Nicotto Town


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月っは嗤い、雨は啼く 第一章

月は嗤い、雨は鳴く                

第一章

虚無感、孤独感、失望、人の「言葉」は凶器だと私は思う。
私にはパートナーが居る。
しかし、言葉を交わす事も目や顔を見合わせる事もない、只一緒にいるだけの様なパートナー。
笑いながら暴言を吐かれるような、そんな「最善ではないパートナー」だ。
最善でない事は私が一番良く分かっている。
私の心はいつも空っぽだった。
誰にも埋める事の出来ない溝の様な、ぽっかりと空いてしまった心に沁みる様な言葉を掛けてくれる人も
私には居ない。
そんな私がインスタグラムを始めたのは数年前の事。
人と会話がしたかったのか、人に癒されたかったのか、それは私にも分からない。
色んな人からdmを貰った。
その度に私の心は空っぽになっていき、枯渇していた。
なんの変哲もない日常に飽き飽きしていた。
それが「幸せ」と言う物なのか、私には分からなかった。
毎日の日々に愛情を感じなくなって、何年が経っただろうか。
今でもずっと頭に残っているパートナーからの笑顔での「絢がストレスだよ」という私に向けられた「言葉」。
心にずっしりとのしかかる重石の様な「言葉」に私は笑う事しか出来なかった。
私は、どんなに辛く悲しい「言葉」でも笑顔で接する事が出来てしまう。
嫌な体質だな、とつくづく思う。
宿命だとしか思えない様な私の「笑顔」。
人懐っこく笑い、笑いたくもないのに常に笑顔で居ようとする。
インスタのdmは文字だけの世界だったからか、私は良く泣いた。
人前では平凡に幸せそうに笑えるのに、dmでは笑う事が出来ずにいる日々。
そして眠れない日々。
誰とも会話しないなんて当たり前の日常で、私は自分で自分の感情が分からなくなっていた。
只、唯一分かって居た事は、「パートナー」の最期には私がいるであろう事くらいだ。
全ての事に疑問しか浮かばない日々。
つまらない、詰まらない日常。
時間だけが唯々、刻々と過ぎていく。
パートナーが眠りに付く頃、私は起き独り煙草を吸う。
何も考えなくて良い時間。
「笑わなくても」良い時間、その時間が心地良かった。
香水の香りとほんのりと甘く感じる煙草の匂い。
dmが来る事にも疲れ果てていた頃だった。
そんな時に限って出逢いというのは唐突に訪れる。
唐突にdmで私の赤く染めていた髪色を褒めてくれた人がいた。
久しぶりのdmに嬉しさを覚えたが、その男性は私に「若そうで怖い」とdmでわざわざ言って来た。
恐怖心を与えてしまっているのなら、申し訳ないなと謝りつつ、
被害妄想だと言われれば、そうなのかもしれないのだが私の存在を全否定されたかの様な感覚に陥り、
「無理してお返事しなくて大丈夫です。」とだけ伝え、私はその男性とのdmを諦めざるを得なかった。
返事は来ていたが、私は見る事が出来ずに眠れない一夜を過ごす事となった。




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