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ベニコウジ色素の危険性についての考察


(mirrorです)

ベニコウジを原料とするサプリメントでの健康被害について大変な騒ぎになっています.

この健康被害が起こった原因についてはまだ明らかにはなっておらず,問題となった製品ロットで【プベルル酸】という青カビが作り出す毒性の強い物質がみつかったとして調査を進めている…というところまでの情報を読みましたが,プベルル酸についてはまだ知られていない部分も多いということで,私がよく目を通しているNEJMやJAMA(医学論文)で検索をしましたが情報はみつかりませんでした.

ベニコウジを含む商品の回収もされていますが,しかしベニコウジ色素が使われている商品は依然として販売されており怖いという声を聞きましたので少し調べてみました.

こちらのページの【ベニコウジ色素】のところから引用します.

https://www.ffcr.or.jp/houdou/2001/05/7DB23E5C8A68DA0F49256A46001D4C37.html

1.食品添加物名
 べニコウジ色素 (MonasCus Colour)

2.基原・製法・本質
 子のう菌類べニコウジカビ (Monascus pilosus K. SATO ex D. HAWKSWORTH et PITT, Monascus purpreus WENT.)の菌体より、室温時~微温時含水エタノール又は含水プロピレングリコールで抽出して得られたものである。主色素はモナスコルブリン及びアンカフラビン等である。赤色を呈する。

3.主な用途
 着色料

4.安全性試験成績の概要
(1)単回投与試験
 急性経口LD50はマウスで14g/kg超、ラットで5g/kg超であるl),2)。

(2)反復投与/発がん性試験
 F344ラットを用いた混餌 (0.6、1.25、2.5、5、7%)投与による13週間の反復投与試験において、7%投与群で体重増加抑制、5%以上の投与群で腎細管上皮の壊死が認められている。無毒性量は1.25g/kgと考えられる3)。
 F344 ラットを用いた混餌 (0、1.25、2.5%)投与による 108週間の発がん性試験において、検体投与に起因する腫傷の発生は認められていない4)。

(3)変異原性試験
 細菌を用いた復帰変異試験の結果は陰性と判断されるが5,6)、1~200ml/plateという高用量の試験で陽性の結果が報告されている 7)。細菌を用いたDNA修復試験6),7),8)、哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験の結果は、いずれも陰性と判断される9)。マウスを用いた小核試験では5g/kgという高用量まで試験が行われ, 結果は陰性と判断される10)。

赤字にした部分がちょっと気にはなりますが,動物実験では途轍もない量を投与するため,たとえば桜餅に薄く着色した程度で健康被害があるとは思えません.
つまり,ベニコウジ色素だけが僅かに使われている分にはそれほどの心配は無いですよということです.
勿論,「やっぱり怖い」と感じる方もいらっしゃるでしょうから,そういう場合は避けた方が良いかと思います.

ここからは食品の栄養とサプリメントの健康被害について書いていきます.
私自身も利用しているサプリメントが幾つかありますので気を付けているところでもあります.

【食品】として扱われるものに毒物はありませんが,それが多量となった時には生きるために必須とされる塩分や糖も毒となり命を奪うことは承知の事実です.
とはいえ,死ぬほどの塩を摂ることはそう簡単ではありませんし,それをしたい人は居ないはずですから心配することはなさそうです.
しかしながら心配となる状況は他にいくらでもあり,それが今回の健康被害の主役でもあるサプリメントです.
サプリメントは不足しがちな栄養素を手軽に摂取できる非常に便利な食品ですが,忘れてはならないのが本来食品に含まれる量よりもずっと多く,一度に摂取するということです.
先に記したとおり,身体にとって必要なものですら限度を超えた量であるなら毒になるのです.
薬に近い性質でありながらも食品として扱われるため,誰でも自由に購入できることで多量摂取も起こり得ます.
例としてはビタミンC1000ml配合のドリンクなどを1日何本も飲むなど….
まず甘いドリンクは想像以上に血糖値を上げますし(血糖値スパイク)ビタミンCは"水溶性だからいくら摂っても安心"という方が居ますが,実際にはビタミンCの代謝により生じるシュウ酸が尿細管にシュウ酸カルシウムとして沈着することで発症した健康被害の例もあります.
ほとんどの現代人が不足しているビタミンDも摂り過ぎれば高カルシウム血症が生じます.
何にしても,有効成分が濃縮されたものはよく考えて摂取すべきではありますが,今回の紅麹サプリメントのように特定の効果を謳うものについては更に注意したいです.
というのも,こうした食品は医薬品よりもエビデンスレベルが低いからです.
医薬品であれば"前向きコホート研究"や"ランダム化二重盲検比較試験とメタ解析"という最も高いレベルの研究まで進めますが,健康食品は"動物実験"か"後ろ向きコホート研究"と呼ばれるものまでがほとんどです.
(※ 一部レベルの高い研究もあります)
…なんだかわからないことが書かれていると思われる方もいらっしゃるかもしれませんが図をご覧になっていただければ,これにどれくらいの信頼性があるのかは一目瞭然です.

https://jscsf.org/wp-content/uploads/call-for-clinical-research01.jpg

ここで私が言いたいのは,コレステロールを下げたいなどの目的であれば病院で薬を処方してもらい,自己判断でエビデンスレベルが低いサプリメントのみで解決しようと思わないでほしいということです.
サプリメントはその名の通り"不足を補う"目的で摂取するものと考えてください.

ちなみに……よく聞く"○○先生のお話(研究)"などもエビデンスレベルは低いです.医師の言葉にもそれがどのような論文ベースなのかを確認して正しい情報を得ることが大切です.


追記:
紅麹サプリメントの事件については,その本来の成分の凝縮と大量摂取が原因というのではなく,何らかの毒性のある物質が蓄積・凝集したことで起こったのではないかと考えています.腎機能としての濾過にも関係しているかもしれません.これらは今後明らかになってくるでしょう.
この記事では"(栄養素を含む)物質の濃度"の危険性を書いたものと理解していただければ幸いです.

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