深淵の中の蝶
- カテゴリ:自作小説
- 2024/12/06 03:30:29
第二十一章
すっかりと遅くなってしまってしまった。抱き締められる時間に酔いしれ過ぎてしまったかもしれないと思い、「…悠さん、お茶碗洗わなきゃ…すっかりこんな時間だよ」と私は時計を指差し、23時50分辺りの時刻に驚きを隠せなかった。「…あ、すげー引き留めちゃいましたね、すんません…」…「そんな事はないけど…私ね、悠さんに抱き締められると心地良いんだよね…不思議だよね」そんな事を言いながら、茶碗を片付けようとする私と私の事を抱き締め続ける彼の不思議な空間になっていた。「…さ、片付けよう?」そう伝えると、彼は少しだけ名残惜しそうに「後1本だけの時間、このままで…」と言った彼に私も煙草へと火を点け、「…分かった」と答えた。私にとってはだが、とても居心地の良い時間が過ぎて行く。「…来週の火曜日に時間あるから、その日に悠さんの働く美容室に予約入れておくね?」そう彼へと伝えると、彼は「了解っす」と答えてくれた。「あ、俺の名前ヨネクラ悠って言います」…「ヨネクラさん…楽しみにしておくね、美容室行くの」…「俺も楽しみにしてるっす」そうお互いに伝え合い、来週の火曜日に私は美容室へと行く事になった。
「お茶碗洗ったら私自分の部屋に戻るね」…「ありがとうございます」そう言葉を貰った私は、茶碗をシンクへと運び始めた。「…茶碗は俺洗うんで」…「そう?」…「おす」…「ありがとう、今日もご飯一緒に食べられて良かった」…「全然っす、俺の方こそありがとうしかないっすよ」…「そんな事ないよ、きっとお互い様なのかな、ふふ」…「そうかもしんないっすね…もう時間も時間なんで由佳里さんは由佳里さんの時間も大事にしてください」…「ありがとう」そんなありきたりな返答しか出来ない私になんだか申し訳なささも感じながら、「それじゃあ、今日の所はお暇するね」と彼へと伝え、自分の部屋に戻る事にした私だ。玄関先まで来てくれた彼は「…おやすみなさい」と私へと言葉を掛けてくれた「うん…おやすみなさい」…「じゃあ、また明日…」…「うん」そう答えて私は彼の部屋のドアを閉めた。勿論、明日も彼との夕食の約束を交わしていた。
ああもうこのままでいい!って思うけど
大人な二人はちゃんと現実に戻ってくるのがさすがです
毎日をきちんと過ごしながら少しずつお互いの距離も縮めていける
理想的ですよね
お互いの傷も少しずつ癒えていきますように
美容院のお話も楽しみです
紫音さんのペースでゆっくり続きを書いてくださいね
楽しみに待っています