旅
- カテゴリ:小説/詩
- 2025/05/19 22:21:41
言葉は時に抱擁され絶滅した遺跡だから
そこには誰も住んではいない
時にひっそり真理が息を潜め
誰にも見えないように隠れているというが
私の小舟に乗せてはやらない
初めての旅に出るには
無言でなくてはならないのだ
世界はぼんやりと暮れてくる
眠くなってきた
私は天上の光とも別れを告げたので
糸を切られた操り人形のように小舟に崩れ落ちる
小舟は川を静かに静かに下っていく
舟べりから垂れ下がった木の手が
水面に長い線を描いている
冷たさも感じない
レーテーが私に入ってくる