夢の来訪者 満員御礼!
- カテゴリ:自作小説
- 2024/11/27 09:56:33
「続きはどうするんだよ!?」
前回、自己紹介する暇もなく登場しただけで終わってしまったので、
盛大にむくれているインキュバス「マニッシュ・チェルノボーグ」。
「男の夢魔『インキュバス』のマニッシュさんは、女の夢魔『サキュバス』のマリーさんとは、対の存在。
性別は違えど、同族で同業者ってことですかぁ?」
看護兵のマリアは、首をかしげながらのん気に解説した。
「ま、平たく言うとそうだな(グヘヘ…しめしめ)」
溜息をつきながらも邪悪にほくそ笑むインキュバス「マニッシュ・チェルノボーグ」。
「他人の夢の中に入るって簡単に言うけど、ホントはすごいことなんだよ?」
スカジャンを着たナイトメアの男の子「タカシ・ニスロク」が、話し始める。
「でも、マリアちゃんの夢は来訪者が多すぎるわ。あまりに無防備よ。
私達、まだ子供だけど一応、夢魔の眷属『ナイトメア』だよ?
子供のナイトメアにだって簡単に入れちゃうのはどうかと思うよ?
人間の夢にしてはセキュリティがザルすぎるわ。夢の検閲官もいないのよ?フロイトも真っ青よ!」
マリアの夢の世界に対して心配すると同時にダメ出しもしているのは、
ネグリジェを着たナイトメアの女の子「キヨコ・コノヨル」だ。
「本来、夢の中では人間の精神は無防備なものさ。現実世界の肉体もね。だって、眠っているんだから」
キヨコの長台詞を冷静に切り返すのは、背広を着たナイトメアの男の子「マサル・スゴイヨ」だ。
「能書きはいい。で?どうしたら、マリアの夢の中から出られるんだ?あの看護兵の女を倒せばいいのか?」
イケボなデコ出しボーイのナイトメア「テツオ・ハサウェイ」は、マリアを攻撃しようとした。
「ダメよ!テツオくん!
そんなことしたら、マリアちゃんが二度と目覚めなくなる!永遠に夢から出られなくなるわ!」
キヨコがテツオを制止する。
「今、夢の中で死ぬということは、現実世界での死を意味するんだよ!?
だって、マリアの夢は「インキュバス」の『マニッシュ・チェルノボーグ』の支配下に置かれているんだから!」
マサルがマニッシュを指差し、鋭く睨んだ。
「だったら、どうする?ナイトメアのガキ共!
お前らが束になってかかってきても、インキュバスの俺には勝てないことくらい分かってんだろ?」
「クリムゾンローズかかと落とし~!」「ターミネーター3~!」
突然現れた女性「アキラ・ニジコ」がマニッシュの頭にかかと落としをして、地面にめり込ませた。
「このインキュバス風情が!黙って聞いてりゃ調子に乗りやがって!」
「アキラさん!」アキラに駆け寄るタカシ、マサル、キヨコ。
「アキラ!」一人だけアキラを呼び捨てにするテツオ。
「さんをつけろよ!デコ助野郎!」
そう言いつつも、テツオの頭を遠慮なく撫でているアキラ。
「ほら!お前たち、もう帰るぞ!
あれほど、人間の夢に勝手に入るなって言っただろうが!」
「は~い…」「ごめんなさ~い」「言い出しっぺは、テツオくんで…」「タカシ!」
「シャラ~ップ!! 言い訳禁止!連帯責任だ!説教、1時間追加だ!まったく、心配かけやがって…!
マリアちゃん、うちの子たちがお世話をかけてしまったみたいですまなかったね。
それじゃ、私達はこれで失礼するね」
アキラはマリアに謝罪と別れの挨拶をすると、
4人のナイトメアの子供たちを連れて瞬間移動し、マリアの夢の中から立ち去った。
「あの女!よくもこのマニッシュ様にむかって!」
「アキラさんならナイトメアの子供達を連れて、帰っちゃいましたよぉ?」
「何ィッ!?」
「あの~、私も帰ってよろしいですかぁ?」
「おい、マリア!さっきのガキ共の話、聞いてなかったのか?お前も帰れないんだよ!」
「ええ~っ!? そんなの困りますぅ~!」
「ていうか、ロキ!セト!お前ら、いつまで双子BLして乳繰り合ってるつもりだ!?」
「やっぱり、双子の兄弟ってああやって激しく愛し合うのが普通なんでしょうかぁ?」
「マリア…違…っ!あ…っ、セト…これ以上は…っ!」
「さぁ、昔のように「お兄ちゃん」って呼んでごらんよ、ロキ♡
そしたら、もっとキモチイイコトしてあげる♡」
「そんなこと…っ。もっと…っ、マリアの夢の中に…っ、居たい…っ」
「私達も帰ろう、ロキ。このまま、マリアの夢の中に居ても、マリアの負担になるだけだよ。
夢の容量(ドリーム・マイレージ)は、無限にあるようでいて、実は有限なのかもしれないね。
キミたち!サキュバス諸君は、ナイトメアの子供達と違って自力で帰れるだろ?
早く帰った方がいい。インキュバスのマニッシュの気が変わらないうちにね」
セトの警告に答えるように、三人のサキュバスが姿を現した。
「ミツルさん、マリーさん、リリーさん!どうして、私の夢の中にいるんですかぁ?」
「マリアもミカルみたいに危なっかしい所があるからな。夢の巡回に来たんだ。
そしたら、マニッシュが悪さしてるじゃない?だから、ほっとけなくてさ」
人間の父親とサキュバスの母親の間に生まれた「サキュバスハーフ」の『ミツル・モリガン』が説明する。
「ロキ様がマリアさんの夢に入ったから追いかけてきたまでよ!まさか、セト様までいるなんて…!」
マリー・オハラはそう言いながらも、今すぐにでもロキのそばに行きたそうにしている。
「マリーは分かるとして、何でリリーお姉様まで居るのかな?」
セトはロキの首筋を愛撫しながら、意地悪くリリーに質問した。
「妹のマリーを手伝うためよ!
ロキのお気に入りの看護兵「マリア・アレックス」のことをもっと知りたかったのもあったし。
それに、ルイ様がマリアに興味と好意を持っているようだったから…」
マリーの姉「リリー・オハラ」は、マリアをずっと睨みながら話をしていた。
「あわよくば、マニッシュの支配下に置かれている夢の中で、
マリアを抹殺できれば一石二鳥、御の字というワケか…そうはさせないよ?」
「セト!?/セト様!?」
セトはロキを抱えながら、オハラ姉妹の背後を取り、動けなくした。
「三人まとめてお仕置きしちゃうぞ♡じゃあね~♪ミツルも早く帰れよ~!」
そう言いながらセトはロキ、マリー、リリーを連れて瞬間移動し、マリアの夢の世界から去って行った。
「マリア、あなた一人で大丈夫?」
「はいっ、大丈夫ですぅ~!ミツルさん、心配してくれてありがとうございますぅ~!」
「本当に大丈夫?マニッシュを侮っちゃダメだぞ?気をつけてな!それじゃあ、私はもう行くぞ!」
ミツルも一瞬にして姿を消し、夢の中から去っていった。
「マリアの夢に入り込んでいた奴らは、これで全員いなくなったな。
これで思う存分、お前を切り刻めるというもの。だが、その前に、お前の精気を頂くとしようか?」
「っ!! あ、あれ?スカートの下の武器が…!」
「お探しの物は、これかな?」
「返して!」
「白衣の戦乙女も武器がなければ、ただのか弱い乙女だな!」
マニッシュはマリアから取り上げた武器たちを消してしまった。
「ここでは『俺が法律』だ!もはや、お前に万に一つの勝ち目もない!大人しく俺の糧になれ!」
「そうはさせないぞ~!ドリームダイバー『ラディカ・ルン・フォレスト』参上~!」
ラディカはマリアを助けた。
「ラディカはドリームダイバーだから、マニッシュの法の網をすり抜けるなんて朝飯前だよ~!」
「ありがとうございますぅ~!ラディカさん!」
「ラディカにしっかり掴まって!覚醒させるよ!」
「夢か…」
マリアは自室で目を覚ました。