【未婚女性向け】身代わり理論②
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- 2024/06/02 05:41:09
説明しよう。
この理論を実行するために、まずしなければならないのは「彼氏と自分の親と面会させる」ことである。
もちろん結婚願望のない男であれば、両親と会うことにも躊躇するかもしれないが、このハードルはなんとかクリアして欲しい。
「別に将来どうのこうのってい言うんじゃなくて、単純な好奇心っていうか、届いたダンボールの中身を見に行こう」
とか、
「最近お父さんがハゲてきたかどうか家族で議論になったので客観的な意見を取り入れたい」
とか、
「麻雀のメンツが一人足りない」
とかの、苦し紛れの言い訳でよい。
とにかく親と会わせるところまでこぎつけて欲しい。
また周囲の男たちを見るかぎり、「女から結婚を迫られて別れた」という話はよく聞くが「親に会えと迫られて別れた」というのは一度も聞いたことがないから強めにプッシュして問題ないだろう。
しかし、ここで両親との食事の約束を取り付け、その日の夜にお風呂に入りながら
「これで結婚に向かって一歩前進したわ♡」
などと安心しようものなら、俺はその風呂に侵入し、口に含んだバスクリンを毒霧のようにお前の顔面に何度も吹きかけることになる。
男側からすると「親と会う」=「結婚」ではない。それはあくまで礼儀の一環なのである。
そこで、もし男と親を会わせることが決まったら、君はすぐさまメールを打て。
件名は
「緊急ミーティングのお知らせ」
である。
そして食事会の数日前、君は母親の大好物である文明堂のカステラを持って実家に戻るのだ。
「あんた、緊急ミーティングって何ね?」
のほほんとした顔でカステラに手を伸ばす母親の手を思い切りハタいてこう言え。
「カステラなんて食べとる場合じゃなか!」
「なんで?あんたが買ってきたっちゃろうもん」
「ミーティングが終わってからばい!お母さん、今度東京来るときケンジくんとご飯行くことになったとよ。お母さんそのことの意味分かっとうと!?」
「楽しみにしとるよ」
「だけん、それがダメって言っとうと!」
「何ね。何で楽しみにしたらダメとね」
「お母さん。私、今何歳だか分かっとる?」
「今年で、35やったかね?あ、34てことにしといたほうがよか?(笑)」
「36たい!もうここで結婚決めんと後がないと!」
「だったら結婚すればよかったい。早く結婚してもらった方が母さんもうれしかぁ」
「問題はそう簡単ではなかとよ!今どきの男子っというのは、『結婚』に対してスカイダイビングばりの恐怖心持っとうとよ!」
「ああ、トカゲ男子ばい」
「トカゲ男子?」
「テレビでそう言っとった。自分から女の子を誘えん男をトカゲ男子て言うっちゃろ?」
「……それ草食男子やなかと?」
「ああ、それそれ(笑)」
「なんで草食男子がトカゲになると?しかもトカゲは爬虫類でバリバリの肉食ばい!」
「あはは」
「笑っとる場合じゃなか!……とにかく、今どきの男に対して『結婚』の二文字は地雷ばい!それを踏んでフッ飛んだ女の子たくさんおるとよ」
「それは大変やねえ」
「だけん、私の口からは結婚臭は一切出せんけん、お母さんに代わりに言って欲しいとよ」
「なんで私が言わんといかんと?自分で言えばよかろうもん」
「だ・か・ら!私としては、『別に結婚は今すぐじゃなくてもいいし、そりゃ、したいかしたくないかで言ったらしたいけど、優先順位としてはケンジを困らせてたくない』っていう乙女心を前面に押し出したスタンスを保ちたいと!」
「お母さん難しいわ。あんたの言っとうことようわからん」
「分からんでも理解しようと努力すると!お母さんこのままじゃと孫の顔見れんよ!」
「孫……」
「いいと?お母さん、孫の顔みたくないと!?」
「孫……孫!」
「そうたい!その意気たい!それじゃあ段取りから説明していくけん。まず、しゃぶしゃぶ五元豚に到着しました。そして、お母さん、席に着きました。そのときお母さんはムスっとしといてほしいとね」
「なんで? なんでムスっとせないかんとね?」
「『キャラ付け』たい!最初フレンドリーにしとったのにいきなり険悪になったら『どんだけ情緒不安定な親だ』てケンジくんが不安になってまうやろ!お母さんはただでさえ誰とでも仲良くなってしまうけんね。だけん最初から険悪にしとかんとリアリティがなくなるやろ」
「(うなずきながら)険悪にするとね」
「お母さんはケンジくんに対して腸煮えくり返っとるちゅう設定やけん。自分の愛しい年頃の娘にプロポーズもせん、煮え切らん男やねって」
「でもケンジくん、いい人っちゃろ?」
「いい人やけど!めっちゃいい人やけど!お母さんは、愛しい娘を思うあまりケンジに腹が立ってしまっとると。それで最初からムスっとしとるお母さんは、お酒の勢いもあいまってついにこう言うと。『ケンジくん、あんた、娘のことどう思っとると? ちゃんと責任取る気あると?』」
ふぅ。。