Nicotto Town



【小説】先生を好きになってもいいですか? その⑰



美鈴のお父さんが帰ってきた。
美鈴のお父さんは、応接室で待っていた三上先生を見ても驚く様子はなかった。
「君は、誰だね?」
美鈴のお父さんは、威圧するように聞いてきた。

「美鈴さんのクラスの科学の授業を受け持っている三上進と申します。」
「美鈴さんのお腹の中の赤ちゃんの父親です。」
三上先生はお母さんにしたように土下座をして謝った。
「まだ、高校生の美鈴さんを妊娠させてしまって、申し訳ありません。」
美鈴のお父さんは、何も言わず、おもいっきり三上先生を殴った。

「パパ!!」

「教師が生徒を妊娠させただと!?」
「教師が生徒に妊娠するようなことをしていいと思っているのか!?」
お父さんは鬼のような形相だった。

「軽率な行動をとったことは、謝ります!」
「でも、私は美鈴さんを愛しています!」
「美鈴さんはプレイボーイにしか見えない私のことを信じてくれました!」
「美鈴さんは私にとって大切な女性です!」
三上先生は必死で気持ちを伝えた。

「パパ。三上先生は赤ちゃんを産んで欲しいって言ってくれたの。」
「私を守ってくれるって言ってくれたの。」
「その言葉を信じちゃいけない?」
美鈴は祈るような瞳で訴えた。

「あなた...」
お母さんが心配そうにお父さんに呼びかけた。

お父さんは大きなため息をついた。
「まだ高校生の美鈴が赤ちゃんを産むとういことが、どれだけ大変なことかわかっているのか?」
「君だって、教師という仕事を続けることが難しくなるんだぞ。」
「このまま予定通り中絶して君は教師を続ける、娘は高校生活を続けたほうが、楽じゃないのか?」
お父さんは三上先生を試すように言った。

「赤ちゃんを産むことが、どれほど大変なことかわかってるつもりです。」
「それでも、私は美鈴さんに赤ちゃんを産んでもらいたいと思っています。」
「私にとって今、一番大切なのは、美鈴さんと美鈴さんのお腹の中にいる赤ちゃんです!」

「パパ、私、赤ちゃん産みたい...」

お父さんは考え込んで、こう言った。
「二人の気持ちは分かった。」
「とりあえず、週明けの中絶の手術はキャンセルしよう。」
「君とのことは、もうしばらく考えさせてくれ...」
「今日のところは、もう、帰ってくれるか?」

「また、来ます。許してもらえるまで、何度でも着ます。」
「今日は、失礼します。」

お母さんと美鈴が玄関まで三上先生を見送ってくれた。
「中野、今日まで気付いてやれなくて、ごめんな。」
「ゆっくり、休むんだぞ。」
「お母さん、色々、申し訳ありませんでした。」






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