黒いピアノと黒い猫 4
- カテゴリ:自作小説
- 2023/09/21 19:51:58
父と母と猫のエゼルと一緒だった日々。
それは二年前に突然終わった。
僕は10歳だった。
なんだか、すごく昔に感じる。
時々、あの頃の出来事はみんな夢だったんじゃないかと思ってしまう。
夢じゃない証拠は僕と母の幸せそうな写真。
でも父が一緒に写っている写真はない。
父は写真を撮るのが仕事なのに自分が撮られるのは嫌いだったから。
僕の宝物は母が女優さんみたいにドレスを着て毛皮を肩にかけている写真。
僕が生まれる前の写真なんだって。何だか不思議な気分。
ドレスは父が勤めていた写真館の借り物だったけれど、
毛皮は母がお店で歌ったり、いろんなアルバイトをかけもちしてやっと買ったんだって言ってた。
「毛皮を着るのがわたしの夢だったの」
でも、そんな母の宝物を父は売ってしまった。
母が泣きながら、父に「ひどい!!」と叫んでいた声が忘れられない。
毛皮だけじゃなくて、いろんなものが家から無くなった。
母のお気に入りだった外国製のカップや、最新型のラジオも。
父は勤めていた写真館をずいぶん前にクビになっていた。
でも、ずっと勤めているって母に嘘をついていた。
理由は父がダヤン人だったから。
父はどこに行ってるのかわからないけれど、夜遅くまで帰らないことが増えた。
そして、お酒の匂いをさせながら帰ってきた。そんな時は二階の自分の部屋のベッドにいても階下で父と母が言い争ってるのが聞こえてきた。
時々、何かが壊れる音がすることもあった。
母は、怒りでどうしようもなくなるとお皿を思いっきり床に叩きつけることがあったから。
そんな時、父は黙って一人で壊れたグラスやお皿を片づけていた。
ある夜、父の友人(友人がいたんだ!)という男が家にやってきた。
その男は変な匂いのするタバコを吸っていた。
「大人の話だから」と僕は父に自分の部屋に追い立てられたから
父と、その友人と母が何を話したのかは知らない。
そいつが帰ってから、母が「ダヤン人なんかと結婚するんじゃなかったわ」
と父に言ったのが聞こえた。父がそれに小声で何か答えた。
その後、何かをパシッ!と叩く大きな音が聞こえた。
翌朝、父が少し腫れた頬を僕に見せて「母さんに叩かれたよ。」と僕に言った。
口元は笑っていたけれど、父の目が潤んで見えて僕は何も言えなくなった。
母に弾いてもらえなくなったピアノ。
僕は楽しい曲を弾こうと思ったけれど何も弾けなかった。
エゼルは母の足元にまとわりついていたけれど、前みたいに抱き上げてもらえなくなって寂しそうだった。
そして、とてもいやな事件が起きたんだ。
ハッピーエンドにはなるはずですにゃ。
昔懐かしいガングロ系w ポイントはごっついブーツかな。
ありがとうです(^▽^)。
エロ可愛い~。
マジでハッピーエンドになるんでしょうね??