Nicotto Town



前に横に、そして完遂&深夜アニメの功罪

3日かけて、やっと「ジャンゴ」を観終わりました。
忘れてたけど、2回目の視聴でしたw

よくよく考えると、タランティーノの映画は半分くらいしか観ていませんね。
余談ですが、タランティーノは引退作となるはずだった映画の制作を、今年になってストップしているようです。次は次で考えているらしいのですが、どうなることやら。まあ10作目で打ち止めと公言していたし、実際に次で終わりなんでしょうね。気が付いたら、もう彼も60歳を過ぎてますしね。

ジャンゴについては、ここであれこれとは書きませんが、機会があればご覧ください。半分しか観ていない身で言うのは憚られますが、その範囲で言えば、これがタランティーノのベストです。
ただしタランティーノですから、残酷シーンと血しぶきの飛びっぷりは、文字通りに出血大サービスなので、耐性のない方には無理にはお勧めしませんが。


で。


先月、今月と、とあるシリーズ映画の前後編を観てきました。

デッドデッドデーモンズ デデデデデストラクション

アニメ映画ですね。
原作は読んでおりません。
なんで観ようと思ったのか自分でも良く分かりませんが、気が付いたら前編を観てしまったので、仕方がないので後編も観てきました。

という書きっぷりからもお察しかと思いますが、後編を観終わったところで脱力してしまいました。

このタイパがどうとか、ク〇みたいな価値観が横行する時代に(おっと失礼)、前後編に分けての作品とは強気に来たものだと思います。そこは評価しますけどね。


全編を観終わって。
真っ先に頭に浮かんだのは「これは、裏返しのエヴァンゲリオンだな」という印象でした。

話の内容自体は、これっぽっちもエヴァンゲリオンには似ていません。
ただ、幼稚な自意識の在り様をひたすら内側に追っていくエヴァンゲリオンと対をなすように、それを外へ外へと求めていく様子が、わたしにそんな印象を与えました。

わかりにくいですねw

内向きに自意識が向かう人が、その矛先を逆に外部への批評として振り出していくような、ある意味でとても今っぽい映画だなと。で、ネットでの映画評の投稿サイトなどを見ていくと、基本的には高評価基調。

まあ、そうでしょうね。。。

個人的には散々な評価をしていましたが、とは言え後編を観ずに評価を下すのはご法度だろうということで、値段のお安くなるレイトショーで後編も観て参りました。



結論。
もはや評価対象外。。。


もちろん原作はメッチャよく出来ている可能性もあるのですが、なにしろ原作は未読なので、これが良くある原作あり映画の末路ということなのか、そこは私にはわかりません。まあでも、あまりの酷い終わり方に、その要素もあるかなとは想像してはいますが。

結局、話の論点となるであろうすべてのことに対して、物語としての一切の回収がなされないまま、最後で全部まとめて闇の中。最後の映像的なカタルシス的な雰囲気と、そこにある意味でミスマッチで、ある意味で旨い演出として、あのちゃんエンドテーマが乗っかって、気分だけ盛り上げてオシマイ。


なんだこりゃ。
物語が回収されないまま時間切れで終了する映画は間々ありますが、ここまで酷いのは中々ないw
しかも、話の中核部分にある謎については、全部セリフでト書きでも読むかのように説明していくという、高い抽象度や複雑性のあるストーリーを表現しきれないダメ映画パターンにハマっている。。。

で、再び映画批評投稿サイトなどを見ると、やはり圧倒的な高評価。。。



1990年代の前半。
まさにエヴァンゲリオンが放映された頃。
バブルの後半から終焉の時期。
深夜帯のTV番組が無法地帯となり、ぶっ飛んだ実験番組の様相のコンテンツが次々に現れ始めました。
そして時を同じくして、いわゆる深夜アニメと称されるアニメが登場し、市民権を得ていきました。
あくまでも子供番組であったゴールデンタイムまでの時間帯に放映されるような従来のアニメではなく、それまでは一部の漫画好きしか決して手に取らないような漫画雑誌などでは昔から展開されていたような、ジャンプやサンデーといった分かりやすい漫画ではない実験的な漫画のようなアニメが、深夜とは言え地上波放送というメジャー媒体に登場し、それなりの影響力をも以て市民権を得ていったあの時代。私は、日本のサブカルチャーが大きな節目を迎え、大きくレベルの上がったタイミングであったと思っています。

しかし、一方で表現する側のレベルが上がった(というよりも、以前から存在はしていたそういうものの在り様が、一般レベルで認知されるようになった)ことと、それを享受する側のレベルが一致して上がったかどうかは、なんとも言えないと思っています。

ここから先は、じゃあお前はどうなんだと問われてしまうことになるのかもしれませんが。

具体的な内容そのものよりも、従来の良くある漫画やアニメの在り様から逸脱していることそのものに対して評価をし、それを評価できている自身の評価を底上げしていくような、そういうメンタリティの中で深夜アニメが評価されてしまう状況。そういうことは遥か昔からありはしたものの、いずれにせよそれは水面下でのことであって、一般体な社会レベルには必ずしも浮上して来てはいなかったわけですが、それがごく平均層なレベルで行われていった流れが、90年代中ごろから現在にいたる状況かと思います。

いわゆるアニメオタクが、汚いものでも見るかのような視線に晒されていた90年くらいまでの状況が変わり、アニメが趣味という価値観が当たり前のこととして市民権を得ていくプロセスと言えば分かりやすいかもしれません。

もちろん、それを全否定しようとは毛ほども思ってはおらず、先述のとおり日本のサブカルチャーのレベルは確実に一つのステップを越えたと思うし、凸凹はあれども視聴する側の意識もレベルも上がり、結果として私自身も色々な高いレベルのコンテンツを目にする機会を得られたわけですから、総論としては良いことだとは思っています。

とういうことで、そういう背景の中で、この映画に高評価が与えられることは何ら不思議はないのですが、それにしても、あまりにも酷すぎる。



しかし。。


主人公の二人の女子高生の声優を担当した、本職は声優でも何でもない幾多りら(YOASOBIのボーカル)と、あのちゃんが上手すぎて、これは絶句ものでした。まあなんつーか、あのちゃんに関しては単にそのまんまという話もありますがw




まあ御託はもういいので、次は何を見に行こうかなということで、おやすみなさい。


PS
エンドロールを放心しながら眺めていたら、むかしまだ映像制作の仕事をしていた頃に付き合いのあった会社やらの名前をチラホラ見かけて、ちょっと懐かしかったかなというのも、まあ良かったと言えば良かったですw




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