Nicotto Town


今日の小さな幸せ


くまた。


バスを降りたら、森の前でした。
浄水所の柵が見えました。そこへ、グレーの背広を着た男性が車から降りて、歩いて行きました。

男性は、片手に箱を、もう片方の手でクマのぬいぐるみを抱えていました。

箱の中にも、クマのぬいぐるみが見えます。

くまたっ!くまたじゃないのっ?

男性の手から乗り出すようにコチラを見たクマのぬいぐるみ、

目が合いました。

待ってっ!待って、くまた

駆け寄ってみると、あぁっ本当に

くまたでした。

どうして、忘れていたのでしょう。

赤ちゃんの時に傍にいてくれたくまた、

目が覚めて、お母さんを呼んでも

疲れて眠ってしまっていて答えてくれなかった時に

見つめてくれたくまた、

ぎゅっすると、話しかけてくれたくまた

淋しい時に、悲しい時に、ぎゅっしたら

涙を吸い取ってくれた くまた、

いつのまにか、居なくなっていた くまた

やっとやっと会えたね、くまた。

自分と同じ大きさになった クマのぬいぐるみに

抱き着くと、ぎゅっと抱きしめてくれました。

あの頃と同じように、頭の中でくまたの声

間に合ったね、

懐かしい懐かしい声が

言いました。

くまたあああああ

あああああああああん、わああああああん

涙が流れます、あの頃と同じように

くまたの柔らかな毛が涙を吸い取ってくれました。

くまたあああ、

大丈夫大丈夫、もうだいじょうぶ

くまたが居るよ、ココに居るからね

もうどこにも行かないからね。

よしよし、

あのころと違うのは、くまたが動ける事です。

ぎゅっとしてくれる事です。

愛された縫いぐるみ達は、本物になって

いつか持ち主に会えるんですよ。誰かの声が言いました。

もう大丈夫、くまたは戻ってきました。

もう 大丈夫、だいじょうぶ、

私は、大丈夫。




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っと言う夢を見ました。

私の記憶には、くまた と言う名前のクマの縫いぐるみは居ません。





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