小説「こころ」 後編
- カテゴリ:自作小説
- 2023/07/30 22:33:27
勉強机の上においたメグミンのフィギュアを見ながら考えた。恋とはなんであろうかと。好き(like)には、ポジティブな感情しか生じない。恋(Love)には、独占欲や性的欲求、献身などの苦悩や葛藤が伴う。私のメグミンへの気持ちはlikeだが、K君の高橋李依への気持ちはLoveなのであろう。そう理解した時に、私は、Kに置いてきぼりにされたような悲しみを覚えた。
メグミンのパンツを見ながら考えた。恋とはなんであろうかと。美への愛(Eros)、美しいものに対する肉体的欲求。私やK君が、メグミンを好きなのはエロスかもしれない。遊戯的愛(Ludus)、ゲームのように恋愛を楽しむ。広末涼子のことだろう。友愛(Storge)、激しい感情はなく長期間の交際を求める。私とK君のことだろう。実利的愛(Pragma)、30代、40代の独身女性が求める愛であろう。従属的愛(Mania)、服従し、嫉妬深く、愛の確認を求める。ストーカーのことだろうか。気を付けなければいけない。無償の愛(Agape)、返報を一切もとめず奉仕する。ホストに貢ぐ、あんぽんちゃんの愛であろう。
K君の高橋李依への愛は、何にあたるのだろうか。私に彼氏がいるかどうかを聞いて欲しいと頼むくらいだから、独占欲からの従属的愛であり、彼女のアルトリコーダーを舐めたのは、エロスからであろう。恋愛とは複雑で、K君の苦渋に満ちた顔を思うと、愛とは人に苦悩をもたらすものなのだろう。
いつか自分も恋をするのだろうか。引き出しから、ダグネスのフィギュアを取り出し、メグミンと並べた。主人公と同じ冒険者パーティーのメンバーだが、貧乳のメグミンと対照的な巨乳キャラである。甲乙つけがたい。
恋人には、何を求めるだろう。ダグネスのおっぱいを見ながら考えた。クジャクもオシドリも雄の方が華やかで、雄ライオンは立派なタテガミをしている。生来、雌は容姿を重視するのだろう。しかし、人間の男は、なぜ、女子に容姿を求めるだろうか。種の保存のためには、胸やお尻の大きさの方が重要なのではなかろうか。貧乳好きのKより、巨乳好きの私の方が、ずっと自然な気がする。しかし、好みが違うということは、Kと同じ女性を争うことはなく、長く付き合える気がした。
翌日、早く学校に行くと、高橋李依の机に中に、「話したいことがあるから、放課後に残っていて欲しい」と書いたメモを入れた。授業が終わり、人気がなくなった教室で、李依は椅子に座り本を読んでいた。
小柄で眼鏡をかけ、物静かで目立たない存在だが、黒髪が美しく、清楚な顔立ちである。惜しむらくは、高三になっても貧乳であることであった。いや、貧乳で良かった。巨乳であったら、私も惹かれていただろう。
私は、李依に声をかけた。
「高橋さん、残ってくれてありがとう。えっと、ちょっと、Kに頼まれて、ちょっと話したいこと、いや、聞きたいことがあるんだ。」
「塾があるから、早くしてくれる。」
フィギアは見つめ返さないが、李依は、話しかける私の方を見つめた。私は、目を合わせることができなかった。女子は苦手だ。
「高橋さん、付き合っている人いるの?」
「どうして、そんなこと聞くの?」
質問を質問で返してくるとは、女子は面倒くさい。待ち合わせ時間には平気で遅れるし、奢るとその場限りのお礼しかしないくせに、割り勘で10円でも多く払わせるとしかめっ面をする。お昼はなんでもいいよと言ったから、ラーメン屋に入ったのに、嫌な顔をして注文すらしない。とかく、女子は面倒くさく理解しがたいものだ。
「K君に聞いてくれと、頼まれたんだ。」
「どうして、K君はそんなことを聞くのかしら?」
質問を重ねてくるとは面倒くさい。私は、少し意地悪をしたくなった。
「K君は、高橋さんのことを好きなんだと思う。K君は、『この素晴らしい世界に祝福を!』に出てくるメグミンが好きなんだ。メグミンはロリッコと呼ばれているロリキャラなんだ。高橋さんは、小柄だから、高橋君の好みなんじゃないかな。」
李依は、首をひねり怪訝そうな顔をした。
「K君は、ロリコンだけど気にすることはないよ。源氏物語の若紫の段にも『中に、十ばかりやあらむと見えて、白き衣、山吹などの萎えたるを着て走り来る女子、あまた見えつる子供に似るべうもあらず、いみじく生い先見えて美しげなる容貌なり。』とあるだろ。十歳くらいだけど、成長したら美しくなるだろうと源氏は手もとに引き取るんだ。」
李依は、遠くを見るような表情をしていた。
「岡倉天心も『本当の美しさは、不完全を心の中で完成させた人だけが見出すことができる。』と言っているけど、完成された美しさより余白が残っていた方が想像力を働かせることができて魅力的に思えるんだと思う。」
「何が言いたいわけ?」
「K君が、君のことを好きだと伝えたかったんだ。」
「分かったわ。彼氏はいないわ。K君に、友達から始めましょうと伝えておいて。」
そう言うと、李依は立ち上がり、教室から出て行った。李依が怒りだすとばかりばかり思っていた私は当惑していた。女子の思考は理解しがたいが、K君は、端正な顔立ちをしていて、成績はクラスで一番だ。実利的な愛の対象としては申し分ないということか。
私は、K君の空っぽの席を見た。李依と付き合い始めると、メグミンのことは忘れてしまうだろう。そして、私のことも。K君がそれで幸福になるならば仕方がない。私は、K君とのお別れに、K君の机の中から、アルトリコーダーを取り出し口に含んだ。背徳的なそして淫靡で倒錯的な感情が込み上げ赤面した。
私の中で、倫理観とエゴイズムの葛藤が生じたが、その夜、K君に、李依には付き合っている彼氏がいると電話をかけた。沈黙をしていたK君に、週末、中野ブロードウェーのまんだらけに行こうと誘った。十字架を背負った私は、献身的で無償の愛をK君に捧げることを決意していた。
歳をとったので目が覚めてしまいます。
そのため、いつも眠くて困っています。
遺伝かな。引き出しに隠し持っているなんて、かわいらしいね。
甘い物の取り過ぎは気をつけてね。
ほどほどにね。
和菓子を作ったりもしているの?お仕事で忙しいから休日は寝ているの?
体に気をつけてね。
最近は、和菓子に凝っていて、小さい最中やお饅頭を引き出しに隠し持っています。羽田のラウンジは、保安検査場を抜けたあとなので、時間を気なしなくていいですが、新千歳は保安検査場の手前にあるので、ちょっと使い勝手が悪いです。航空会社のラウンジの方がいいですが、スカイマークやAIRDOのリージョナルを使うことが多いので、ANAやJALのラウンジは使いたくても使えないのです。
新大久保と麻布台ヒルズのラボに出かけてくる。
楽しみだよ。
どちらも初めていくんだ。
沖人さん、お仕事忙しそうだね。
体に気をつけてね。
甘い物の取り過ぎは血液がドロドロになってしまうよ。
カレーとかがでる豪華なラウンジは国内線にはないんだって。
知らなかったよ。それならカード会社のラウンジで充分だね。
今は、それなりの大学に入ると英語での授業は必須ではないでしょうか。
留学生も多いし、toiecでそれなりの点をとってないと、一流企業には入れないような気がします。
そんな時代になる前に、就職できてよかったです。
↑
おぉ~ナルホド「倒錯」ですか!納得
韓国やフィリピン・・・大学に入ると翻訳することをあきらめ、英語で授業してるらしいけど←いいような悪いような・・・どうかな?
日本語だと「倒錯」、英語だとアブノーマルでしょうか。表立っていうのではなく、秘めやかな方が、文学にぬります。
「L」がレズで「G」がゲイで・・・とつれあい相手に→「全く興味が無い」と打ち切り(*´Д`)
初桃ですか・・・ちょっと前具合が悪かったんですか?気づきませんでした。失礼失礼・・・(._.)
その具合が悪かった時に桃が食べられたらよかったのにねぇ
私
生協から届いた桃・・・和歌山紀の川だったんですが、固い!リンゴのような触感でした。
雨不足だったのか?
桃の皮のむき方、ネット検索してみました。固い桃と柔らかい桃は「むき方」が違う
ハイ!!!固い桃のむき方~~~とってもうまくいきました~♪
頭痛で頭が痛いとか、要因と結果が混じっている表現ではないかと、思いつつあります。トランスジェンダーだからゲイとか。
そんな本人でもワカラナイ「Q」→→ノーマルな一般人にワカルか!!!
L レズ
G ゲイ
B バイセクシャル
T トランスジェンダー
Q クエスチョン
・・・・・↑説明されても・・・わかります?
女が好きな男を好きになるということは、美味しいお蕎麦を食べに香川に行くのと同じくらい、最初に何かを間違っていると思いますが、恋愛は理屈ではないので、やむを得ないのでしょう。ゲイを好きな女の人は一定数いるような気がしないではありません。
ろくさん
女子の不可思議な行動の一つだと思います。友達を集めて、その面前で告白するという清水の舞台から飛び降りる、もしくはプレッシャーをかけるという戦術も使っていると思います。私は、誰から告白されたのか分からず、間違った相手に返答したことがあります。
たまちゃん
片付けに追われて、斜め読みしましたね。新たな境地ではなく、巨乳の泥沼にはまり、一歩も先に進めず苦悩している作者の姿が浮かびます。高校生の青春ラブコメを書こうとしても、哲学的に愛を論じようとしてもおっぱいなのです。重症です。
りんごさん
乃木希典の殉死に影響を受け執筆した作品で、後期三部作とされる前作『彼岸過迄』『行人』と同様に、人間の深いところにあるエゴイズムと、人間としての倫理観との葛藤が表現されていると言われる原典を勧めます。
恋~愛の6種類いろいろと考えさせられたり、メグミンのパンツやおっぱいを見て考えるところは面白くて笑いました。
「いつか自分も恋をするのだろうか。」←これは沖人さんの心の声なのでしょうか?
なにかこころの迷いを表現しているようにも感じたり、貧乳好きのK君が沖人さんに感じたり、頭がアッチコッチ飛びました。
私のkへの無償の愛~多様性を理解することで視点が変わり広がる世界を感じました。
その後のK君と私の こころの変化や展開が気になります。ダメもとで続編リクエストです。
今作はなかなか深い味わいで、沖人先生もまた新たな境地を開いたのではないでしょうか。
私の場合はエロス以外は皆無かもしれません。
ぐへへへへへ やっぱり美しい男はいいのぉ~(^p^)
おすぎとピーコ・・・どっちかが言ってました。
「私は男が好きなんだけど・・・女が好きな男が好きなのよねぇ・・。だからむくわれることは無い。」
どうなんでしょうか?K君は女が好きな男だと思うなぁ?
私も、中川大志君か伊藤健太郎君なら、アガペーで同じ布団で寝てもいいのですが、今週末に泊りに来るのは、小太りのおっさんです。布団にはいれずに、床に、バスマットをひいて寝かせようと考えています。
現代小説ですね^^
K君にアガペですか、おそれいりました♪
原作では、先生がK君を裏切り下宿屋の娘さんと結婚したと思いますが、今回は、K君を裏切りK君を手に入れるというLGBT時代にアレンジしてみました。いえ、胸の話をしたかっただけです。
>その夜、K君に、李依には付き合っている彼氏がいると電話をかけた。
こうきましたか ブ━━━━∵;(;:゜:鑾;゜;,);:∵━━━ッ
教訓 恋の告白は自分でする! ですね (*≧m≦*)
高校生で遠距離恋愛をするのは、なかなか難しいです。唯一の可能性は、中3で彼女を作って、小豆島の高校に下宿して通うことでしょうか。私は、高校生になったら、彼女を作ると宣言したことはありません。中学生は、将来大物になること間違いなしです。
スズランさん
若い頃は、イケメン重視で、年齢を重ねていくと、それ以外も大事になっていくような気がしますが、ヨン様ブームを思い出すと、そんなこともないのかなと思います。嵐も、お母さん世代の方がおっかけているような気もします。いくつになっても、心は乙女なのでしょうか。
やりとりだけど、流石イケメン、成績上位だと違いますねぇー(笑)
けどこんなトゲトゲした女子なら
十字架を背負ってもいいかも、と思いました( ̄ー ̄)ニヤリ
うちの中学生は、遠距離恋愛に興味があるようで...高校生ぐらいになったら、彼女を作るとか作らんとか...
無償の愛をわかっているのかどうか...
うんうん、綾瀬はるか様は何を着ても着こなすと思います。特にお着物姿好きですねー。
ドレスを着られると、釣り合う服を持ってないので、Tしゃつ、短パン姿で、登場して欲しいです。彼女なら、何を着ていても目を惹くでしょう。
作者も、貧乳がテーマだったこと以外は、忘れていたので大丈夫です。