Nicotto Town



夜明け






どこからともなく配達員が現れる

家々に投げ込まれる今日の新聞

僕はそれを恐る恐る手にして

誰もいないところへ持って行く


一面ずつめくっていく手が震えるが

次第に安堵が広がっていく

今日は何も書かれていなかった

僕はインクで汚れた新聞が大嫌いだ

一枚の新聞にのしかかるインクの重さを好まない

怪しげな世界の争いを写す写真を好まない

だが今日配達員が届けてくれたのは

片隅に印刷された正確な日付だけだった


何かを記憶させるための日付ではなく

何かを忘れ去るための純粋な数字だけが

僕を慰める

遥かかなたではぐれていった暑い夏が静かに舞い戻る

明日は血塗られた文字が新聞を飾るかもしれない

紙面がインクの重さでたわむとき

僕らは傍観者でいられるのか

僕らは祈りを忘れてしまって久しいが

もっとも祈りらしい祈りは

今日の真っ白な新聞を静かにたたむことだ





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2025/06/03 22:09
ごんじゃままさん!♥
サダコのこと中学の英語の教科書で初めて知ったとき変な言い方だけど原爆というものが
実感できた!観念的理解だったものがザラザラした火傷のように感じられ恐ろしいという
言葉では表し切れないと思った。黒い雨や峠三吉の詩集は読むのは辛いけど時々読まずには
いられない衝動が起こる。世界の平和を目指す運動が現実に妨げられ無力感がはびこって
いるけど反核運動の中核を日本人が担わなければいけないとつくづく実感する!
アバター
2025/06/03 10:15
ヘルメスさんおはようございます(*'▽')
先日テレビで 谷本清牧師 原爆乙女の番組をしていました
新聞には詳しく載せなかったので
日本の国民でさへ長い間 原爆の被害がどんなものか知らなかったと
そして「サダコと千羽鶴」の本の紹介もしていました
「血塗られて文字」が多い今日この頃
真っ白な新聞をしずかにまっています
こちらは凄く雨が降っています 濡れると寒いので気を付けてくださいね(^_^)v



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