二人だけの境界線
- カテゴリ:小説/詩
- 2025/01/10 02:08:35
街を歩く
白い街を歩く
息を吐く
口を尖らせながら
それはどこまでも遠く
白く長く凍えて消えていく
イルミネーションの光が
冷たい輝きを放っている
あなたが
そっと呟く
「雪が降ってきたね」
立ち止まり真上を見上げる
「私たちに雪が降って来たね」
そう言うと繋いでいた手を放し
数歩前へと進み笑顔で振り返る
「このまま駅には行かないよ」
「さよならはもう少し先だよ」
雪の街を歩く
人混みの中
白に同化した二人だけの
境界線がそこにはある
それは小さな
だけど暖かな世界