Nicotto Town



約束






白くか細い指 
表情変えず君は絵を描き続ける 
冷たく空気が流れている 
描くのはいつも想像の中の海 
北風が吹きつけ
刺すような厳しい寒さが白い波になる 
自然の猛威に抗うように立つ漁師小屋

漆黒の海に波立つ波頭が

小屋の下の大地を揺り動かしていた

切れ切れの赤い旗は人為の象徴か

いつからか君の描く絵から明るい色が消えた

そのことを言ったら

『気付いてた?なぜか分かる?』

目は乾いて涙を流せなくなった

機械のように動き続けるその手

君は笑ってる自分を描くと言った

『なんだか長い間笑ってなかったので笑顔が描けない!』 


あの日からずっとくもり空 
どんなに探しても雲の切れ間は見当たらない 
この灰色の海に 
僕も君も深く沈んでいる 

『いつか君を暖かい故郷のあの海へ連れて行こう!』 
うっかり忘れていた 
遠い約束のように


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2025/05/21 18:42
日記広場から 素敵ですね



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