Nicotto Town


なるべく気楽に気楽に~!


柔くしなやかな月の下で

第十二章

リム君と生活を共にする様になって、2週間が過ぎようとしていた。
彼は私の家から近い場所にある花屋でバイトを始めていた。
今日は日曜、休みの日。朝起きたらリム君はキッチンに居て「すずさん!おはようございます!」
と笑顔で毎日の様に私へと声を掛けてくれる。
「おはよう…リム君」と少しづつ慣れてきた二人の間には温かささえ感じる空間がそこにはあった。
「顔洗ってくるね…」寝惚けていた私は洗面台へと向かう。
「はい!」そう返事が返って来ていた。
私は洗顔を済ませ、歯磨きをしリビングへと戻った。
彼はいつも私より先に起きている事が殆どだった。
休日の私は大体だらけている事が多い為、彼に食事を作った事がなかった。
そんな私とは正反対に、彼はいつも私に食事を作ってくれていた。
「今日は何を作ってくれたの?」そう私が問うと、「今日はホットサンド作ってます!」と
笑顔で答えてくれる彼に私も笑顔で「へぇ、美味しそうだね」と答えた。
「今日はバイト?」「はい!お昼からバイトです!」そんな会話をしながらも
キッチンではホットサンドが着々と作り上げられていく。
私は、「珈琲で良い?」と彼へと尋ね、「はい!」と答えてくれる彼へと珈琲を淹れる。
珈琲が淹れ終るまでに、私は薬を飲み、「中身はなに?」と笑顔で聞く。
彼は、「えっと…ハムと、卵と、チーズ!です!」「私の好きな物ばっかり」と
クスクスと笑い、「知ってます」とお互いに笑い合った。
王道のホットサンドではあるが、私の好みの物ばかりで心が躍る。
「でも、今日は少し違ってカレー粉も少し入れてみたんです!」「わぁ、凄い美味しそう」
なんて会話をしつつ、カレーも私の好物の一つでもあった。
お互いに何が好きで、苦手なのかも把握しつつある日々に私は「ありがとね、リム君」と伝え、
「いえいえ!そろそろ出来そうなんで座ってて下さい!」そう言われた私は
「珈琲も入ったよ」と答え、二人分の珈琲を持って小さなテーブルへと運ぶ。
私は床に座り、「煙草良い?」そう尋ねると、「勿論です!ゆっくりしてて下さい!」
私の部屋なのに、なんだか彼の部屋へと居る様な返答に笑ってしまった。
「どうしたんですか!?」…「いや、私の部屋なのにリム君の部屋にいるみたいで」と
笑いながら、煙草へと手が伸びる。
「あ…すみません!図々しいですね、俺…」と言っていたが、その後には必ず二人で笑い合っていた。
ボーっとしながら、咥え煙草をしている私を見て、リム君は「やっぱり…すずさん、かっこいいです!」
と言われてしまった。
「素だったわ」と私は言い「ありがとう」と笑った。
良い香りのしてきた朝食に、キッチンから三角形に切られたホットサンドを持ってきてくれていた。
「…俺も…煙草良いですか?」…「勿論」そう答え、朝食前に二人して煙草を吸った。
「すずさんは煙草が凄い似合いますよね!」そんな事を言い、「そう?」と私は答える。
「私は、煙草吸って死ねればそれだけで幸せかな」なんて笑って言うと、
少し寂しそうな顔をした彼は「…そんな事言わないで下さいよ」と小さく笑った。
二人して吸う煙草の空間が私は好きだった、「リム君」だったからかもしれない。
「さ、朝ご飯にしようか」煙草を吸い終えた彼へと笑って言うと、
「はい!きっと美味しいですよ!」と自画自賛している彼に対し、「自信満々じゃん」と
また二人して笑い合った。




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