Nicotto Town



さよならの多重比喩(喪失の夜に)— 別バージョン


さよならは
灯りの消えた窓辺に残る
湯気のない紅茶のように
静かに冷えていく

さよならは
風のない夜に舞う
落ち葉の記憶
踏まれずに朽ちてゆく

さよならは
言葉にならない言葉
口にすれば崩れる雪のように
ただ、手のひらで溶けていく

さよならは
時計の針が止まったまま
時を刻むふりをして
誰にも気づかれずに過ぎていく

さよならは
あなたの声が残る空気
吸い込むたびに胸が鳴る
それでも、息をする
そして

さよならは
朝焼けの縁に咲く小さな花
名もなき希望
そっと、名を持ちはじめる

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