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月は嗤い、雨は啼く 第十七章

第十七章

彼に嘘を吐きながら「さよなら」を伝えてから、どの位の時間が経っただろう。
季節は何度も何度も巡り、桜の咲く時期になっていた。
インスタを見る事も減り、私はすっかりと「孤独感」にも慣れ、
今ではすっかり「独り」の時間も楽しめる様になりつつあった。
そんな頃、数年ぶりに「恋人ごっこ」をしていた彼からの連絡が来ていた。
「久しぶり!元気?」
相変わらず、楽しそうに連絡をくれた彼だった事に「安心」した私は、
「お久しぶりだね、私は元気だよ!瑞希は元気?」
そう尋ねると、彼は不器用に確かな言葉で、今迄の事を話してくれた。
彼はこの数年で沢山の傷を負ってしまった様だった。
「何人かと付き合っては見たものの、結局はいつも浮気されてさ…」
何とも悲しい話だろう…。
そんな事をされ続けて来たのだろうか…。
「セフレ扱いもされちゃって…」
辛いだろう、心が傷んだだろう、もしかすると今でも心は傷んでいるかもしれない。
彼の話によると、身体を求めなかった私との関係が「心地良かった」のだと
彼は伝えてくれた。
何となく私は勘付き、「勘違いならごめんね?もしかしてだけど、私ともう一度恋人ごっこがしたい?」
彼は「恋人ごっこがしたい訳じゃないよ」
「そうじゃなくてね…恋人になりたいんだ陽菜と…」
「私なんかと?」…「うん」
暫く考える為に私は少し時間を置いてみる事にした。
その間に私は柔らかな香りの香水を纏い、煙草を咥えていた。
何度も何度も煙草へと手が伸びる。
落ち着いて考えよう、そう思い私は独り考えに耽ってしまった。
2時間程考えた末に「瑞希の気持ちは変わらない?」
そう尋ねると、彼はすぐに「変わらないよ」と答えてくれた。
私は「人に興味が無くなって」数年経っている。
そんな私に「恋愛」という難しい事が出来るだろうか。
「ちゃんと考えたいから一週間待ってもらえる?」
私はそう彼に伝え、「分かった、待ってる」
「ありがとう」願いにも似た様な言葉を伝え、彼とのdmはその日終わる事になった。
パートナーはそろそろ眠る様子だったが、
私の頭の中は正直其れ所ではなかった。
「おやすみ」とだけ、いつも通りの言葉を交わし
パートナーは眠りに付く様だった。
その夜は、ほぼ眠りに付けずにいた私なのは想像が付く事だった。

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2024/02/03 17:48
急な展開に私もドキドキしています。
嘘のさよなら すごいなあって思ったけれど
相手の方はずっと思っていてくれたのですね。
思い出を美化して現実逃避のために主人公に近づいたんじゃないといいなあ
って思ってしまいました。
傷つくのはお互いに辛いですよね。
変わらないって どこまで続くのかな
っていつも考えてしまいます。
私は多分 自分自身がどんどん変わっている気がして
相手もそうなんだろうな って考えて 色々諦めてしまいそうです。
難しいですね。

来週は寒いようです
ゆっくり暖かくお過ごしくださいね(*´꒳`*)



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