運命の糸の先
- カテゴリ:自作小説
- 2025/10/13 04:15:49
第五章
レンは「会社経営者」という肩書から、お金目当ての出逢いしかしてこなかったのだと、言っていた。そんな話を聞いていた私は悲しくなってしまい、何故か泣いていた。…「…レン、辛い出逢いしかしてないじゃん…」と涙が何故か止まらなくなり、…「何でアオネさんが泣くの」と頭を撫でてくれた。…「でも、アオネさんは違ったじゃん、俺嬉しかったんだよ…だからこそアオネさんに興味持ったんだ」と言ってくれていた。…「だって、人の魅力ってお金じゃないじゃん?」と私は答えた。…「どれだけ前向きに生きる事が出来て、一生懸命で楽しんでる人って魅力的じゃん?」と話し続けた。…「何か…分かる気がする…」とレンも同意してくれた。…「俺ね、アオネさん、性欲がないんだよね…だからアオネさんに手を出さなかったんだ」そうレンは話してくれていた。…「そうなんだね…それが私には嬉しかったよ」と答えた私だ。…「俺達ってさ、アオネさんの言ってた様に運命なんかな…ははは」と笑っていた。…「そうかもしれないね」と私も微笑んだ。それからの時間は他愛もない会話を彼と続けていた。それからの1週間程だろうかレンと私はずっと一緒だった。外で話をしたり、クラブへと出掛けたり、はたまた車でドライブ等をして沢山の話をした。ある夜の外で話をしている時に、レンは150㎝はあるであろう手摺へと上り、横にある棒を掴みながら…「ねぇ、アオネさんすげー綺麗な眺めだよ」と言っていた。私はそんな事よりも…「レン、危ないよ、落ちたらどうするの…」とハラハラとして彼へと伝えると彼は…「ははは…そうだね、落ちたら死ぬかもね…でもそん時はそん時…それが俺の人生だったって事だよ、はは」と意味深に笑っていた。…「ねぇ、ほんとに危ないから降りて?お願い」と私が懇願すると彼は…「分かった」と言って軽やかにジャンプして降りてくれた。…「有り難う、レン」…「どういたしまして、ってより、こちらこそありがとう、アオネさん」と言ってくれていた。それからの2週間、レンと連絡が取れなくなってしまった私はレンの事ばかりが頭を過る様になっていた。…レンと2週間連絡取れなくなっちゃったな…今頃何してるんだろ…と良く考える事が増えて行ったのは言うまでもない。