戦前感漂うトランプ宥和的和平
- カテゴリ:ニュース
- 2025/03/02 00:43:31
●トランプ大統領、怒りで顔赤く 雰囲気一変、緊迫の会談 (共同通信)
https://news.yahoo.co.jp/articles/b1a4441872a7125360ad9ef374991331892de572
●「お前たちは勝てない」とトランプ氏 米ウクライナ首脳会談が決裂、記者団を前に口論も (産経ニュース)
https://www.sankei.com/article/20250301-A3V6XXRWMVMW3NOEK35YS3D4KE/
かつて優生学的思想と帝国復活を目論んだ独裁者は
第一次大戦で敗戦国となったドイツ帝国、オーストリア=ハンガリー帝国、オスマン
帝国は多くの領土を失いました。
第一次大戦後にチェコスロバキアに編入されたズデーテン地方もその一つで、ドイツ
と国境を接しドイツ系住民が多く住んでいました。
第一次大戦後の革命で帝政が崩壊したドイツで「国民社会主義ドイツ労働者党(ナチ
ス)」政権が誕生すると、指導者アドルフ・ヒトラーは、ドイツ帝国復活とドイツ民族
の統合を掲げ、オーストリアの親ドイツ勢力を利用しオーストリアを併合、その後チェ
コスロバキアのズデーテン地方の割譲を要求します。その時ドイツはズデーテン地方
のドイツ系住民が迫害されていると主張するプロパガンダを展開、ズデーテン地方の
ドイツ系勢力もドイツへの統合を主張しました。
ズデーテン地方割譲を議論するイギリス、フランス、ドイツ、イタリアによるミュン
ヘン会議が行われましたが、当事者のチェコスラバキアは会議に招集されず、イギリ
ス、フランスはドイツの「これが最後の領土要求」という主張を受け入れ、ドイツは
ズデーテン地方に進軍し併合します。
イギリス、フランスはドイツの要求を飲むことで戦争を回避出来ると考え、ドイツへ
の「宥和政策」をとりましたが、ドイツはミュンヘン協定を無視、領土拡大に邁進し
ポーランドに侵攻、第二次大戦が勃発しました。
第二次大戦前の世界に似ていると感じる今
1991年のソビエト連邦解体で多くの領土を失ったロシア。かつてソビエト連邦の
一部で、ロシアと国境を接しロシア系住民が多く住むウクライナ クリミア半島と東部
地域。「大ロシア主義」を信じ領土復活を目論むロシアのプーチン大統領は、国籍不明
の謎の軍隊を装いクリミア半島に進軍、クリミアの親露勢力を利用し併合。ロシアは
ウクライナ東部地域でロシア系住民が迫害されていると主張。ウクライナ東部地域の
ロシア系住民は独立を宣言してロシアに保護を求め、ロシアが独立を承認して軍事条
約を結び、「ロシア系住民保護」を口実にウクライナ領内へのロシア軍の進駐を合法化
しました。
今年1月に就任した米トランプ大統領は、戦争当事者のウクライナ抜きに米ロで停戦
協議をしたり、停戦後のロシア再侵攻を想定せず、ウクライナに譲歩を迫り、ロシア
に有利な条件で停戦を進めようとしています。
ロシアによる一方的なウクライナ クリミア半島併合とウクライナ侵攻は、第二次大戦
前のナチスドイツのオーストリア併合とチェコスロバキアのズデーテン地方の割譲要
求の歴史によく似ていて、欧州は独裁者への宥和政策がさらなる戦禍を招く歴史を知
っているので、トランプ大統領のロシア有利の停戦協定は受け入れられないでしょう。
プラスして、トランプ大統領のウクライナへの要求は、アメリカがウクライナの地下
資源の利権を得る一方で、停戦後のウクライナの安全の保証は欧州が担うべきという
考えですから、ウクライナとしてもアメリカが関与しない停戦後の安全の保証に合意
できないでしょう。
1991年のソビエト崩壊後、欧州と国境を接するウクライナには大量の核兵器が残
されていましたが、ウクライナは核兵器を放棄する代わりに米英露がウクライナの主
権と国境を尊重すると約束した「ブダペスト覚書」(1994年)を受け入れた経緯が
あります。
アメリカは「ブダペスト覚書」に従って、ウクライナの主権と領土を守る責任と義務
が有ります。
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https://news.yahoo.co.jp/articles/cd79c3e547b1f4bd1d42b9f41c72bd70a4501525
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https://www.jiji.com/jc/article?k=2025022800190&g=int
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https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250227/k10014734531000.html
「核放棄で保護」守られず…元ウクライナ国家安全保障・国防会議書記 ウォロディミル・ホルブリン氏[ウクライナの教訓 侵略半年] (読売オンライン)
https://www.yomiuri.co.jp/world/20220829-OYT1T50028/