柔くしなやかな月の下で
- カテゴリ:自作小説
- 2024/03/21 04:09:36
第十四章
リム君が帰って来てから、「あぁ…もう二十一時なんだね、お風呂入らなきゃ」と
我に返った私は、彼に、「お腹空いてる?」と尋ねると、「今日は、なんかお腹空いてないです!」と
答えた。「私もそうなんだよね」と言うと、「一緒ですね!」と二人して笑った。
「私、お風呂入らなきゃ」と笑い、お風呂を沸かす準備をしていた。
彼はなにかしら買ってきた様子で、「あの…これ…」と色んな野菜を買って来てくれていた。
「あ…ありがとう」と受け取って、冷蔵庫へと仕舞う。
「何か作ってくれようとしてたの?」と聞くと「…あんまり料理は得意じゃないんですけど…何か温かい物でも作れたらなぁ…なんて思いまして」と恥ずかしそうに小さく呟いた。
「ありがとう」そう伝え、「私も料理出来る所見せなきゃね」なんて言って笑った。
「疲れたでしょ、何飲む?」そう尋ねる私に対し彼は「それじゃあ白湯を頂ければ…」と答えた。
季節は十月の中旬辺りで、段々と寒くもなって来た頃だった。
「白湯ね、座って待ってて」…「はい、ありがとうございます」そう言い、テーブルの前に座った。
夜の仕事ばかりを選んでいたらしい彼は「今日は日曜って事もあって少し忙しかったです」と
多少の疲労感を帯びた顔をしながら笑顔で言った。
「お疲れ様だね…リム君先にお風呂入っちゃう?」と聞いてみたが、「いえ、俺はすずさんの後で…」
と疲れている筈の彼は私を労ってくれるかの様に、私を優先してくれた。
白湯を彼の前へと置き、「少しはバイトにも慣れた?」と尋ねる。
「はい!少しは!…でも、花を上手くラッピングするのが難しくて…うーん…」と考え込んでいた。
「ラッピングはきっとセンスじゃないかな?」私が答えると、「センスですか!またまた難しいです」と
笑って居た。「俺にセンスなんてもんがあるんでしょうか…」小さな声で私へと問う。
「リム君はセンスあるよ、きっと」…「そうですか?」そんな会話を続けた。
彼の朝食を見て来た私だから分かる事だ。
「リム君はいつも朝食を綺麗に飾るでしょう?」…「あ…一応見栄えが良い様にとは考えてます」
「そんな感覚で良いと思うよ」…「なるほどです…見栄えを考えれば良いんだ」私の大した事のない
アドバイスに腑に落ちたのか、「明日から、そんな感じでやってみます!」と答えてくれた。
「うん、頑張ってね」一旦落ち着いた私達二人は、「すずさん、折角カメラ買って来たから、何か撮ってみましょうよ!」と言われ、「色々私なりに撮ってみたよ」と撮った写真を彼へと見せた。
「すずさん、センスの塊ですね!凄い!」…「本当?」と照れ臭くもあり、嬉しい言葉だった。
「私も月の写真を撮ってみようかな、と思ってさ」少し恥ずかしさもありつつ彼へと伝えた。
「少し煙草吸おうか」そう彼へと投げかけると「今日は月が綺麗なのでベランダで吸っても良いですか?」…「勿論だよ」そう言いながら、「すずさんも一緒にどうです?折角カメラも月も揃ってますし」と笑顔で私を誘う。
リム君は玄関へと向かい、自分の靴を持ち出しベランダへと持ってきていた。
「あぁ…ベランダ用のスリッパも買わなきゃね」なんて笑って私は煙草と、カメラを持って
ベランダへと出た。
リム君も大きなリュックから一眼レフを持ち出し、ベランダへと出て来ていた。
「やっぱり月は良いですね…」相変わらず、照れている様に月を見上げる。
好きな人が月にいるかの様な柔らかな視線を向けながら、カメラを向けていた。
私も真似た様に月へとカメラを向ける。
思う存分月の写真を撮り終えた私は、リム君へと視線を向ける。
「やっぱり、綺麗な横顔…」と思い立った頃には彼にカメラを向けていた。
数枚、彼の写真を撮った頃に「わ!なんで俺なんですか!」と言われ、二人で笑い合った。
「ふふ…」と私は小さく笑った後に、「煙草吸おう」と彼へと言葉を掛けた。
「はい!」と二人して、煙草に火を点けた。
私の吸う煙草は細く、甘い味のする煙草だった。
それが、妙に美味しく感じた夜だった。
部屋へと二人して戻る頃にお風呂が沸いた音がしていた。
私は「それじゃあ、先にお風呂に入って来るね」…「はい!ごゆっくり!」と彼からの返事があった。
その日は長風呂をしてしまった日でもあった。
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