思い出す。
下のお嬢さんが所帯持った後旦那連れて実家で同居してたよな、
確か幼稚園の話してたから……お子様が好みそうなのがいいかなー。

盆暮の付け届けとはモチロン、しがらみと癒着、贈収賄である。
それはいかなる国家民族においても変わらぬわけです。
とすれば。上記の二派(定番派VS面白派)も世界中に存在するはず。

どうせ戦争やるなら、この二派でドンパチやったら愉快そうだ。
実弾の代わりに熨斗つけた箱が飛び交い、地雷原には百貨店の手提げ袋がズラリ。
みな戦争を待ち望む。ありゃ、かんべむさしの『ポトラッチ戦記』だなー。




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