Nicotto Town


なるべく気楽に気楽に~!


柔くしなやかな月の下で

第十一章

翌日、私が目覚めたのは昼を過ぎた頃だった。
ゆっくりと体を起こした私に気付いたリム君は「すずさん!おはようございます!」と
元気に笑って私に声を掛けてくれた。
私も寝惚け眼なまま、「…おはよう」と笑顔で応えた。
彼は昨日私が買ってきたパンをまとめていた様で、「朝ご飯、食べれそうですか?」
そう尋ねてきた。
私は、あまり食欲が無かった為に、「まだ、お腹は空いてないかな」と笑うと
「僕、少しお腹空いちゃいました」と笑って言っていた。
「残ってるパン…しかないけど、良かったら食べて」そう伝えて、
「あ…すずさんと一緒に食べたいので、お水貰っても良いですか?」と言ってくれた。
私はリム君へと、「色々確認しなくても、お水も飲んじゃって大丈夫よ」と
彼へと笑いながら答えると、「あ…ありがとうございます」とコップへと水を入れた。
「あの…昨日はありがとうございます…」と少し照れたように言う彼に
「こちらこそ、ありがとう」と笑顔で答え、「顔洗ってくるね」そう伝え、
私は洗面台へと向かった。
洗顔や歯磨きなどを済ませ、リビングへと戻ると彼は「…すずさん、少し良いですか?」と
神妙な顔で何かを話すつもりな様子だった。
「ちょっと待ってね」私はリビングにあった掛布団を寝室へと戻し
リビングに戻り、「珈琲と、薬飲んだら話そうか」と伝え、「はい…」と
水を飲みながら待っていてくれた。
私は薬を飲み、珈琲を淹れてリム君の座って居る正面に座った。
「どうしたの?」そう私が聞くと、「…あの、すずさん昨日僕の事…抱き締めて寝てくれてましたよね…」「あ…怖かった…?」そんな流れから会話が始まり、
「いえ…違うんです…いや、何と言うか…凄く落ち着きました…」
なんだか少し照れ臭そうに伝えてくれる彼に、「私も、リム君に抱き締められて落ち着いたんだよね…」
お互いに何だか似た様な事を思っていたんだな、と私は少し笑ってしまった。
「…なんで笑うんですか」彼も笑顔になりながら、二人して笑い合った。
「リム君が良ければさ…私の家に居たらどうかな…?」と私は彼へと問う。
「い、嫌じゃなければ…ね?」と逃げ道迄作っている私が居た。
「あ…全然嫌じゃないです!…出来ればすずさんと一緒に居たいと思ってしまいました…昨日」
珈琲をすすりながら私は煙草に火を点け、「リム君も一緒に吸おう」「…あ、はい!」と
お互いに煙草を吸い始めた。
「リム君、一緒に暮らそうか…」私はほんの少しの恐怖を抱いたまま彼へと聞いた。
「え…っと、それは…本当に良いんですか…?」と聞き返され、私は「うん」と頷いた。
「…すっごい嬉しいです!マジで!あっ…すみません、素が出ちゃいました」と言い、笑っていた。
その笑顔を見て、私も笑ってしまっていた。
「…あの、もし一緒に暮らして頂けるなら、俺…仕事探し頑張ります!」と、「僕から俺」へと
変わっていく彼に、少しは心を開いてくれたのかな、なんて思う私がいた。
「それじゃあ、これから宜しくね」と伝えると「こちらこそ宜しくお願いします」と返って来た返事に
対し、私は部屋の合い鍵があった事を思い出し、「どこだったかな…」と探し始めていた。
彼は不思議そうに私を見つめていたが、私は合い鍵探しに夢中になりつつも「…あった」と
小さく呟いて、彼へと「はい…これ部屋の鍵」と差し出し、「あ…ありがとうございます」と
笑顔で受け取ってくれた。
これから、どんな生活が待っているかは分からない。
でも、何故だか彼を放っては置けない私がそこには存在していた。

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2024/03/17 11:57
同棲開始ですね!
同棲なんていうとうきうきわくわくな感じですけど
二人はまだこれから始まるのでしょうね。
季節もちょうどリアルは春。
二人の関係がどう変わっていくのか
ゆっくり楽しみにしています。

紫音さんもお身体等大切になさってくださいね。
春はどうにも花粉等大変な季節です。



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