Nicotto Town


なるべく気楽に気楽に~!


柔くしなやかな月の下で

第二十二章

翌日ぼんやりと起きた私は彼が隣で私の顔を見ながら「おはようございます、すずさん」と優しいキスからの目覚めに「…ん、おはよう…」と彼の身体に顔を埋めながら言った。
彼が朝から私の隣に居た事があっただろうか…そんな事を考えながら、「…夢?」と呟いた私に彼はにこやかに「夢じゃないですよ…」と優しく私を抱き締めてくれた。
「すずさん、昨日お腹空いてなかったみたいだったから、パスタ作って良いのか分かんなくて…」と、彼は言った。「あぁ…そうだったね」…「お腹、空いてますか?」そんな風に聞いてくれる彼に対し、私は「ん…まだ空いて無いかも…」と答えた。「夜に出掛けるのでその時に沢山食べましょ」…「ありがと…」ゆったりとした時間が過ぎて行く中、私はまだぼんやりとした頭で「…そろそろ起きなきゃね…」と彼へと伝えると、「ゆっくりしてて下さい」そう言うと私の頭を撫でてくれた。
安堵感を覚えた私はまた、眠りへと二人で落ちて行った。
二度寝から目覚めた私はゆっくりと起き上がり、時計を見ると時刻はお昼過ぎになっていた。隣ですやすやと寝ている彼の頭を撫で、「おはよう、リム君」と小さく呟く。
彼を起こさない様にゆっくりとベッドから出て、私はリビングへと向かう。
一年の疲れもあったのか、お互いに随分一緒に寝ていた様に思う。
ベッドルームからリビングへと出た私は一先ず薬を飲もうと思い、白湯を作り始める。
何だか私が先に起きている事への違和感を覚えたが、こんな日もあって良いかなんて思いながら、出来上がった白湯で薬を飲み込んだ。
昨夜、メイクも落とさずに寝てしまった私はお風呂にでも入ろうと思い、バスルームへと向かう。
彼がいつも掃除してくれているバスルームに有難いな、と思いつつ私はほんの気持ち程度の掃除を済ませ、お風呂を溜め始めた。
お風呂が溜まる迄の間、彼の寝顔でも見ておこうとふと思い立った私は煙草と灰皿を持ち、ベッドルームへと向かう。彼も疲れが溜まっていたのか、静かに眠って居た。
ベッドへと潜り込みながら私は、久しぶりに見る彼の寝顔だな、なんて思いながら彼の髪を触り、頬を撫でる。彼の整った顔に見惚れながら、本当に綺麗な顔だなとしみじみと感じていた。
彼の安堵している様な寝顔に私はどの位の時間見惚れていたのかは覚えていないが、私の満足のいく迄見つめ続けていた。思う存分彼の寝顔と共に過ごす時間に私は少し身体を起こし、煙草へと火を点ける。
ゆっくりと煙を吸い込み、吐き出す。勿論、彼の頭は撫で続けながら。
一本の煙草が吸い終わる頃、お風呂が沸いた音が聞こえていた。
その音で彼も起きた様子で、「…ん…すずさん…?」と寝惚けている様子の彼に、私は「おはよう、リム君」そう伝え、キスをした。彼は眠たそうに目を擦り、「…おはようございます…」と両腕を広げ、私を包み込む様に抱き締めた。
私は彼の腕の中でまだ寝惚けているであろう彼へと「お風呂入って来るよ」そう伝える。
「…お風呂…」…「うん…お風呂」と静けさの中少しづつゆったりと会話をし始める。
「…お風呂…沸いちゃいましたか…?」と尋ねる彼に「さっき沸いたばかりだよ」と答える。
「…もう少しすずさんの事抱き締めてて良いですか…?」と聞く彼に「…うん」と私は答えた。
十分程抱き締められたままの時間が過ぎて行く頃、本格的に起きて来た彼は「…やっと目が覚めてきました…」と私に伝え、「おはようございます」とにこやかに私に優しいキスをしてくれた。
「おはよう」私も答えながら彼の優しいキスを受け入れていた。
「じゃあ、私はお風呂入ってこようかな」…「はい、行ってらっしゃいです」と私を促してくれた。
ベッドから二人して起き上がり、一緒にリビングへと向かった。
「煙草でも吸ってゆっくりしてて」と伝え、「はい!ありがとうございます!」とすっかりお目覚めの彼は煙草へと手を伸ばしていた。
私はお風呂へと向かいながら、「リム君?洗顔先にする?」と聞くと、「あっ!そうですね!」と吸いかけの煙草を消し、お互いの身体を見る事がなかった為に、そうして貰う事にした。
私も歯磨きしようと思い立ち、洗顔している彼の隣に立ち「私も歯磨きしちゃお」と二人並んで洗面台へと向かった。彼も洗顔が終わった様子で歯磨きを始めた。
こんな風に二人して一緒に歯磨きをした事の無かった私達はどちらともなく二人で笑って居た。
歯磨きを終えた後に、二人笑い合って、「何か不思議な感覚」と私は言って「そうですね!」と二人で笑い合い、キスを交わした。
「それじゃあ私はお風呂入って来るね、ゆっくり煙草でも吸っててね」と伝え、「はい!ありがとうございます!」と彼はリビングへと戻って行った。
「さぁ、お風呂だ」と私も洗面台の隣にあるバスルームへと入って行く。
三十分程お風呂に浸かっていただろうか、温まった身体で私はお風呂から出る事にした。
お風呂でさっぱりとした私は髪の毛をタオルでくしゃくしゃと拭きながら、リビングへと向かった。
リビングに戻ると彼は煙草を吸いながらぼーっとしている様子だった。そんな彼へと、「リム君もお風呂入って来たら?」と声を掛ける。「あ!すずさん、おかえりなさい!」と笑顔で言い、「そうですね!俺もお風呂いただいちゃいます!」と吸っていた煙草を消そうとする彼に対し、「それゆっくり吸ってからで良いよ」と声を掛けた。「あっ!ありがとうございます!」とにこやかに答えた。
私はタオルドライをしつつ、彼の隣へと座り「今日、年末って事もあるけど人混みは大丈夫そう?」とパニックにならないかを確認するかの様に彼へと問い掛ける。
「んー…大丈夫だとは思います!安心出来る要素がすずさんと薬で二つもあるので!」とにこっと笑って答えていた。…「ほんと…?」私は心配で堪らなくなったが、「ほんとです!きっと大丈夫!」と笑顔で言う彼に、「分かった」と私も笑顔で応える。
「不安感や呼吸が乱れてきたらすぐ私に言ってね?」と彼の頭を撫でながら伝えると、「はい!そうします!」と素直な返事が返って来た。
そんな会話をしている間に吸い終わっていた煙草に「そろそろ俺もお風呂入っちゃいますね!」と私を抱き締めた後、お風呂の準備をし始める彼に、「うん、ゆっくり温まっておいで」と声を掛けた。
「それじゃあ行ってきます!」と楽し気に笑う彼に私も安心し、「うん」と自然に笑みが零れる。
バスルームへと向かった彼を見て、大丈夫だと良いけど…と多少なりとも不安を感じていた私は、メイクルームへと向かい、ドライヤーをし始めた。ドライヤーが終わる頃にリビングから彼の「すずさん!お風呂上がりました!」という声が聞こえてきて、いつものように「リム君の髪の毛乾かさなきゃね、こっちにおいで」と彼をメイクルームへと迎い入れる。
「ありがとうございます」と何故かメイクルームは緊張気味にいつも入って来る彼をドレッサーへと座らせ、ドライヤーをし始める。柔らかい彼の髪の毛はあっという間に乾かせた。      二十二章は続く。




Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.