Nicotto Town



【小説】先生を好きになってもいいですか? その⑮



10月

美鈴が一週間、学校を休んだ。
欠席の理由はコロナだったけど、LINEしても、電話しても、本当の理由をはっきり言わない美鈴。
心配になった私は、美鈴に会いに行った。
美鈴のお母さんが美鈴の部屋に通してくれた。
「ママ、望とふたりにして...」
そこには、やつれて憔悴した姿の美鈴がいた。
私は、びっくりした。
「どうしたの!?美鈴!!」
美鈴は泣きながら、ポツンと言った。
「...赤ちゃんが出来たの。」
「えっ!?」
私は驚いて、聞き返した。
「赤ちゃん!?」
「妊娠したってこと!?」
美鈴はうなずいた。
「美鈴!!三上先生はそのこと知ってるの!?」
美鈴は首を横に振った。
お父さんやお母さんにも、父親が誰かは、話していないという。

「三上先生は、私の妊娠を望んでいないわ。」
「教師が生徒を妊娠させただなんて、三上先生が困るだけだもの。」
「週明けに中絶するの。」
こんなことになっても、三上先生のことを心配する美鈴に腹が立った。
「三上先生に内緒で中絶なんてダメだよ!」
「二人でちゃんと話し合わないと駄目だよ!』
美鈴は泣きながら、
「パパとママと、話し合ってそうするのが一番いいって...」
「絶対、ダメだよ!!!」
「私、三上先生連れてくれから!!」

学校のテニスコート

私は大声で三上先生を呼んだ!
「三上先生!!」
三上先生は、私の様子にただ事ではないことを感じて来てくれた。
私は三上先生の手をひっぱって、人のいないところまで連れて行った。

「三上先生は、どうして美鈴が休んでいるのか知ってますか!?」
三上先生は、不審そうに
「コロナって聞いているぞ。ラインの返信が変で心配なんだが、治るまで会えないっていわれてるし。」
私は事実を話した。
「美鈴は妊娠してるんです!」
「えっ!?妊娠だと!?」
「井上!本当なのか!?」
先生の顔から血の気が引いていた。
「ちくしょ!!!なんで、一番に俺に言わないんだ!!!」
「俺ってそんなに頼りないのかかよ!」
三上先生は、そのまま美鈴の家まで走って行った。





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