【お話】薔薇によせて
- カテゴリ:コーデ広場
- 2023/09/22 09:48:00
薔薇を嫌いという人もいるけれど、無視できる人はいないわ。この花は感情と記憶に呼びかけるの。
もらったステキコーデ♪:22
原種の薔薇は春に咲いて秋には実をつける、小さな花弁の素朴な花でした。
香りに魅かれた人々が手を加え続けて、花は大きくなり、実をつけることがなくなり。春だけに咲いていたのが、四季を通じて咲く花へと変えられていきました。
そうやって変わっていったのに、今度は、花が派手すぎる、嫌みだと言う人が出る。
迫力がありすぎて、怖いと言う人が出る。
変われと願って変えてきたのは、人ではなかったの?
それでも、薔薇は香る。
素朴な花だった時には、冬を乗り切るための栄養を集めた実で人を助け、
実をなくした後は、その香りで、人の心を癒し続ける。
とげは今でも人を刺す。けれど。
薔薇のやさしさと誇り高さは、たとえどれほど人が手を入れようとしても、
人の手には負えないものが、この世にはあるのだと。
その姿で。香りで。語り続けている。
***
原種の薔薇は、実をつけていました。ビタミンCが豊富なので、秋に集めておけば、冬を乗り切る食料のひとつとなりました。
花は小さく、けれど香りは優しく、とげが鋭くはありましたが、多くの人々に愛されました。
今でもローズヒップの名前で、ジャムが作られています。
日本のノイバラや、ハマナスも原種の一つです。
花と香りを愛した人が品種改良を続け、やがてバラは、オールドローズと呼ばれる種類に変化しました。
大きな花と、たくさんの花弁が特徴で、甘い香りがするものでした。そこから薔薇は実をつけることをなくしていきます。
ハイブリッドと呼ばれる四季咲きの薔薇は、もう、実をつけることがありません。
形と花弁の色の多彩さを、優先的に改良されていったからです。
けれども、薔薇の香りは今でも、鬱になった人の心に寄り添います。
落ち込んだ時に薔薇の香りをかぐと、心が浮き立ってゆきます。
トゲは今でもあるけれど。人がどれほど手を入れて変えてしまったとしても、
薔薇は、薔薇として、そこに咲いている。薔薇として在り続けているのです。