Nicotto Town


物書きに書かれたもの


憧れの跡

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「お嬢様……?」
「うるさいわね!わかってるわよ!」

 バタバタと忙しなく動き回るお嬢様を、呆れた目で追うだけの執事。今は、夜も静まりだす時間だった。
 お嬢様は友人のロゼッタとともにバラお屋敷のナイトパーティーに参加してきたのだ。憧れのパーティーと言うこともあって、終始随分と気合が入っていた。執事たるもの、いかなる状況にもスマートに対応しなければならない。もちろん、外での一切の粗相はなく、"完璧なお嬢様"を守ってみせた。

「お肌に障ります。残りは明日に回しましょう」
「駄目よ、神にも等しいこれらを置きっぱなしにすることはできないわ!」

 ナイトパーティーでは恒例の、各御令嬢とのプレゼント交換が行われた。どれが誰のかはすべて秘匿されていて不明だが、それをお嬢様は「あの方のに違いない!」と盲信してしまっていた。ゆえに、こんな遅くまでどこにしまうかで騒いでいるのだ。

「お嬢様、」
「もう!わかってるって……」
「来週、ナイトパーティーの主人から『アフターパーティー』に誘われておられましたね」

 ぴたりと動きが止まる。忘れていたわけではないのだろうが、執事を振り返る顔は強張っていた。

「寝不足では……」
「無様な姿は見せられないわね!寝るわ、準備して」
「ふふ、承知いたしました」

 しまう場所を確保するために荒らされた部屋をテキパキと整え、物が置かれてしわくちゃになったベッドを今一度きれいに作る。ほんの少しの時間だったが、ちらりとお嬢様を見やると、眠そうな目を擦っていた。普段なら寝ている時間だし、そのうえずっと興奮しっぱなしだったのだ。疲れて当然だろう。

「おやすみなさい、お嬢様」

 また、明日。

***

 素敵なハロウィンの、あとのお話。

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2024/11/02 13:04
こんにちは。
実は待っていました、イベント小説!ヽ(^o^)ノ
今回陽気なお嬢様と器用な執事の可愛いお話ですね♥(*'ω'*)
内容もお部屋も可愛いです!

(シリーズ化希望!!と心の中でこっそりw)




季節の変わり目なのでお体にお気を付けください。
11月も宜しくお願いします♪



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