プロット 段階 小説作品 土使い
- カテゴリ:日記
- 2023/07/26 17:14:09
土使い
第1章
1
土使いと名を馳せる女性科学者はゴミ屋敷と化した研究施設にいた。
業務用机に置かれた山積みの食べ終えたカップ麺。ビニールゴミ袋の山。
カメラ付き電子顕微鏡を覆うように書類の山。乱雑のノート。
椅子に座る杵築 浅蜊(きつき あさり)は40歳と言うが汚らしい白衣を着ていなければとても科学者には見えない。
富永 蜜柑(とみなが みかん)は元素をもとにした小説を書きたく伝手をたどれば彼女を紹介されたのだがこれは予想外で世話焼きの性格の蜜柑は浅蜊を研究室から出して掃除を始めることにした。
研究書類はまとめて別にして山積みのカップ麺をゴミ袋に入れていく。
浅蜊は掃除されることに抵抗ないようでしばらくすると。ゴミ類は片付いた。
掃除を始めて5時間、浅蜊は何もすることなくただソファーに座っていた。
夕暮れ掃除が終わり紹介してくれた教授が夕食に誘った。
2
蜜柑の元素紀行なる小説を持って浅蜊のもとに行くと浅蜊は部屋を片付け
花瓶の花を入れ替えるくらい小綺麗にしていた。
最近の浅蜊は笑顔が多く他の研究者とも積極的に話をしていた
1
飛行船で7日と少し。アラブは広いアラブ大河が拡がり耕作地が拡がる。
ヤマーマ大学では冷房の風がまず出迎える。
蜜柑「土(ツチ)って何?」
浅蜊「土(ツチ)とは電気双極子のことで私の命名した素粒子よ。
電子そのものは電気単極子と言えるわ。
例えば球状全域マイナスが電子だもの。
この電子を『集合体』として見た時電気双極子が、
+を中心方向、-を外側方向にしてシャボン玉のように集まれば
質量が少なく大きさがある電子ができると考えるわ。
この時、この電気双極子のフレミングの法則は電気力が中心方向とすれば
磁気力は片側方向に全部そろう。
電子は磁力で纏まります。
この時、フレミングの法則の親指方向がスピンとなり
何故、2分の1かと言えばカオス理論ローレンツ方程式だから。
電子はプラスを中心マイナスを外側に形成され
陽電子はマイナスを中心にプラスを外側に形成され
ニュートリノは土(ツチ)をプラスマイナス交互に形成されていると考えるわ。
土(ツチ)とは+と-を重ねると土という字に見えるから土(ツチ)よ」
蜜柑「よくわからないけど。つまり、・・・この世のすべてはその土(ツチ)で構成されているとでも?」
浅蜊「うん。電子と陽電子とニュートリノで陽子や中性子が出来ているのなら
この世は全て土(ツチ)で出来ているわ」
蜜柑「・・・数式はないの?」
浅蜊「私はつじつま合わせの物語りで科学を語るから数式は無いわ。
だから一部科学者からの嫌がらせが酷くて研究室に籠もったのよ」
蜜柑「・・・研究室から出て良かった?」
浅蜊「うん。自分が提唱した実験の数々が見れたから満足よ」
エピローグ
蜜柑「次何処行くの?」
浅蜊「南米エクアドル インテルナシオナル SEK エクアドル大学」
蜜柑「何してるとこ?」
浅蜊「非放射性同数違位置体の真空-高加圧循環実験」
飛行船でおよそ7日。寝て起きて過ごせばエクアドルの下駄空港に着いた。
真空にしたり高過圧にしたりを繰り返す施設らしく見た目工場だ。
浅蜊「例えば。イッテルビウムという元素は圧力で電気抵抗が変化するのよ」
浅蜊はしきりにきょろきょろしては好奇心旺盛だ。
蜜柑は浅蜊のキャラクターをメモしてプロットを作る。
蜜柑「次何処行くの?」
浅蜊「サウジアラビア ヤマーマ大学かしら。テーマは土(ツチ)」
第4章 土(ツチ)
錫Sn ユーゴスラビア ユーゴスラビア史
ビスマスBi フランス ケルト史
ラジウムRa フランス ケルト史
フランシウムFr フランス ケルト史
ラドンRn 朝鮮 朝鮮神話
水銀Hg ドイツ ゲルマン史
オスミウムOs シンガポール ASEAN
タンタル Ta イエメン 千夜一夜物語
タングステンW オーストラリア アボリジニ開拓民
コバルトCo 中華民国 封神演義等
ランタンLa 中華民国 封神演義等
鉛Pb アフリカ アフリカ神話
キセノンXe スタン スタン共通神話
クリプトンKr イラン イラン神話
ジルコニウムZr トルコ トルコ神話
ハフニウムHf アルメニア 大アルメニア神話
イッテルビウムYb スペイン スペイン民話
ストロンチウムSr イタリア ローマ偉人
チタンTi イタリア ローマ偉人
セレンSe バルト4国 バルト4国民話
ルテニウムRu ハンガリー ハンガリー民話
ポロニウムPo ポーランド ポーランド民話
タリウムTl ポーランド ポーランド民話
モリブデンMo ギリシア ギリシア神話民話
セリウムCe チュニジア フィニキア神話民話
サマリウムSm オランダ、ベルギー、ルクセンブルグ の民話
プロメチウムPm オランダ、ベルギー、ルクセンブルグ の民話
ガドリニウムGd ルーマニア ルーマニア民話
ジスプロシウムDy ブルガリア ブルガリア民話
銅Cu モルドバ モルドバ民話
エルビウムEr モンゴル チンギスハン民話
ルビジウムRb カザフスタン カザフスタン民話
臭素Br フィリピン フィリピン民話
ホルミウムHo オーストリア パプスブルク家
テルビウムTb スイス スイス民話
ユウロピウムEu ニュージーランド ニュージーランド神話民話
ヨウ素I ニューカレドニア ニューカレドニア神話民話
ルテチウムLu マダカスタル マダカスタル神話民話
セシウムCs ミャンマー ミャンマー神話民話
ロジウムRh ミャンマー ミャンマー神話民話
クロムCr スロバキア スロバキア民話
バナジウムV ベラルーシ ベラルーシ民話
インジウムIn ベラルーシ ベラルーシ民話
ヒ素As ポルトガル ポルトガル民話
アンチモンAb ポルトガル民話
3
飛行船でおよそ3日と少し。飛行船の船尾から覗くと眼下にナイルの西に大河と
アフリカの豊かな自然があった。
飛行船はベンバ下駄空港兼海港に着陸すると上空に待機する。
蜜柑「ここでは何があるの?」
浅利「鉛の同数違位置体を研究してるの。新しい
同数違位置体を発見されたらアフリカ神話から名前を付けられるわ」
蜜柑「他の国は?」
浅利「世界で研究されているわよ」
メモ紙を渡された。
ルクネチウムTc 日本 古事記
亜鉛Zn 朝鮮 朝鮮神話
ツリウムTm アフリカ アフリカ神話
鉄Fe イラク アラブ神話
マンガンMn スウェーデン バイキング史
カドミウムCd スウェーデン バイキング史
ガリウムGa ウクライナ 古代ウクライナ史
バリウムBa イギリス イギリス史
ニオブNb イギリス イギリス民話
イットリウムY 西ロシア サンタクロース
スカンジウムSc 西ロシア サンタクロース
ニッケルNi 西ロシア サンタクロース
プラセオジムPr アメリカ アメリカ史
ネオジムNb アメリカ アメリカ史
アンタチンAt アメリカ アメリカ民話
カルシウムより軽い カナダ 世界史
テルルTe オーストラリア アボリジニ-開拓民
ラジウムより重い チェコ 世界
レニウムRe 北海道 イヌイット-アイヌ
ゲルマニウムGe ドイツ ゲルマン神話
白金Pt 南米 メソアメリカ史
イリジウムIr 中南米 メソアメリカ史
金Au エジプト エジプト史
銀Ag インド インド史
1
飛行船はアラブ全域が耕作地を眼下にシチリアのピッフェロ研究所まで飛行する。
蜜柑「ピッフェロ研究所には何があるの?」
浅蜊「核図表管理組合」
蜜柑「核図表?」
浅蜊「同位体全てそこで統括整理されているわ」
蜜柑「同数違位置体じゃなかったの?」
浅蜊「同数違位置体も同位体と言えるからそこで統括して管理されてあるわ」
蜜柑「同数違位置体って何?」
浅蜊「同数違位置体とは陽子、中性子の数は同じだけれど構成位置が違うために
周期表的反応が違うであろう元素よ。
原子核がバナナ型洋ナシ形と必ずしも球形をしていないのなら同数違位置体は
けっこう多いと思う。
…現同位体も原子核が洋ナシ形バナナ型と球形してないのなら
それは同数違位置体の一部であり、例えば鉛のような魔法数(マジックナンバー)の多い
原子核は同数違位置体も数多く存在すると予想予想するけど
鉛を例にとると球形になるまで原子核が変形し続けるものと思う。
中性子の配置次第でくっつきやすさが変わると思うので
同数違位置体は別元素に変わろうとも変化し続けると思うわ」
蜜柑「金元素などは安定同位体の種類は少ないから同数違位置体の寿命は短いということじゃないの?」
浅蜊「そうね。でも何割かは安定金になるから錬金術になると思うわ」
蜜柑「それで何処に行くの?同数違位置体として」
浅蜊「アフリカ カヤンバ大学」
2
イエメンとオマーンに挟まれたベンティールまで飛行船で4日ほど・・・
寝室もキッチンもトイレも風呂も完備の飛行船のため生活に不自由ないがそれでも
時差ボケはある。
椰子の木が植林され街が出来ているが場を占めるのは巨大な建造物がありタンカーが積み荷を降ろし建造物に流れた材料は別の元素になって出てくるらしい。
蜜柑「ここは?」
浅蜊「これも錬金術よ。軽元素を希少金属や金元素に変えているの。原理は先ほどの酸素をネオンに変えているのと同じ」
蜜柑「・・・金元素が簡単に作れたらハイパーインフレが起きるんじゃないの?」
浅蜊「金元素の資産価値を持つのは一部の金持ち。彼らが資産を溜め込む限り世の中は変わらない。金などを量産し日本を含め国債などの借金をチャラにしたのよ」
蜜柑「経済は崩壊しないの?」
浅蜊「個人であれ法人であれ所得の多い人から税を多くとるようにしたの。
ただし、美術品、骨董品は対象外。
だから、金持ちほど美術品、骨董品を買いあさる。
・・・結果美術ルネッサンスが起きる」
蜜柑「つまり、どういう経済なの?」
浅蜊「自分で価値を見いだす経済。・・・自分で価値を見いだすのが不得意なら鑑定士から購入して損失を少なくするでもあるわ」
蜜柑「それで。次は何処に行くの?」
浅蜊「金元素でも錬金術で作った金と自然金は必ずしも同じと言えるかしら。
陽子、中性子の質量が違うんだもの。原子核の配置は違うと言えないかしら?」
蜜柑「つまり?」
浅蜊「次のテーマは同数違位置体」
第3章 同数違位置体
蜜柑「ここには何があるの?」
浅蜊「地球温暖化の原因の二酸化炭素を人工光合成で人工ガソリンなどにする今だけど。
酸素を放出するんだから今度は酸素が多すぎる時代になる。
ここでは液体酸素を材料にネオン元素を作るのを担当して貰っているわ」
蜜柑「どーやって」
浅蜊「液体酸素をドーナツ型のかき混ぜる機械に入れて全域から中性子を飛ばす。
目標の元素に中性子が当たらなくても付近のどれかには必ず当たる。
粒子加速器の元素製造は命中率の問題でコスト高だけどこれは命中率としてコストが安く生成できる。
あとは酸素同位体が中性子多過ぎでβ崩壊したらネオンが出来るわ」
蜜柑「錬金術ということね。つぎは何処いくの?」
浅蜊「アラブのベンティール」
5
夕食を終えると蜜柑は
「それで何処に行くの?」と聞いた。
「沖縄が良いわ」
およそ1日で沖縄に着いた。
沖縄下駄空港から琉球大学までタクシーで移動する。
4
蜜柑「それで何処に行くの?」
浅蜊「まず腹ごしらえしない?」
蜜柑「じゃあ、アンコウでも食べるとしますか・・・」
飛行船は福島大熊町の下駄空港から漁港にほど近い飲み屋に着くと
アンコウ鍋を注文する。
浅蜊「アンコウって高級魚じゃなかったの?」
蜜柑「アンコウの養殖に成功したのよ。だから一般でも低価で食べれるので来てみたの」
浅蜊「養殖ってどうやって?」
蜜柑「海底に水を電気分解して酸素を放出する機器を置いたらしいわ。
アンコウ養殖の鍵は酸素だったと言うこと」
アンコウは白身魚のようにさっぱりしてるが皮や顔などうま味の部分は多い。
蜜柑「浅蜊の味噌汁注文していいかしら?」
浅蜊《びくっ》
蜜柑「どうしたの?」
浅蜊「飯取るという言葉があるけど。食べられる表現は苦手なの」
3
第2章 同数違位置体
1
20年前ほど前。時代は2022年。
世界は戦争で日本は貧困に喘いだ。
増税で削れるところを全部削り毎日の食費を削る。
国債は1000兆を超え不景気。どこも金が無い。
いつの頃からか金元素があふれ始めた。
そうして20年の時が過ぎる。
2
金沢 日本ハブ空港を経由して岩手大学についた。
磁気反応注目同位体。
magnetic reactionem operam eutron neutron nucleon ruina experimentum。
MROENNREはビスマス。ニオブ、水銀、銅酸化物、鉄系超電導物質、ニオブスズ。
いわゆる超電導元素の同位体を揃え磁気反応による同位体変化を観察する。
蜜柑「さ。では帰ろうかしら?」
浅利「まだよ。まだ元素の一部しか見ていない。
次は同数違位置体を見ないと…」
蜜柑は久我 正彦に連絡取り旅の延長を申し出た。
第2章 同数違位置体
シドニー空港を経由しておよそ7日の旅。
キャンベラ大学では多くの電球が一点物で作られ発光の記録されている。
浅利は今まで自分が企画した実験を見るのが感慨深かっただろう、
電球の製造工程を確かめるため蜜柑を急かす。
蜜柑「そんなに電球が珍しいの?」
浅利「珍しいわ。普通電球がタングステンなどを熱線をくるくる巻いてコイル巻くのに
この電球は直線にタングステン、レニウム、タングステン、レニウムと元素を
交互に置いて電流を邪魔てして発熱発光する仕組み。同位体を観測のために作られる一点物の電球だもの」
電球反応電体
ux bulbus reciprocus corporis neutron nucleon ruina experimentum。
UBRCNNREは電熱線部分の元素と内包気体が実験対象らしい。
飛行船は日本に飛んだ。
14
バオバブの木を会社のいたるところに植林され出迎えたアフリカ人に渡された
ガラス板に入った石板がそれらしく。
研究員は一番手軽に手に入るNNERらしい。
固体放射性核種崩壊測定solida neutron nucleon ruina experimentum。
SOLIDANNERはただの石板のようで数万以内で購入できるらしい。
カミオカンデは陽子核種崩壊実験だが中性子崩壊に視点を置いたものを固体で行う。
当然、同位体は全部揃えられているからできる実験らしいがコスパは良さそうだ。
蜜柑「風だ。土だ。水だ。火だ。などというような作品にはならなそうね。
…これは難しいわ…」
浅利「どんな作品を書きたかったの?」
初めて声に出して発言してる。旅の効果か…
蜜柑「剣と魔法の世界よ」
飛行船はオーストラリアまで飛んだ。
13
11
ナミブ砂漠に捨てられた兵器類が乱立している。
山積みの戦車。2つに折れた空母。巨大な穴の開いた潜水艦。
それらは苔が生え放置されてある。
飛行船で見た先にブブゼラ生産所が見えてきた。
12
ヌアクショットから南米レインスティックまで8845.32㎞
飛行船速度で4日半。
専用小型飛行船で南極まで飛行し上空からこんもりかまくらのような繭やらドーナツやらを確認する。
それぞれ
液体放射性核種崩壊測定liquid neutron nucleon ruina experimentum。
LIQUIDNNRE。
水素化合物放射性核種崩壊測定。
Consectetuer compositis neutron nucleon ruina experimentum。
CCNNRE。
フッ素化合物放射性核種崩壊測定。
cocos fluorinorum compositorum nucleon ruina experimentum。
CFCNNRE。
常温気体固体化放射性核種崩壊測定
solidum stone refrigeata nucleon ruina experimentum。
SSRNNRE。
プラズマ放射性核種崩壊測定plasma nucleon ruina experimentum。
PLASMANNRE。
らしい。
飛行船はそのままアフリカ ナミビアに飛んだ。
11
アフリカハブ空港あるヌアクショットまで飛行船で移動する。
途中の砂漠に航空機が並べて置いてある。ンデゲ展示場だ。
飛行船の時代になりプロペラ機ジェットジャンボ機砂漠に放置して航空機展示場にしたのだ。
浅利はまるで子どものようにそれを見ている。
蜜柑はそれを見ながら物語りのプロットを考える。
10
ニャティティ研究所は400㎞先ほどの場所で建築様式は先ほどのアリーナとほぼ同じだ。
electrica lucem molecule neutron nucleon ruina experimentum略して
電灯式分子中性子核子崩壊実験ELMNNREは希ガスではなく分子を内包気体に考える。
例えば二酸化炭素に放電させて核子崩壊が起きないかを確かめる。
蜜柑「…難しいわ。浅利教授。わかりやすく説明してよ」
浅利〔炭素14や炭素12や炭素13を実験たいのよ〕
浅利はしきりに周りを見ているのは実際に研究区域にくるのは初めていうことなんだろう。
9
備え付けられた空港からカヤンバ研究所に移動すると先ほどのアリーナが乱立している。
研究員の案内で室内に入るといろんな電灯がある。
蜜柑「ここは?」
浅利〔LUXNNRE。電灯中性子核子崩壊実験。
蛍光灯内包元素を同位体で揃えて放電で同位体がどう変わるかを測定するのよ〕
蜜柑「…これらは浅利教授が発案した施設なの?」
浅利は沈黙している。だけど久我 正彦教授からはそう聞いている。
蜜柑「内包気体は何の元素の?
浅利〔アルゴン同位体の寿命が少しながいのとか…
ネオン同位体の適切なのや、スンジウム同位体の適切なのや、プトン同位体の適切なのや、
キセノン同位体の適切なのや、ラドン同位体の適切な元素などよ〕
形は直線だがネオンのように光る実験施設はまるでアメリカの酒屋のような雰囲気だ。
8
そこにあるのは砂の山。どれも均一な山だらけでまるで古墳だ。
飛行船空港の真横に作られた研究所は気体を内包したシリコンの布のようで
発砲ダイヤモンドというらしいがまるでアリーナのような形だ。
蜜柑「浅利教授。ここの詳細を教えて欲しいんだけど…」
浅利〔gas neutron nucleon ruina experimentum。
つまり、気体 中性子 核子 崩壊 実験。
カミオカンデは本来なら陽子の崩壊を測定するものだったの。
でも陽子の寿命はとても長いとわかりたまたま観測されたニュートリノ観測に切り替えたのがカミオカンデ。
GASNNREは核種崩壊に研究目的とし中性子が陽子に変わる核子崩壊を観測するの。
同位体を全部完全に揃えたら核種崩壊実験として有効。
いろいろしてるけどここでは同位体元素を気体で維持し続けて核種崩壊を観測するのが
目的なの〕
パンロゴ研究所は広い天井で内部に観葉植物が茂り実験施設の繭が繋がるコンピューターがあった。
パンロゴ研究所で遅い朝食をごちそうになる。
アフリカ料理は多岐に渡るがここでは西アフリカ料理というものだった。
マフェと呼ばれるピーナッツベースの煮込みカレーライスのようで
ジョロフライスは黄色いピラフのようだ。
蜜柑「同位体の観測をしてるの?」
浅利〔同位体を揃えたらその崩壊の経過を調べたら核種の崩壊過程を詳しく調べらるもの〕
蜜柑「何故気体なの?」
浅利〔パイプオルガンは知っているかしら。あれが錫でつくられてあるのは有名だけど。
温度の差で同位体が変化する現象が起きるの。ペスト錫と呼ばれる現象だけど。
他の元素も様々な温度で実験してみることを企画したのよ〕
手紙によると次はサハラ中央にあるカヤンバ研究所らしい。
7
アフリカ モーリタニアまで12455.94㎞飛行船が時速80㎞だから6日半飛行船に滞在した。
飛行船は浮力がヘリウムのような気体のため部屋が広く作れる。
蜜柑は浅蜊を船尾に連れ出すと目隠しする。
丁度、『遺跡』が見えてきた時を見計らい「もう目を開けていいよ」と言うと、
浅蜊は「・・・あっ・・・」と歓声を上げる。
そこには巨大な復元されたアトランティスがあった。
3重の水掘りその上に石造りの建築様式。
浅蜊はそのまま遺跡を目で追うが飛行船はアフリカの大西洋沖ヌアクショットまで飛行した。
蜜柑「どう?部屋に閉じこもってばかりではわからない世界もあるでしょ?」
浅蜊はぷうっと頬を膨らませた。
ヌアクショットからパンロゴ研究所まで小型飛行船に移ると久我 正彦教授の
手紙から次の目的地を確認する。
浅蜊の年齢は40歳女性だが感情年齢は幼いので蜜柑が行き方を確認する。
空港ではアフリカ人研究員がパンロゴ研究所まで案内する。
6
飛行船の飛行速度は飛行機より遅いが多くの荷を運べる。
つまり、低価格での物流が可能で多くは飛行船が流行した。
船尾では食事ができるレストランがあり全面透明なアクリルガラスは配下の風景を優雅に映し出す。
浅蜊はレストランの提供するハンバーガーを食べるとカレンダーを睨むように見る。
蜜柑「ところで同位体って何ですか?」
浅蜊は携帯を操作し始める。
浅蜊〔同位体とは陽子の数は同じだけど中性子の数が違うの。
周期表的性質はほぼ陽子の数で性質が決まるから中性子の数が違っても陽子の元素の
同位体の一種とされるのよ〕
蜜柑「どうして、飛行船はアフリカ行きなの?」
浅蜊〔同位体の特製を調べる実験研究所がサハラにあるからよ。
カミオカンデの応用の設備だけどGASNNREがあるわ〕
蜜柑「GASNNREって何?」
浅蜊は返事をしない。
5
蜜柑は浅蜊を街に連れ出した。
服を買うためだ。久我 正彦教授の許可は受けている。
髪を揃えヘアバンドでポニーテールにすると、
街の若者向けアパレルショップ浅蜊を紺のセーターとスカートにコーデネートすると
浅蜊がしきりに携帯を触っている。
文字を打ち込んでいた。
浅蜊〔あなた、何?何故私をほっとかないの?〕
蜜柑は声に出して言う。相手は聞こえないと言う意味ではない。
蜜柑「私は自分の小説が書きたいの。そのためにはあなたに協力して貰わないと」
浅蜊はじっと蜜柑を見ると唇を噛みそのまま立っていた。
蜜柑の分の服も一通り買いそろえると京都市下京区の西高瀬川と鴨川の離合地点にある下駄空港から飛行船でアフリカに飛んだ。
4
久我 正彦(くが まさひこ)教授はまず蜜柑に大々的に礼を述べた。
正彦「いや、助かったよ。ゴミの山の研究者では困る。これまでも私らがいくら掃除してもゴミ屋敷化されるから・・・できればこのまま仲良くして欲しい。
小説の協力はいくらでも支援する」
蜜柑「いえ私が勝手にしたことですから・・・」
浅蜊はもくもくと食べるだけに集中している。
正彦「ところで元素をテーマにした作品かね?エレメントなどのようなものかね?」
蜜柑「昔から西洋では元素をテーマにした作品は書かれてきました。
私もそれに習おうと思いまして」
正彦「そうかね。ならば同位体もテーマにすべきだ。
・・・個人的に私からの提案だが浅蜊教授を連れて各地旅してみないか?
浅蜊助教授の友人となってくれればとても良い」
浅蜊は何も言わず料理のコロッケを頬張っていた。
3