Siegさんの日記 | ニコッとタウン

曜日によって手術のリスクが変わる件について

カテゴリ：日記
2024/04/15 03:06:49

(mirrorです)

現代に生きる私たちは，外科的な治療を受ける可能性が少なくありません．

特に長寿社会では男性は2人に1人，女性は3人に1人が生涯でがんに罹患するという推計があります．

嬉しい話ではありませんが，私たちにとって最も身近な病気とも言えるがんを，どう乗り越えていくのかを知っておくことは大切であると考えてます．

（最も身近な病気＞花粉症や風邪などは除きます；）

怪我や緊急事態でなどで外科処置が必要なことは多く，そういう時に手術日は選べませんが，ほとんどの病気で手術を受ける日を決めることが出来ます．

その時あなたは何曜日を希望するでしょうか？

かなり以前から，手術日は予後に関係すると言われてきました．

今回は曜日が死亡率や合併症に影響するというエビデンスを紹介します．

【日本における最新研究によってわかった！合併症が多くなる曜日とは？】

https://youtu.be/QsCVR10pqYo

佐藤先生の動画（5分程度）ですが，ここでは避けるべき曜日とその理由が論文ベースで説明されています．

参考文献はJournal of Surgical Researchですが，これは医学論文雑誌でネットでは見られないので別の文献を探してきました．

Pub Medですが…内容的にはこの研究で間違いないです．

【Weekday Surgery Associated With Short-Term Outcomes in Patients With Colorectal Cancers】

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38306937/

After PSM of patient, tumor, and operative characteristics, operative time was slightly more prolonged and blood loss was slightly greater in the Friday group; however, these differences were not clinically meaningful.

（意訳：金曜日のグループでは手術時間の延長と出血量の増加が見られたが臨床的な意味はなかった．）

＜中略＞

After PSM, the Friday group had a higher incidence of morbidity higher incidence of digestive complications, and prolonged postoperative hospital stay.

（意訳：金曜日のグループでは消化器系の合併症が多く術後の入院期間も長かった．）

（※ この文献は腹部の外科手術です）

Conclusions: The results may be useful in determining the day of the week for CRC surgery, which requires more advanced techniques and higher skills.

（意訳：この結果は大腸がん手術の曜日を決定するのに役立つ可能性がある．）

私も以前から"どうなのだろうか？"と思っていた部分があって，それは海外と日本ではいろいろ違いがあるだろうと，少なくとも日本では他の要素[病院の設備や執刀医の技術]が大きいかもしれないとも考えていたからです．

（たとえば疲労については手術は週に一回とか執刀医は特定の日に手術だけしに来るパターンがありますよね）

しかしはっきりと結果が出たのですから手術日を決める際に曜日の選択は軽視できないことに間違いはなさそうです．もちろん，病院の設備や術式，執刀医の腕前が重要なのは変わらないのですが，病院選びはともかく執刀医を選ぶのはむずかしい気がします…．

それに比べて曜日や時間はかなり自由度が高いと思うのです．

この文献ではがんでの手術ということですが，腹部の合併症では腸閉塞なども多いです．

【腸閉塞】

https://www.kitasato-u.ac.jp/hokken-hp/visitor/section/soc/Intestinal_obstruction/

研究では短期経過での結果ですが，長期に於ける予後にも影響はしていきますし，ここに出ていないことでも何らかの影響があるかもしれません．