【詩篇】想い影
- カテゴリ:小説/詩
- 2025/08/12 19:04:44
『想い影』
思い出を美しいままにしたいなら
どうぞお忘れなさい
後生大事に抱えていたら
手垢で汚れてしまいます
何度も見てしまうと
色褪せてしまうのです
現在(いま)が耐え難いなら
どうぞお忘れなさい
生きることは
現在という瞬間の連続であり
今、次の瞬間に過去になるのです
それは生き方を模様に織り上げられる
一枚の布のようです
それを手にするのは
生涯を閉じる時になさい
人生は瞬間の連続だと申し上げたのです
思い出すということは
連続する瞬間の一コマをつまみ上げることで
それはとても容易いのですが
それゆえに、忘れ難いことなのです
ですからどうぞお忘れなさい
消えてなくなりはしませんから
永遠に忘れられないとおっしゃるのなら
永遠は終わったことで出来ていると
そう、申し上げておきます
『想い影』というタイトルは、実を言うと
ニコタの着せ替えアイテムの名前です。
アクセサリで、アバターの後ろにあやしくたちこめる
もやのような影で、つけていると誰からか必ず
「大丈夫?」と訊かれてしまうアイテムでした。
8月のお化けアイテムと一緒に出たような記憶がありますが
私の記憶は曖昧でいい加減なので、信じないで下さい(ぇw)
この詩自体、古い作品です。
でも多分、ここに綴った気持ちは、ベクトルを変えながら
私の中にあり続けると思います。
ご感想ありがとうございます。
『耳をすませば』ですか…良い映画ですね。
思春期から青春期の葛藤や孤独の中で彼らが選択するのは
いつも「未来へ進むための道」であることを願ってやみません。
「聞こえて」いるんですか、とても嬉しいです…
ありがとうございます。m(_ _)m
大変心に染み入る詩だと思います。
この詩を読んでふと思い出したのは、ジブリのアニメ映画『耳をすませば』の主題歌
「カントリー・ロード」(原曲:Take Me Home, Country Roads)
です。
原曲は「故郷へかえりたい」という思いを「Country Roads(故郷へ続く道)」という象徴を用いて表していますが、
ジブリ版「カントリー・ロード」は、主人公の月島雫が成長していく姿と重なるように、歌詞の内容が変化していく様子が描かれています。
「故郷へ続く道」には行かないという選択をして、「未来へ進むため」「思い出を消して」「歩いていく道」を示していると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=TSktP_og4pw
原曲と対極の歌となっているのは宮崎駿監督の芸術的センスだと思います。
涼音さんの詩がこの歌のように「聞こえて」ます。
これは私自身が思い出を抱えて手垢で汚し、褪せてしまったと感じて
自分に「お忘れなさい」と言い聞かせるように書いた物です。
長い年月を必要としましたが、『ベクトルを変えながらあり続ける』と
今は感じています。いつまでも同じではいられないのだと、
でも決して消えることもないのだと。
思い出すことも少なくなってきました。そういうものです。
今、つらくてかなしくてたまらず、泣きたい気持ちも、
私も通ってきた道だからわかります。
(理由が同じとは思いませんが…)
ニコタの日記がそうした思いの受け皿になって昇華するなら
それでいいと思います。
そしてAngeさんは支えてくれる人が多いのだとわかると思います。
涙が。
一つひとつの文言が、わたし自身を叱咤しているように思え、どうしたらよいのか、途方に暮れている自分が居ます。