春へ
- カテゴリ:小説/詩
- 2025/02/04 00:42:59
あなたが生きた日々に
咲いた花の数は
あなたが僕にくれた
幸せの数に等しい
遠くに行ってしまっても
花の香は残り
目をつぶるとその色は
虹のように浮かんでくる
鳥が鳴いている
冬の凍えた寒さの中
その声は悲しみではない
その声は暖かさを運んでくれている
冷たい頬を流れる
涙のように
風に枝が揺れている
蕾が膨らむのはもう少し先
あなたが好きだった春が来る
もうすぐにやって来る
若い緑が萌え
花の香がする
そんな春を
わたしは独りで感じている
今
目を閉じて独りだけで