もふもふ０３０４さんの日記

ファイヤーエムプレスローズ　1

カテゴリ：自作小説
2025/01/01 15:41:43

　はじめに

　このお話ができるのには、二つのきっかけがありました。

　一つ目は、某ゲーム名です。ゲームをなさる方は、どこかで見た様なタイトルだと思ったことでしょう。私自身はゲームをしませんが、ゲームをするともさんがいて、その人の日記の題名に載っていたゲーム名を、私が読み間違えたのです。では本当にこんな名前のゲームがあったら、それはどんなストーリーになるかなと想像しました。

　二つ目は、ニコッとタウンのキラキラで交換したドレスのコーデからです。普段は足が見えるドレスは交換しないのですが、ひらひらしているのに魅かれて交換し、予想外にコーデに手こずりました。できたコーデはちょっと幼く見えたので、ドレスはこのまま、髪型だけを変えたら、どれだけ年齢の印象が変わるかなと試行錯誤の末、四通りのコーデが出来ました。それを四姉妹とし、プロフィールを付け加えて行く内に、いつしか小説になって行きました。

　そんなわけで、最初の数回は小説の体をなしていなかったので、改めて小説に書き直して投稿し直すことにしました。一回目の投稿は、昨年の９月初上旬です。読んでくださる数少ない読者さんが、過去のものを読み返し易いよう小説カテゴリーしたらとアドバイスをくれました。現時点でまだ最終話は出来てはいませんが、お正月休み中に目鼻が付くといいなと思っています。

　ニコッとタウンがあってこそ生まれたお話です。読んでくださる皆さんにお楽しみいただければ幸いです。

　昔々あるところに、薔薇の国と呼ばれる国がありました。薔薇を国花とし、園芸が盛んなこの国の王城には、四人の姉妹がおりました。髪の色はそれぞれ違いますが、皆この国の王族の証しの赤い目をしていました。

　この国では、王家に子供が生まれると、その子の薔薇を植える習わしがあります。

　美しいものが何より好きな四女は春生まれ、白に近いプラチナブロンドで、生まれた時に植えられたのはピンクの薔薇です。末っ子として皆に可愛がられて育った彼女は明るく素直で、人と仲良くするのが大好き。まるでピンクの薔薇そのものの華やかさと愛らしさで、人々を魅了します。

　秋生まれの三女は、賢く、知識欲が旺盛です。趣味は読書と人間観察。学術書から小説まで、城内のありとあらゆる本を読み尽くします。性格は温和で、仲良し姉妹がたまに喧嘩になっても、調停役を引き受けます。見事な赤毛で、生まれた時に植えられたのも、真っ赤な薔薇です。

　二番目の姫は夏生まれ、艶やかな黒髪で、生まれた時に植えられた薔薇はオレンジ色。小さな頃から馬を乗り回し、男の子と取っ組み合いの喧嘩もしていました。頼み込んで武術の師もつけてもらい、弓や剣の腕も磨いています。国は玉座から姉上が守る、その姉上を私が守る、が口癖です。優れた男性の武人と本気で戦って自分が勝てるとは思っていませんが、せめて自分や姉妹の身くらいは守りたいと、日々鍛錬を積んでいます。何物にも囚われない、自由闊達な性格です。

　温暖なこの国に、めったに降らない雪が降り積もった朝に生まれた四姉妹の長女は、髪はほんのりピンクがかったブロンドで、植えられた薔薇は雪のような純白です。

　自分から他国に戦を仕掛けるようなことはしませんでしたが、自国の民に危害を加える相手には容赦しない彼女は、炎の女帝と呼ばれるようになりました。彼女が怒ると、赤みを帯びた目の奥で炎が燃え上がるように見えます。敵方からは炎の魔女などと揶揄されたりもしましたが、民にとっては頼もしいことこの上ない、守りの炎なのでした。

　若くして戴冠した女帝の治世が始まって数年後、宮廷の庭師が新しい品種の薔薇を献上します。ふちが赤く、中心に向かってピンクから白へと色が薄くなり、芯の部分にだけわずかに橙色がかかった花弁のある薔薇です。一輪の花の中に、四姉妹すべての薔薇の花の色が含まれています。女帝はこれをたいそう気に入り、宮殿の庭に植え、数を増やさせました。

　一度は戦ったものの降伏し、恭順の意を示した国々に、女帝はこの薔薇の苗を贈ります。贈られた国の人々は、女帝から賜った薔薇を枯らさぬよう努めます。謀反を企むと女帝の薔薇が枯れる、などという噂が流れると、あらぬ疑いをかけられぬよう、ますます世話に力を入れていきます。そのために、わざわざ女帝の国から庭師を呼び寄せる国まで出てきました。

　炎の女帝に賜った薔薇なので、人々はこれをファイヤーエムプレスローズと呼びました。