夜明け
- カテゴリ:小説/詩
- 2025/06/01 23:04:44
どこからともなく配達員が現れる
家々に投げ込まれる今日の新聞
僕はそれを恐る恐る手にして
誰もいないところへ持って行く
一面ずつめくっていく手が震えるが
次第に安堵が広がっていく
今日は何も書かれていなかった
僕はインクで汚れた新聞が大嫌いだ
一枚の新聞にのしかかるインクの重さを好まない
怪しげな世界の争いを写す写真を好まない
だが今日配達員が届けてくれたのは
片隅に印刷された正確な日付だけだった
何かを記憶させるための日付ではなく
何かを忘れ去るための純粋な数字だけが
僕を慰める
遥かかなたではぐれていった暑い夏が静かに舞い戻る
明日は血塗られた文字が新聞を飾るかもしれない
紙面がインクの重さでたわむとき
僕らは傍観者でいられるのか
僕らは祈りを忘れてしまって久しいが
もっとも祈りらしい祈りは
今日の真っ白な新聞を静かにたたむことだ
サダコのこと中学の英語の教科書で初めて知ったとき変な言い方だけど原爆というものが
実感できた!観念的理解だったものがザラザラした火傷のように感じられ恐ろしいという
言葉では表し切れないと思った。黒い雨や峠三吉の詩集は読むのは辛いけど時々読まずには
いられない衝動が起こる。世界の平和を目指す運動が現実に妨げられ無力感がはびこって
いるけど反核運動の中核を日本人が担わなければいけないとつくづく実感する!
先日テレビで 谷本清牧師 原爆乙女の番組をしていました
新聞には詳しく載せなかったので
日本の国民でさへ長い間 原爆の被害がどんなものか知らなかったと
そして「サダコと千羽鶴」の本の紹介もしていました
「血塗られて文字」が多い今日この頃
真っ白な新聞をしずかにまっています
こちらは凄く雨が降っています 濡れると寒いので気を付けてくださいね(^_^)v