Kanye Westと佐井好子に驚愕する。
- カテゴリ:音楽
- 2025/05/22 12:05:51
音楽だけが私を真に驚かせてくれる。驚きこそが美ですよね。
まずはカニエ・ウェストの話から。
年相応に、ラップにもヒップホップにも反感しか抱いてないのですが……。
人気も評価も高く、問題の多い言動で有名なラッパーという予備知識しかなく、
ヒトラー礼賛の楽曲というのをチラと観て気になり、Wikiを眺めた。
凄い奴らしい。ちょっと動画サイトで聴いてみるか。
『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』を聴き始めて数分、不明を恥じた。
怖ろしい音楽家だという驚愕は、数曲聴くうちに確信に変わり、
次作『Yeezus』も聴いた。凄すぎる。最先端の、最良の、音楽だ。
半グレやトー横界隈の若者が好んで聴くのだろうという偏見は雲散霧消、
むしろ「彼らはこの音楽の凄さを理解してるのかしら?」と心配になった。
種々の音楽を混然雑多に聴き漁るほど、理解の深まる音楽だと思ったのです。
古典~印象派以降のクラシック、前衛にミニマルに電子音楽に音響派、
サイケ、ガレージ、プログレ、欧州フリー、テクノにインダストリアル……
20世紀音楽を取捨選択し、超高度な水準で融合させている。
プログレッシブと分類されるロック/ポップの要素が全てある。
AORや産業ロック、グランジやハードコアもエレクトロも自由自在に引用。
そして不変の攻撃性。メッセージの是非はともかく、強靭さに脱帽です。
多くの爺ミュージシャンが「ロックは死んだ」発言を繰り返してますが、
オマエらがとっとと死ね!と思った。『ROCK』の本質はここにある。
ラップに分類される音楽自体を聴き直さねば、と反省さえする羽目に。
ブルース/ジャズの見事なまでの欠如、ソウル/ファンク性の稀薄さも興味深い。
21世紀の天才ブラックアメリカンによる最前線の生きた音楽として、
私は『音楽家』カニエ・ウェストを全肯定しましょう。
さて1975年デビューの佐井好子。マーッタク未知のシンガーでした。
ラジオで聴いて驚愕し、これまた動画サイトを漁ってみて、大当たり。
紙ジャケの再発CDを4枚まとめて発注。ハマるとこうなってしまう。
浅川マキにカルメンマキ様、石川セリに山崎ハコに中山ラビ、初期五輪真弓……
昭和の匂い濃厚なこれらの女性ヴォーカルを偏愛する私にジャストミート。
声質が藤原秀子や山本潤子にも似ていて誠に気持ちいい。
!stと3rdは大野雄二、2ndはクニ河内、4thは山本剛が絡んでいる。
谷山浩子やZABADAKは苦手だが、佐井好子の文学的幻想性は肌に合う。
Jojo広重が彼女の大ファンだということを知り、メチャクチャ納得。
うーむ、長生きしててヨカッタ。まだまだ驚くべき音楽が山ほどある。
こうした出会いがあるからこそ、刹那的にも自暴自棄にもならず、
社会の片隅で汗水垂らし働くのが苦にならないのです。音楽に感謝。
(追記)
佐井好子の2008年のアルバム『タクラマカン』は注文しなかったが……ヤバい。
動画サイトで聴いてみたら、メンツも楽曲も歌唱も文句なしです。
カルメンマキ様の近年のアルバムと相通ずるテイストがもう、タマラン。
Jojo広重、山本精一、早川岳晴、片山広明、芳垣安洋……
非常階段とボアダムスと生向委とアルタードステイツのメンツですぜ。
カニエ・ウェストとは全く異なるベクトルだけど、これまた真の音楽。