Nicotto Town



クラシック 何枚聴けば 威張れるか


1970年代、ジャス・ロック喫茶開業の目安として、
レコード5000枚を揃えることが基準だったという記憶がある。
音楽好きなら十分狙える枚数だし、確かに名盤・定番はその位だった。

あれから50年、軽音楽界でも音源が膨大になってますけど、
クラシックの圧倒的な分量にはまだかなわないと思います。
そもそもですよ。作曲家/指揮者/オケ・演奏家という三大分野が曲者です。

メジャーな作曲家だけでもおそらく100人はいるでしょ。
指揮者も同様、オケや演奏家は100人では到底収まらない。
この組み合わせだけでも100の三乗、100万を超える。

たとえば。チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲で考えましょう。
ヴァイオリニストの名前だけでも100名は挙がるでしょ。
往年の名手から21世紀生まれの俊英まで。どれ聴けばいいのよ?

もちろん好きなのを、たまたま手に入れたのを聴きゃいい。そう思ってきた。
ですが、オイストラフ、ギトリス、クライスラー、シェリング、ハイフェッツと、
前橋汀子、諏訪内晶子、千住真理子はどう違うのか。

盤買ってジャケとともに聴く。当然演奏家も分かっている。
先入見による思い入れにより脳内補整が行われ、勝手に佳いと思い込む。
録音の音質による偏見も働く。アナログ音質エラい、綺麗なデジタルは今イチ……

そもそも、どれが正しい(嫌いな語だが)、基準となるチャイコンか。
そんなの誰にもわからないんだろうが……そこに迫りたい部分もあるわけです。
最近、クラのレコードとCDは増えたが、悩みも増加する一方です。

脱線。ロックとジャズではこういう苦悩と無縁です。
理由は演奏家の音楽であるという一言。好みの時代のものはすべてそう。
ところがクラシックには膨大な歴史と譜面や資料と解釈が溢れてまして。

クラシックも演奏家主体で聴いてきた。軽音楽好きであることの副作用か。
クラシック集め始めてから作曲家の代表曲を一通りという欲が出てきて、
リスト作って中古盤や廉価CD漁るうちに、悩みが始まったわけです。

オレはラフマニノフを聴く場合、誰のピアノ、誰の指揮で、どのオケで、
何年ごろに録音されたものを一番気に入るのであろうか?
全てとは言わないけど、一通りは調べてみたいじゃないですか。ね?

そう考えて店に行っても、もって生まれた貧乏性のせいで、
すでに持っている作曲家の別のテイクは買わず、別の曲目を買ってしまう。
この性分を反省し、決意した。ピアノコンツェルトで聴き比べよう。

アルゲリッチは苦手だが、ホントにオレは彼女のピアノが嫌いなのか。
アシュケナージは退屈に聴こえるが、ではリヒテルとどう違うのか。
同じ曲で聴き比べてみないと結論がでない。さて、どの協奏曲にすべきか。

メロの情感に流され、聴きながら寄りかかってしまう気がするので、
グリーグ、ショパン、チャイコフスキー、ラフマニノフを避けると、
『皇帝』しか残らない。うむ、王道という気がするぞ。

名ピアニストなら誰でも録音を残しているだろう。調べたら……
リヒテルもリパッティもアルゲリッチも出ていない! えーっ……
私がクラシック聴きますと威張れる日は永遠に来ない予感。





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