穐吉、ナベサダ、中村紘子
- カテゴリ:音楽
- 2023/10/11 09:18:55
一人ジャンルが違う!というご指摘はその通りなのですが、
この3人、個人的に繋がる、というか共通性のある偉人だと思ってるんです。
穐吉とナベサダの特集をラジオで聴き、その感を深くしました。
要は、欧米音楽に真摯に向き合う日本人としての姿勢というのかな。
まずジャズの二人から。穐吉は昭和4年、ナベサダは昭和8年。
世代論って好きなのですが、昭和ヒトケタでもこの二人はけっこう異なっている。
昭和5年生までは学徒動員に引っ張られている世代ですから戦争への意識が強い。
穐吉も大連で看護兵教育を受け、いざ前線投入という直前に終戦を迎えた。
上官が看護兵を全員毒殺するか真剣に悩んでいたという逸話も凄い。
穐吉はクラシックの教育を受けており、その後ジャズに転向しますが、
クラシックの人には、譜面採ればバドパウエルは演りやすかっただろう。
55年ごろの演奏には、パウエルを『バイエル』的に弾く穐吉の姿が浮かぶ。
渡米して没個性に悩み、世界社会における日本人としての存在意義を意識し、
ヒロシマやミナマタを題材にしたメッセージ性の強い作品を残すことになる。
うーむ、この話聞いて、中村紘子のエッセイを思い出したけど後にしよう。
次にナベサダ、昭和8年生まれは戦後の混乱期に米国文化の奔流を享受した。
バタ臭いという言葉を身を以て示す世代であり、ジャズは平和と自由の象徴。
幼少期に戦争を経験し平和意識もあるけど、米国の代表する文化を肯定する。
米国に渡り民族多様性、音楽的雑食性に影響を受け、南米やアフリカに憧れる。
ワールドミュージック的観点の開祖の一人になるわけです。
屈託はなく、ひたすら明るい。真摯だが鬱屈しないのがナベサダ。
失礼を承知で書きますが、朝鮮戦争の特需でクラブ回りして稼ぎ、
ベトナム戦争前後に渡米して音楽を学び、帰国してからもジャズ三昧。
安保闘争や全共闘世代とは完全に距離がある。音楽至上主義といえようか。
さて中村紘子は昭和19年生まれ。戦後の音楽英才教育一期生です。
チヤホヤされ持ち上げられ渡米し……技術の基本からやり直す羽目になった。
穐吉は精神論で挫折を乗り越えたが、中村紘子は古典的技術で己を鍛え直した。
ロシアンスクールのピアノ教授につけたのが彼女の幸運だったのでしょう。
「正しい」クラシックを学び、「正しい」耳と技術を会得できた。
こういうところが歴史あるクラシックの凄さだと思うんです。
『チャイコフスキーコンクール』等の彼女の著書は非常に面白い。
戦後クラシックが「正しくない」方向に変質していることへの指摘が度々。
ポピュラー音楽やジャズとの違いだなぁ、とこれまた感心する。
また戦後派としての迷いのない民主性というのかしら、
中村紘子の演奏もまた、ナベサダ的(失礼)現実肯定感が強い。
(おそらく私はそこが苦手。鬱屈し苦悩する音楽がスキなの)。
戦後の日本ジャズはレコードで耳から学習。クラシックはまず譜面ありき。
実は21世紀のポピュラー音楽教育もことごとくクラシック化している。
どこを、どの順番で、どの指で、どんな強さで弾くかが必ず示される。
いきなりYOASOBIの楽曲の話に飛ぶ。歌メロの器楽性が異次元。
打ち込みで音楽創るとああいう跳躍/細分化したラインは作り易いし、
ボカロ後の世代にはDTMツールも一種の「譜面」化してるのだと妄想する。
最後に、演奏に関する全く異なる二つの思想を引用しておきます。
あるクラシック演奏家に某が尋ねた。古典音楽の演奏に際し、
自分が加えた即興的要素により、譜面より素晴らしい作品になることはあるか。
クラシック屋さんには簡単に答えがわかるでしょう。彼はこう答えた。
「そうしたことがあったなら、それは芸術上の犯罪というべきです」。納得。
いっぽう某はインド北部出身の音楽家に、本質的には同じ質問をしている。
インド音楽は師が手本を示し、それを真似るだけで伝承され発展してきた。
即興的な要素は学習が進むにつれて増えていくのですか?
シタール奏者は質問を聞き返し、即興=個性・存在意義と理解し、こう答えた。
「すべてが自分のもの。演奏全体が、ラーガへの自分自身の解釈なのです」
これまた納得。面白いでしょ? 某とはデレク・ベイリーというギタリスト。
『インプロヴィゼーション ー即興演奏の彼方へー』は我が愛読書の一冊です。
いえいえ 穐吉敏子って難しい字ですよね
知らなければ読めませんもの (・・?
中村紘子さんのピアノはどうか判らないのですが(まだ聴いてなくてゴメンナサイ)
中村さんの対談とか読んだり観たりした事があるのですが 彼女はマルタ・アルゲリッチさんに似ているような気がするのです
アルゲリッチさんは 今は歳をとって丸くなられたみたいで音も柔らかく聴きやすくなったのですが 彼女が若い頃の演奏はトゲトゲしい感じがして嫌いでした
社長が気に入っていて良く店で「かけろ」って言ってたのですが…(´。_。`)
私はカラヤン氏と共演していたリヒテル氏とかが好きなのですが わりとカチッとした演奏のような気がします
ユースケさんはあまりお好きじゃなかったと思いますが グレン・グールド氏のバッハは好きです
彼のバッハは「まるでジャズみたいだ」と思いましたが 現代風で良いんじゃないかなぁ?
(って言うか ゴルドベルク変奏曲は彼みたいな弾き方をする人が多く?なりましたね)
最近の人だと角野隼斗さんとか人気みたいですが 彼もYouTubeでいろいろ実験的な事をやっているみたいです
クラシックは譜面どおりに弾くのが基本ですが 新しい演奏の仕方も良いんじゃないかと思います
クラシックと言えども当時としては最新の音楽だったわけで モーツァルトとかの即興演奏の話や リストは1つの演奏会で3台のピアノを壊して ご婦人たちを失神させたとか言う話が残っているそうなので 今のハードロックの演奏会みたいなものだったみたいです
時代も変われば音楽も変わると思うし 譜面どおりに演奏していても それがかつての演奏とまったく同じものとは言えないから(タイムマシンがあれば良いんだけど)
ユースケさんも苦手なら無理されなくても良いと思います
好きな音楽を聴いて楽しむのが一番です 音を楽しみましょう♪
私はプログレが好きとか言っていますがピンク・フロイドは苦手です
タンジェリン・ドリームも全くダメです…
たぶん使っているキーボードの音だと思うのですが 車に酔ったみたいに気持ちが悪くなるので聴けません
穐吉=秋吉です。紛らわしくてゴメンナサイ。
仕事柄、氏名表記には少々神経質になっておりまして、
『斉』の異体字なんて考えるのもイヤなのですが。
中村紘子、叔母が贔屓にしており、付き合いでけっこう聴きましたが、
正直なところ、体質的に受け付けない部分がありまして、
それが『クラシック』の根幹へのアレルギーだろうと自己分析しています。
Japan JAZZ Archivesでしたっけ?
この番組 もう聴けなくなっちゃいましたが 2つとものんびりした感じで良かったです
ながら聞きですが らじる★らじるで2~3回ずつ聴きました
そしてユースケさんの日記を読むまで ジャズのあきよしさんって 秋吉敏子さんだとばっかり思っていました
「秋吉」ではなく「穐吉」って書かれるって知ってビックリ!(番組のページにも書いてあるのに全然気がつかなくて…)
中村紘子さんはとても有名な方ですが 残念ながらほとんど聴いた事がありません
聴いてみないといけないですね