【小説】先生を好きになってもいいですか? その⑱
- カテゴリ:自作小説
- 2025/04/27 00:17:04
その日の夜、美鈴から私に電話があった。
「もしもし、望。」
私は、夜遅くの電話にビックリした。
「美鈴!大丈夫なの?」
私の心配をよそに、美鈴は、明るい声で話し始めた。
「今日はありがとう。」
「望が私の妊娠のこと、三上先生に伝えてくれたから、三上先生が家まで来てくれたの。」
「そして、赤ちゃん産んで欲しいって言ってくれたの。」
「私、嬉しくって、嬉しくって...」
「まだ、パパは、許してくれてないけど、中絶の手術はキャンセルすることになったの。」
「これって、産んでいいってことだよね。」
私は、ずっと、美鈴は三上先生に遊ばれてるって思ってたから、ホッとした。
「うん、うん。よかったね。美鈴。」
「今日は、もう、遅いから、ゆっくり休んでね。」
次の日学校で三上先生に会った。
私は、三上先生に腹パンチをしてこう言った。
「三上先生、美鈴をよろしくね。」
三上先生は嬉しそうに
「ああ、俺が幸せにしてみせるよ。」
って言った。
放課後、三上先生は、クラブを休んで、美鈴の家に行った。
美鈴が嬉しそうに、三上先生を招き入れた。
美鈴のお母さんは、
「今日は、美鈴の調子がよくって、ごはんもしっかり食べたんですよ。」
って、美鈴の様子を伝えた。
「中野、明日くるとき、なにか持ってくるよ。食べたいものとか、欲しいものはないか?」
って、三上先生は美鈴を気遣った。
「三上先生が来てくれるだけでうれしい。」
美鈴は、本当にしあわせそうだった。
三上先生が美鈴の家に来るようになって、何日か過ぎた日、美鈴のお父さんが、一緒にご飯を食べようと誘ってくれた。
食事をしながらお父さんは、
「三上君、君のことを信じようと思う。娘をよろしく頼む。」
と言ってくれた。
その言葉は、三上先生も美鈴も嬉しい驚きだった。
「ありがとうございます。」
「ありがとう。パパ。」
お父さんは厳しい声で、続けた。
「学校の方にも、報告しなければ、いけないな。」
「しかるべき処分はあると思うが、大丈夫か?」
三上先生は真剣な顔で、
「はい。覚悟はできてます。」
「中野との未来の為です。どんな処分でも受ける覚悟でいます。」
と返事をした。
三上先生は、生徒を妊娠させたということで、学校を辞めさされることになった。
美鈴は、自主退学をした。