朝の喜び
- カテゴリ:小説/詩
- 2025/07/12 23:31:07
久しぶりに朝早く目が覚めた
夜中に仕事をする習慣になって
偶然、随分損をしているような
そんなことに気付いた
例えば、早朝の空気の中で嗅ぐ
様々な匂いのようなもの
夜明けの薄暗さと
日の明るさが一瞬の休みもなく
刻々と交代していく
特に陽が昇ると太陽の光が
眩しく、これほど暖かいのか
というような体全体で味わう感覚
そんなものがなぜか嬉しく、
そういうことに気付く自分にも嬉しい
枝の茂みで騒ぎ始める小鳥や
おそらくあちこちで動き出す小動物たち
朝の光のご馳走を皆堪能しているのだろうか
枕草子や多くの古典の中に
昔の人は「朝の感覚」を歌っている
おそらく電灯のなかった時代には漆黒の闇は
現代人が考える以上に恐怖の世界だったのだろう
だからこそ闇から開放される朝は
一日の始まりというだけでなく
特別な感覚で迎えたのに違いない
暗闇の恐怖感から解放された現代人は
朝の喜びからも無縁になったみたいだ