Nicotto Town



触れたあとに、光が残った

風がテーブルを撫でるたび、
そこに君の手のぬくもりが
ふいに戻ってくる気がした。
あの日、ふと触れた瞬間の体温が
時間を越えて、
今もこの部屋に棲んでいる。

涙が出そうになるのは、
たぶん哀しいからじゃない。
まだ名前のついていない感情が、
心の奥で静かに膨らんでいるだけ。

ほら、君が笑ったときの空気が、
窓辺のカーテンをそっと揺らしている。
まるで記憶が呼吸しているように、
柔らかな風が、
過ぎた季節を優しく撫でてゆく。

君の背中を見送ることは
終わりじゃなかった。
そこに在ったものが確かだったから、
たった一度でも触れられたから、
今の自分が
このままでいられる。

だから、
この胸の震えは 哀しみじゃない。
ただ――
あたたかかった、ということが
どうしようもなく
うれしかっただけ・・・

アバター
2025/07/15 21:37
何だろう…少し切なさを感じます。
でもいい思い出になって心の中に残ってるんだろうなって思いましたよ。



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