「最低賃金1500円」103万円の壁見直し必要
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- 2024/11/02 00:06:23
「最低賃金1500円」公約は実現出来る?経済界「ありえなさ過ぎて試算したことない」の声…年収の壁放置なら人手不足倒産増も (FNNプライムオンライン)
https://news.yahoo.co.jp/articles/e8191e05d7cfbfa4c9a4611870a369b4dbf5b71a
「2020年代(今後5年で)に最低賃金1500円」
最低賃金が上がるのは良いですが、企業の状況や急激な物価上昇など賃上げの副作用
も考慮する必要があると思いますし、最低賃金(時給)を上げるなら所得税の扶養非
課税枠「年収103万円の壁」と社会保険料負担が発生する「年収106万円の壁」、
「年収130万の壁」などの見直しも必要になると思います。
2024年10月の全国平均の最低賃金時給額は1055円(東京都が最も高く11
63円で、最も低いのが秋田県の951円)。それを2020年代(今後5年で)に最
低賃金1500円にするとなると、企業は5年以内に設備投資やIT化などで生産性を
4割以上上げるか、モノやサービスの価格に転嫁するか、従業員数を減らす、新規採
用を控えるなどしかなく、ここ数年のエネルギー価格や原材料価格高騰に加え賃金の
大幅引き上げとなれば、賃上げ余力のない中小零細企業の中には、賃上げと雇用が維
持できず、経営規模を縮小したり、倒産する企業も出てくると思います。
国や行政には、企業の設備投資、IT化の補助金を今より拡充したり、急激な物価上昇
のしわ寄せを受ける低所得者や年金受給者への支援、賃上げと雇用が維持できない企
業への支援が求められると思います。
また、「最低賃金1500円」に上げるなら、所得税の扶養非課税枠「年収103万円
の壁」や配偶者特別控除、社会保険料負担が発生する「年収106万円の壁」などの
見直しも必要だと思います。
最低賃金が1500円になっても、「年収103万円の壁」などがあると、夫の扶養か
ら外れるデメリットなどを考慮して年収103万円以内で働く人もいると思います。
調べると「年収103万円の壁」は1995年に設定されて以来、約30年間据え置
きで、1995年(平成7年)の全国平均最低賃金時給額は611円なのです。
最低賃金が611円の30年程前と1055円の現在で、最低賃金は1・72倍にな
っているのに、所得税の扶養非課税枠の上限金額が同じというのもおかしな話です。
所得税の扶養非課税枠「年収103万円」で働こうと思ったら、30年程前より最低
賃金が1・72倍に上がってる分、1日の出勤時間を減らしたり、年間の出勤日数を
減らすなど、労働時間を調整する必要があるので、パート・アルバイトの多い企業は
人手不足になりますよね。「最低賃金1500円」は現在の最低賃金1055円の
1・44倍、30年前の611円の2・45倍になるので尚更です。
物価上昇に給与上昇が追いついていない事以上に、税や社会保険料負担が増えて可処
分所得(手取り)が減っているのが問題だと思います。
直近30年間で社会保険料の負担率が1・5倍になっているところに消費税増税や新
税導入による負担増。2021年度はコロナ禍で国民所得が減少したことも有り、所
得に対する租税と社会保障負担の割合を示す国民負担率は48・1%と過去最高とな
りニュースにもなりました。
また、ここ数年の世界情勢や円安の影響でエネルギー価格や輸入される原材料が高騰
し商品価格も上昇。家計負担は増える一方です。
税と違い、社会保険料については、国会、メディア、国民の関心も低く、増え続ける
社会保険料負担に議論も行政改革も無いまま国民の負担が増えています。
賃金が上昇しても、比例して税や社会保険料負担が増えたのでは、国民の負担は変わ
らず豊かさを感じません。賃上げは必要ですが、税や社会保険料負担を増やすための
賃上げになっていけないと思います。
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