Nicotto Town



小説 2022 ■浮遊する私と離散的な遠方世界

■浮遊する私と離散的な遠方世界


重低音の耳障りなノイズが絶え間なく聴こえている。いや、聴こえているような気がすると表現するほうが正しいのかも知れない。

「赤子の脳は、19番街の・・・。 ・・・刳り貫いた濃褐色の眼球を・・・のシェフに・・・ 」

今日のフリーディスカッションでは、あなたは椅子に座る姿がとても綺麗ですねと、先生からお褒めの言葉を頂いた。

私は小さな頃から能を習っているので、姿勢や所作には少なからず自信がある。

ディスカッションのテーマが「死の恐怖」に移行した時、11歳の少年が「僕は死んだら天国に行きたい」と真剣な表情で訴えた。

いや、そんなことを強く宣言されてもね。。 私は可笑しいやら呆れるやらで、そんな感情が表面に出たりしないよう堪えるのに必死だった。

「・・・嫌がる14歳の・・・少女を・・・ 。・・・ 10歳に・・・性の・・・として・・・ 」

私は今、どのような状態にあるのだろうか。

肉体の感覚は麻痺し、ただ脳だけが半ば覚醒しているかのようだ。意識はぼんやりとして、自分や世界の輪郭を捉えることが難しい。

比較的強い風が吹いているものと思われる。何となく、突然の雨の予感がする。

中空から俯瞰して見える街の景色は、薄くて粗い灰色の霧が懸ったかのように不明瞭である。朧気であり、ディティールどころかアウトラインを掴むことすら容易ならない。

雨が降り出す前に、どこか雨宿りのできる場所を確保したいのだが。

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