Nicotto Town


なるべく気楽に気楽に~!


最期の夜月


第六章

服を選んで貰い、寝室で着替えて貰う様に私は促した。…「あ、でも…ここ寝室じゃ…」と少し戸惑っている彼に対し、…「私はキッチンで煙草でも吸ってます」と何故だか肇さんには笑顔で対応することが出来た。それも何故か自然と…私は寝室から出て、ドアを閉める様にし…「もし着替えている最中に眠くなってしまったなら、バーンと寝ちゃって下さいね」と身体を広げ笑っていた。そんな私を見て肇さんは…「ははは…美月さんて面白い方なんですね」と笑ってくれた。それと、小さな声だったが…「ありがとう…ございます…」とも言ってくれていた。
…「いーえ、全然ですよ、ゆっくり過ごして貰って良いので、身体に負担の無いようにしてくださいね」とにこやかに彼を寝室へ残して出た次第の私だ。キッチンへと戻った私は、煙草へと火を点け、考え事に耽る…相当身体しんどいんだろうな…今日はゆっくりして貰おう…そんな事を考えながら、煙草を吸ってはゆっくりと吐き出し、呼吸を深くした。
…辛かっただろうな…と肇さんを思うと心が傷んだ。そんな時に寝室から顔をほんの少し出した肇さんは…「あの…僕がもしバーンって寝ちゃったら…美月さんはど…どうするんですか…?」と、…あぁ、そうかそういう考えになるよね…とふと我に返り、…「私はソファで寝ますよ」と伝えた。彼は、とてつもなく申し訳なさそうに…「…そんな事…させられませんよ…」とまぁ、「当たり前」な答えを返していた。そのまま彼は言葉を紡ごうとしている様に見えた私は暫く、見守ってみる事にした。…「あの…僕…凄くご迷惑迄掛けてしまって…えっと…」と彼は彼の言葉を探す様に考えながらゆっくりと…「今日…寒いですし…あの、何て言ったら良いのか分からないんですけど…えっと…ベッドを半分…お借りしても良いですか…?」私は…半分…?ん…?と私の中にはなかった「一緒に寝る」という事を彼は提案してくれていた。…「あぁ…成程です…」と私はまた煙草へと無意識に手が伸びていた。…「あ、えっと…変な事はしません!約束します!」と少しばかり、声を震えながら上げ…「ど、どうですか…?」と私へと聞いてくれた。煙草を吸いながら、…「分かりました、それじゃあ背中合わせで寝ましょうか」と私も彼へと一つの提案をしてみる事にした。彼はどこかホッとしたかの様に、…「…ありがとうございます…」と…「助かります…そうして頂けると…」と素直な気持ちを言葉にしてくれていた。明日の天気も雨らしい予報を目にしていた私は、…「もう、お疲れでしょう…先に寝ていて下さい」と私は伝え、…「これ、吸い終わったら私も寝ますので」と彼へと微笑み迄出ていた。
…「あ、分かりました…あ、ありがとうございます…先に寝ていたらすみません…」と彼は疲労感を纏っている様に言葉を紡いでくれていた。「いーえ、肇さん?バーン!ですよ?」と私は大きく手を広げて伝え、彼は…「ははは…面白いですね、美月さん…ありがとうございます」と言って、「…それじゃあ…ベッド半分お借りしますね…」と寝室へと入って行った。…少しは安心して貰えたかな…と私は新たな煙草を口にしていた…なんだろう…顔が痛い…と考えていても分からない事を考え、取り敢えず鏡だけでも見てみようと、風呂場へ向かい、自分の顔を見ると、笑顔の私が写し出されていた。…え?私こんなに笑ってたんだ、と鏡の自分と対峙する事になった。時刻は朝の8時になろうとしている時刻だった。…新しい自分の発見だった。




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