ゴールデンウイーク小説
- カテゴリ:自作小説
- 2024/04/28 13:41:51
八女市黒木町へ
ゴールデンウイークの大型連休の前に初めてお父さんの実家に行くということで
酒木涼音は期待と不安が入り混じる。
新幹線は走り続ける。
仕事ばかりでまともにお父さんと話をしたことが無い。
かといって母さんもパートの仕事ばかりで冷たい食事をレンジでチンして一人で食べるというのが涼音の日常であった。
ひとりぼっちの食事は慣れていたが逆に家族揃って会話というものがわからない。
涼音は恐る恐るお父さんに聞いてみた。
「お父さんの実家ってどんなところ?」涼音
「町には猫のお城があって、人々は猫語を話すところだよ。」父である大樹はそう答える。
「えっ?猫のお城?」思わず涼音はお父さんに心を開いた。
「みんなが、○○やんにゃー?、うんにゃ、そんなんばっかり言ってる。」大樹
「なにそれ、面白い!」涼音
大樹は涼音の笑顔を見て安心する。
家族と向き合えなかった自分を反省する。
「猫のお城は猫尾城と言う場所で城山だけ残る城だ。」大樹
「他にはないの?名所。」涼音
「町の境界線近くに今度は犬のお城があるよ。犬尾城だな。」大樹
大樹は大樹の両親を思った。長い事話もしなかった。
急遽連休になったので実家に帰ることにしたのだ。
涼音が両親を思う気持ちと大樹が両親を思う気持ちは似ているのかもしれない。
「他には!他には!」涼音
涼音への好感度が良かったので大樹は微笑みがこぼれる。
「いくつもの巨大なちんこ岩が聳える場所が・・」大樹が言い終わらないうちに、
妻の芳美が「あなた、涼音は女の子よ。」と注意する。
涼音の軽い嫌悪感を感じたので大樹は、
「お茶でも有名だし近くには天文台もあるよ。」と言って場を濁す。
新幹線は走り続ける。
八女市黒木町へ涼音は思いを寄せる。