Nicotto Town



【1】フツツカな昼メロですが…

ここは、ウェルカム王国にあるフツツカ魔法学院・学院長室。

魔女クラスの女性教師でトルテ学院長の昔からの友人でもある「エンロ・ハルバル」は、
いつものように、トルテ学院長の机の上に朝食の差し入れが入った紙袋を置いた。
「おはよう、トルテ。今日の朝食は『くまくまベーグル&ドーナツ』の…」
「あら、リモーネアマナツのマーマレードが、ベーグルにサンドされてるのねぇ~」
「まったく…皆まで言う前に、中身を言い当てるのやめとくれよ~」
「ウフフ、ごめんなさいね ハルバル」
トルテ・ウェイト学院長は、先天性の盲目で目が見えない。
それ故に、トルテには見えないものを見通す力が備わっており、魂の色や魔力などを見ることによって、
学院内のあらゆるものを感知できるのだ。
「あらあら…あの人、また来てるのね」
「あの人って、マカマカイの『ロキ・ミザール・アルコル』のことかい?
わざわざ、学校まで毎日来て…今日も 朝も早よから、ご熱心なことだねぇ…」
エンロ・ハルバルは「やれやれ…」といった感じで、溜息をついた。

一方、その頃。フツツカ魔法学院の中庭では、みんなで集まって朝の太極拳をしていた。それも終わって…。
「ロキさん、おはようございますぅ~」
「おはよう、マリア。今朝の太極拳は、もう終わったのかい?」
「はいっ!今度、ロキさんも参加してみませんかぁ?」
「いいよ。じゃあ、今から私の屋敷で手取り足取り腰取り…教えてくれないか?」
「ロキさん、私に個人授業して欲しいんですかぁ?何だか「一日家庭教師」みたいですぅ~」
「一日といわず、毎日でも構わないよ?マリア・アレックス先生?」
『イザナミキーック!!』「許せ!イザナミィーッ!!」
ユミコは夫のロキに飛び蹴りをかました。それを皮切りに、いつもの夫婦漫才が始まる。
「フッ、今日も切れ味のいい蹴りだな、ユミコ…」
「ロキくんが浮気さえしなければ、イザナミキックなんてしないわよ!
もしかして、私に蹴られたいから浮気してるの?」
「そうかもしれない…!」キラーン!ロキはドヤ顔しながら最大級のイケメンボイスでそう言い切った。
「そうかもしれない…!じゃなーい!もう一発、イザナミキーック!!」「八つ墓村ー!!」
「ロキさんとユミコさん、今日もラブラブですねぇ~。なんだかんだ言って、二人は仲良し夫婦ですぅ~」
マリアが手を合わせて嬉しそうに、いつもの台詞をのたまう。
「あの「おこちゃま看護兵」のマリアさんって、一体、どういう思考回路してるのかしら?
どこをどう見たら、あれがラブラブに見えるのよ…」
ロキの愛人で家庭教師のサキュバス「マリー・オハラ」は、
マリアにツッコミを入れつつ、ユミコに蹴られたロキを助け起こした。
「大丈夫ですか、ロキ様?もう!ムラサメさんたら!ヒドイ奥さんね!自分の旦那を平気で足蹴にするなんて…!
今時、暴力系正妻ヒロインなんて流行らないわよ!?」
「だまらっしゃい!若作りしてるサキュバスのオバさんの分際で!
オハラさんなんて、負けヒロインどころかヒロインですらないじゃない!」
「オ・バ・さ・ん~!? 言ったわね~!? ムラサメさん!!
サキュバスの私からしてみれば、ハイエルフのムラサメさんの方がよっぽどタチが悪いんじゃなくて!?
ロキ様!ムラサメさんのその見た目に騙されちゃいけませんよ!?
ハイエルフは、サキュバス以上に寿命が長くて長生きだから、実は私以上に年食ってるんです!
あの若い見た目に反して、年齢的には私以上にババアなんですよ!? 若作りを通り越して年齢詐欺ですよ!」
嫁のユミコと愛人のマリーが仲良く(?)言い争っている間に、ロキはマリアを自分の屋敷に連れて行こうとした。
「セトチョ~ップ!」「痛っ!」
「そうは問屋が卸さないよ、ロキ♡ このセトから逃げようなんて…よっぽど、過激に責められたいんだね…」
「やめろ!セト…っ!マリアが…見てる…っ!」
「見られながらの方が感じやすいんだろ?ロキ…」
「ああ…っ!やめ…ない…で…っ!お兄ちゃん…っ!」
「双子の兄弟って、ああやって愛し合うのが普通なんですかぁ?」
「ロキ!セト!マリアになんてもん見せてるアルか!双子BLは他所でやるヨロシ!」




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