Nicotto Town


あのとき何をして、どう思ってたっけ


あれはもはや昆虫ではない何かだったのでは

 生け垣の細かい葉っぱの中にはまって出られないのか、うるさく鳴いていたアブラゼミがいた。小学生だった私はそいつをかわいそうに思い、生け垣をかきわけて助け出してやった。生け垣の葉っぱも人間の手もセミにとって違いはないのだろう、そいつは私の手の中でさらに激しくジージ一と鳴き暴れるのだった。
 そんなセミを逃がすべく、すぐ近くの木の幹にとまらせてやろうとひっくり返したところ、なんと頭が半分なかった。頭部に小指大の丸い穴が空いており、茶色をした何かが見えていた。
 私はびっくりしてセミを放ってしまった。そしたら、そいつはジジジと音をたてながら地面に墜落した。もはや飛ぶ能力を欠いているらしかった。

 まるで状況を理解できなかった自分だったが、ふと先ほどセミがいたあたりを振り返ったところ、そこに見たことがないほど大きなカマキリがいた! 物凄い形相で私を睨みつけていた!

…………

 昆虫からあれほどの敵意を感じたのは、後にも先にもこれ一度きりです。獲物を強奪されたカマキリのこの上なく恨めしい眼を、いまだに忘れられません。

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2024/09/27 19:10
カラスちゃうんか・・・カマキリか;怖いな・・・



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