人生の秋
- カテゴリ:人生
- 2023/09/13 08:46:19
阿保美代という漫画家をご存じの方は少ないかもしれない。
絵本のような、漫画というよりはイラストストーリーのような
作風の作家。
美しい短編が多く、文学作品のような味わいがある。
中でも「とても美しい小さな朝」という作品が好きだ。
多分、ロマン・ロランの「ピエールとリュース」という反戦小説の
影響を受けていると思う。
その中にある老人のエピソードがある。
一日中、若い頃に描いた絵を微笑みながら眺めている老人。
「彼は幸せなのだろうか、僕にはわからない」と若い主人公がつぶやくシーン。
この漫画を読んだ当時わたしはまだ10代後半か20代前半だったと思う。
「なんて寂しいエピソードなんだ」と感じたのを覚えている。
でも、最近わたしはその老人は幸せなのだと感じる。
彼が微笑んでいる理由は自分の若い頃の拙さとそれに反比例する情熱を
こそばゆく思い出しているのかもしれないが。
その思い出に浸れるだけでも、幸せなのだと思う。
宝石のような思い出を失ってしまう人々もいるのだから。
若いときはただ少しでも早く仕事しよう!とか
ぼーっとしていちゃいけない!っていう意識が強かったかも。
それは悪いことじゃないけれど、ゆっくり物思いに耽る時間があってもいいですよね。
Bz いい詩を書きますね。昔、彼らのビジュアルをモデルに漫画を描きましたww
猫付き帽子、お揃いだ~♪
若い時は何かをしていないと、時間がもったいないと思ったりして
寂しい、というのが先に来るのかもですね。
『本当にやさしくなれるのは 色褪せた景色を見てるとき』
(Bz 夢見が丘より)
本人の周りの誰かがカケラを持っていてくれるかもと考えると
何だか救われるね。
若い頃は「50代に入ったら、もうそのまま世界から消えていきたい。その後の自分の老いを見たくない」って思うだろうって思ってたんやけど、実際50になったら、若い頃に自分が価値あると思っていたものではない大事なものがたくさんあるんよねぇ。
でも本人が忘れても、その人と関わった人がカケラを持っていてくれているのかなと思うと、幸せかもなと最近は思ったりしてる。